感染対策コミュニケーションの場
導入事例
第8回 衛生面・コスト・マンパワーを考慮した環境衛生
医療法人垣谷会 明治橋病院
- ■住所
- 〒580-0045
大阪府松原市三宅西1丁目358番地3
- ■病床数
- 396床
- ■全職員数
- 368人(平成23年10月01日現在)
- ■手術件数
- 764件(平成22年度)
- ■病院のホームページ
- http://www.meijibashi.or.jp/index.html
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医療法人垣谷会 明治橋病院は、昭和55年に126床の垣谷病院として開設以来、地域医療の一翼を狙い、増床、療養型病床への改床、新設を経て今日に至っています。一般病棟、療養型病棟に加えて健診事業、在宅介護支援センター、居宅介護支援事業所、通所リハビリテーションセンター、訪問看護ステーションなどを併設し、保健・医療・福祉の三位一体の地域医療を展開されており、地域の方々に信頼され、温かみのある医療を提供されています。
サラヤ環境清拭クロス 導入までの道のり
- サラヤ環境清拭クロスの導入を検討された背景は?
当院では院内感染防止対策委員会を中心に院内感染対策に力を入れているところでありますが、2年ほど前から清掃に関して衛生面、コストとマンパワー(手間)を最適化するために、清掃用具の見直しを行っていました。通常の清掃は原液タイプの洗剤と雑巾を使用していましたが、雑巾の管理についていくつか問題がありました。
雑巾は使用後、ハイターに漬けて消毒し、次の使用までに乾燥させることを徹底していましたが、手間がかかることや雑巾を乾燥させる場所を確保しなければならないこと、乾燥が不十分であると雑巾が微生物の繁殖源となりうることが問題でした。また、点滴台や処置台などはノンクリティカルに分類されるため洗浄または低水準消毒で問題ないのですが、当時は単包化されたアルコール綿で清拭していました。このアルコール綿は4cm~5cm四方と小さいため一度の清拭に4~5枚ほど使用する必要があり、コストが割高になっていました。
これらのことからコストや使い勝手、衛生面などを考慮し、サラヤ環境清拭クロスの導入を検討しました。
- 導入の決め手は何でしたか?
鍵本師長
導入前に、サラヤ環境清拭クロスのコストと使い勝手を病院内で検討しました。コストに関しては、洗剤と雑巾、アルコール綿を使用した場合とサラヤ環境清拭クロスに切り替えた場合を比較しました。アルコール綿は各病棟から使用量を報告してもらい、コストを計算して比較したところサラヤ環境清拭クロスに切り替えるとコストがおよそ半分になることがわかりました。また、洗剤と雑巾で清拭する場合は、雑巾を使用後に洗って消毒する手間と人件費がかかりますが、環境清拭クロスの場合はその手間と人件費がかかりません。使い勝手に関しては、実際にスタッフに使用してもらい、洗浄力、厚み、薬液の浸潤具合、簡便性などを評価してもらいました。その際、3種類の他社品とも比較してもらいました。なかでもサラヤ環境清拭クロスは好評で、現場から「使用したい」という声があがりました。
サラヤ環境清拭クロス 導入後
- サラヤ環境清拭クロスの使用方法など、スタッフへの周知はどのようにされましたか?
師長会でサラヤ環境清拭クロスの使い方と特徴についてパンフレットなどを見せながら説明しました。各部署のリンクナースにも現場でどのように使うかを説明し、現場のスタッフに指導してもらいました。サラヤ環境清拭クロスは液を調整する手間がなく、管理も簡単で、簡便に使用できるため導入後はスムーズに使用を開始してもらえました。
- 現在、サラヤ環境清拭クロスはどのように使用されていますか?
サラヤ環境清拭クロスは外来、病棟、透析室、オペ室など全館に導入しました。特に、点滴台や処置台、透析の機械などの清拭に使用しています。スタッフから患者さまのベッドサイドの清拭にもサラヤ環境清拭クロスを使用したいという声があがっているので、今後は患者さまの周辺環境の清拭にもサラヤ環境清拭クロスを使用していく予定です。患者さまにサラヤ環境清拭クロスを配布して患者さまご自身でもサラヤ環境清拭クロスを使用できるようにしている施設があるそうなので、そのような使用方法についても検討しています。
サラヤ環境清拭クロスはいつでも使用できるように、ナースステーションに配備されており、スタッフによってこまめに清拭が行われています。
- サラヤ環境清拭クロス導入により何か変化はありましたか?
サラヤ環境清拭クロス導入後、ラウンドの際などにスタッフがこまめに清拭する姿をよく見かけるようになり、環境がより衛生的に整備されてきたように実感しています。スタッフは清拭が簡便になったために、より積極的に環境衛生に取り組んでくれるようになり、環境に対する意識が高くなったと思います。手指の高頻度接触面を頻繁に清拭することは微生物の伝播を防ぐために重要なので、今後も徹底していきたいと思っています。
NEXT STEP
- 今後の課題や検討事項をお聞かせください。
今取り組んでいるのは消毒薬の単包化です。アルコール綿はすでに単包化されたものを使用していますが、ポピドンヨード製剤などの消毒薬も単包化されたものを使用していく予定です。衛生面、コスト、マンパワー(手間)を考慮して簡便にできるものは簡便にしていくことによりスタッフの負担を減らし、患者ケアに専念できる時間を増やしていきたいと考えています。環境衛生に関しては、今後もエビデンスやガイドラインに基づいた確実な方法を徹底していきたいと考えています。
今回インタビューさせていただいた方
鍵本 由起子 様
4F介護療養病棟師長
鍵本様の経歴
- 昭和61年
- 入職
- 平成2年
- 院内安全対策委員として活動開始
- 平成12年
- 院内感染防止対策委員会庶務として活動
東本 一成 様
透析室室長
東本様の経歴
- 平成2年
- 入職
- 平成12年
- 院内感染防止対策委員として活動
編集後記
近年、環境を介して微生物が伝播することが指摘され、環境衛生の重要性が再認識されるようになりました。環境衛生の基本は清掃であり、必要に応じて消毒を行うことが重要とされています。医療法人垣谷会 明治橋病院ではスタッフひとりひとりが環境に対する意識を高め、日頃からこまめな清掃を徹底することで院内全体が清潔に保たれていました。今回の取材を通じて、環境衛生に対する基本姿勢の大切さを感じることができました。
- 取材日
- :2011年10月3日
- インタビュー
- :サラヤ学術部 吉田、野津
電話によるお問合せ: 06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)