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感染対策コミュニケーションの場

導入事例

第18回  泡タイプの手洗い石けんの導入と手指衛生の適切なタイミングへの取り組み

那須赤十字病院

■住所
〒324-8686
栃木県大田原市中田原1081番地4
■病床数
460床
■全職員数
891名
■手術件数
4,016件(平成26年度)
■病院のホームページ
http://www.nasu.jrc.or.jp/

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那須赤十字病院は、栃木県北最大の基幹病院として地域医療の発展に貢献しています。「マイタウン・マイホスピタル~地域に根ざし、ともに歩み、心ふれあう病院に~」を基本理念とし、赤十字の基本原則に則り、高度で良質な医療の提供に努めておられます。

恒温浸漬洗浄槽 恒温浸漬槽 TB-1000P

導入製品

手洗い剤
ホイップウォッシュ無香

ホイップウォッシュ無香導入までの道のり

- ホイップウォッシュ無香を検討された背景は?

仲澤 恵
看護師長 感染管理認定看護師

ホイップウォッシュ無香を採用する前は、液体タイプの石けんを使用していました。当院は、手指衛生サーベイランスの一環として、看護師の手指衛生行動を観察し評価するタイムスタディを行っています。1人の看護師(観察対象者)に2人の看護師(観察者)が付き、1時間連続して観察対象者の行う患者ケア、手指衛生の方法・タイミング・時間などをすべて記録します。そして、その結果を評価し、例えば石けんと流水による手洗いの時間が短い、手袋を装着する前に手指衛生をしていない、手指衛生をした後に髪の毛を触っているなど、評価結果を各個人にフィードバックします。
このタイムスタディの結果、液体タイプの石けんを使用していたころは、多くの看護師が石けんを泡立てておらず、手洗い時間が非常に短いことがわかりました。そして、手の培養検査を行った結果、手洗い後に多くの菌が検出されました。また、泡タイプの石けんを用いて洗った方が手肌に優しいという意見があり、皮膚・排泄ケア認定看護師からも、最近は皮膚の洗浄において泡で優しく洗うことが浸透してきているとの情報がありました。そこで、泡タイプの手洗い石けんの導入を検討しました。

- ホイップウォッシュ無香を選んだ理由は?

泡タイプの手洗い石けんを3種類検討しましたが、ホイップウォッシュ無香は、微細で濃密な泡によって汚れを落とし、優しくスクラブできることから導入を決めました。また、パッケージの可愛らしさも良いと思いました。

ホイップウォッシュ無香ポンプボトル(減容ボトル)微細で濃密な泡によって汚れを落とし、優しく洗浄できる

ホイップウォッシュ無香の導入後

- ホイップウォッシュ無香の導入後、スタッフからの評判はいかがですか?

スタッフからは、泡なのでやさしく手洗いができ、使用感が良いという評判を聞いています。導入当初は手がきしむという意見もありましたが、このようなことは製品を変えた時にはよくあることで、今では問題なく使用しています。手荒れに関しては、石けんよりアルコール手指消毒剤やパウダー付き手袋の要因が大きいと思っています。石けんと流水による手洗いにおける手荒れ予防としては、お湯を使用しないようすることやペーパータオルで拭くときにごしごし拭かず、優しく拭くことを指導しています。手指衛生とともにハンドケアも大切にしており、手荒れのあるスタッフからの相談も受けています。

小児科病棟の手洗い設備小児科病棟の壁には、かわいらしいイラストが描かれていました

-手洗い環境で感染対策に配慮されていることはありますか?

当院では、手を洗うシンクは手洗い専用とし、器具などの洗浄は別のシンクで行っています。手洗い設備の構造上、手洗いシンクの縁にホイップウォッシュ無香のボトルを置いて使用していますが、水が滞留するとグラム陰性桿菌の温床となるので感染対策上問題です。そこで、手洗い後手を拭いたペーパータオルを用いてシンクの縁の水跳ねを拭くところまで手洗い方法の一環として教育しています。もちろん、その後、患者に接触する前や清潔操作を行う前などにはアルコール手指消毒を行うことも指導しています。ラウンドなどで病棟を巡回した時にも、手洗いシンクの縁に水はねを確認した場合は、フィードバックをしています。

手洗いシンク縁の水の滞留予防手洗い後、手を拭いたペーパータオルを用いてシンクの縁を拭いている

-スタッフに対する手指衛生教育はどのように行われていますか?

手指衛生の教育は、新人研修のときに、まず手指衛生の重要性、タイミング、方法、ハンドケアなどを含めた講義を行い、その後、蛍光クリームを手に塗布した後、石けんと流水による手洗いを行い、ブラックライトを用いて洗い残しを確認する実習を行っています。新人以外のスタッフに対しては、手指衛生のタイムスタディやICTラウンドなど、現場でその都度指導することが多いです。

-手指衛生の啓発はどのように行われていますか?

医療従事者向けの手指衛生の啓発ポスターをイントラネット内に掲載し、必要があればプリントアウトして貼れるようにしています。当院は、掲示物の貼付場所や内容を整えています。啓発ポスターを貼る場所は、バックヤード(医療従事者専用通路)の掲示板です。

-アルコール抵抗性の微生物が検出された患者のケア後は、石けんと流水による手洗いが行われると思いますが、どのように病棟でそれらを徹底されていますか。

例えば下痢患者の場合、その原因がノロウイルスやクロストリジウム・ディフィシルといったアルコール抵抗性の微生物であるか否かをすべて把握することはできません。当院では、下痢の患者はすべて個室管理し、電子カルテにコメントを記載することで、情報を共有し、石けんと流水による手洗いを行うように徹底しています。

-患者や面会者に対しても手指衛生教育を行っておられますか?

患者に関しては、ご自身で手指衛生を行ってもらうことが一番だと思っています。入院時のオリエンテーションで患者一人ひとりに当院の感染対策の取り組みと患者ご自身にも手指衛生に協力いただきたいことを説明しています。また、面会者には「面会の前後に手指の消毒をお願いします」というポスターを院内に掲示し、啓発しています。

-手指衛生において、今一番力を入れて取り組んでおられることは何ですか?

患者ケアにおける適切な手指衛生のタイミングを含めたベストプラクティスを作成することです。WHOは、患者ケア時における手指衛生が必要な「5つのタイミング」として(1)患者に触れる前、(2)清潔/無菌操作の前、(3)体液に曝露された可能性がある場合、(4)患者に触れた後、(5)患者周辺の物品に触れた後を推奨していますが、現実との乖離があります。例えば、患者の周りには、カーテンがあり、患者を認証するためのパソコンがあり、ケアによっては手袋を装着することもあります。患者ケアにおける適切な手指衛生のタイミングを含めたベストプラクティスは、感染のリンクナースが集まり、患者ケアごとのロールプレイングを行いながら皆で話し合って作成しています。これまでにオムツ交換やNICUの保育器内における患者ケアなどのベストプラクティスを作成し、手指衛生の適切なタイミングの周知に役立てています。

NEXT STEP

-今後の課題や目標をお聞かせください。

単に手指衛生の回数を計測する全体的な評価だけでなく、患者ケアにおいて適切なタイミングで効果的な手指衛生ができているか確認することをなお一層行っていきたいです。私達の作成した手指衛生のベストプラクティスをベッドサイドでモニタリングできるようなシステムを検討し、効果的なフィードバックや継続的なサーベイランスを行えるようにしたいと思っています。

今回インタビューさせていただいた方々

仲澤 恵様
看護師長
感染管理認定看護師 仲澤様の経歴

1992年
大田原赤十字病院 入職
2001年
感染管理認定看護師 資格修得
2006~2007年
日本赤十字看護大学 看護実践・教育・研究フロンティアセンター 認定看護師教育課程 感染管理学科 専任教員
2008~2012
同教育課程 非常勤講師・実習指導者
2012年7月~現在
那須赤十字病院 医療安全推進室院内感染対策管理者(専従)

編集後記

今回取材させていただいた那須赤十字病院様では、患者ケアにおけるベストプラクティスの作成や手指衛生のタイムスタディといった、細やかな介入を行うことで、手指衛生遵守の向上に取り組まれていました。適切なタイミングで効果的な手指衛生を確実にスタッフに浸透させようと活動されている仲澤看護師長の情熱に感銘を受けました。

取材日
:2015年6月23日
インタビュー
:サラヤ 遠藤、齋藤、藤木

電話によるお問合せ: 06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)

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