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感染対策コミュニケーションの場

導入事例

第6回  病院全体で取り組む手指衛生の徹底

神戸労災病院

神戸労災病院

■住所
〒651-0053
兵庫県神戸市中央区籠池通4丁目1番23号
■病床数
360床
■全職員数
452名
■手術件数
3,141件(平成22年度)
■病院のホームページ
http://www.kobeh.rofuku.go.jp/

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神戸市の中心部の山手にある神戸労災病院は、最新設備を有する高機能病院として勤労者医療の推進をおこなっておられます。また、地域の医師会の開業医の先生方と症例検討会や学術交流会を通じてお互いの情報交換を活発に行い、地域医療の中核病院として良質かつ安全な医療を提供されています。

サニショットUD-8600

導入製品

ノータッチ式ディスペンサー
サニショット UD-8600

UD-8600 導入までの道のり

- UD-8600の導入を検討された背景は?

鈴木千史師長

UD-8600を導入する前から、ディスペンサーは院内に設置したときの見た目が良く、薬剤を衛生的に使用できるとの理由からプッシュ式のディスペンサーを設置していました。しかし、長期間に渡る使用により、プッシュ部分が手垢で黒ずんできてしまい、リンクナースから不衛生であり交差汚染の心配があると指摘がありました。そのため、ナースエイドにプッシュする部分をこまめに清拭してもらうようにしましたが、なかなか汚れは取れにくく、手間がかかるという問題がありました。また、プッシュ式ディスペンサーは押す力が弱い高齢者や手に怪我をしている患者、手の不自由なスタッフなどには使いづらいことも問題としてあったので、ノータッチ式ディスペンサーの導入を検討しはじめました。

- 使い慣れたディスペンサーを変更するにあたり不安はありませんでしたか?

プッシュ式ディスペンサーは7年ほど使用していました。そのため、ノータッチ式ディスペンサーに変えることで、使い勝手が変わるため現場での評価は心配しました。実際、UD-8600導入当初はプッシュ式ディスペンサーのレバーを押す感覚で、センサーに手を近づけすぎてしまうため、うまく感知されないということがありましたが、次第に新しい使用方法に慣れていき、問題なく使えるようになりました。

UD-8600 導入後

- UD-8600の使用方法など、スタッフへの周知はどのようにされましたか?

UD-8600の専用薬剤はディスポーザブルで装着も簡単ですが、薬液カートリッジの装着方法は導入した時に各師長に説明しました。その後、何度か薬液カートリッジの装着方法に関する質問があったため、再度説明すると共にICTニュースという病院内の発行物にUD-8600の薬液カートリッジ装着方法の写真を載せて、装着の際に確認するポイントを紹介しました。

- 現在、UD-8600の設置箇所を教えてください。
    また、UD-8600が設置できない箇所での手指衛生はどのようにされていますか?

UD-8600はすべての病室の入り口に設置しており、全部でおよそ130箇所取り付けています。手をかざすだけでセンサーが感知し簡単にアルコール手指消毒剤が吐出されるので、患者のご家族もよく使用してくれています。

看護師が使うノートパソコンのキャリーにはディスペンサーが設置できませんので、アルコール手指消毒剤の据え置きボトルを置いています。また、看護師には40mL ボトルのアルコール手指消毒剤を携帯してもらうことで、ディスペンサーの設置していない場所でも手指衛生が徹底できる環境を作っています。さらに今後、外来の診察室にもUD-8600を導入することを検討しています。

全病室の入り口にはUD-8600が設置されています。

ノートパソコンのキャリーにはアルコール手指消毒剤の据え置きボトルを置き、手指衛生を徹底しています。

- 手指衛生の教育はどうされていますか?

ICTの研修は年に4~5回実施しており、そのなかで「これからの手洗いについて話そう」という手指衛生をテーマとした研修会をおこなっています。研修会では、ブラックライトを利用した手洗いチェックやハンドペタンでの細菌培養を利用した手指衛生チェックを行い、視覚的にわかりやすく手指衛生の方法と効果を勉強しています。研修に参加したスタッフからは視覚的効果はインパクトがあり、見えない微生物が手指に付着していることを実感できたことでより手指衛生の重要性を理解できるようになったと好評でした。昨年までは研修対象は病棟看護師が中心でしたが、現在は多職種のスタッフに手指衛生の重要性を理解してもらうために、看護師や検査科技師、Drにも研修に参加してもらっています。手指消毒に慣れていないスタッフのなかにはアルコール手指消毒剤を好まない人もいましたが、石けんと流水による手洗いとアルコールによる手指消毒の効果をハンドペタンによる細菌培養で実際に結果を見てもらうことで、アルコール手指消毒剤の高い効果を認識してもらうことができました。研修のなかで手指消毒に意識を向けてもらい、繰り返し教育していくことが大切だと考えています。

- UD-8600導入により何か変化はありましたか?

新型インフルエンザ流行の影響などもありますが、アルコール手指消毒剤の使用量が増えたように感じています。薬液のカートリッジの回転も速くなりました。また、以前のプッシュ式は薬液カートリッジが800mLでしたが、UD-8600の薬液カートリッジは600mLなので、使い残すことなく効率よく使えるようになりました。薬液カートリッジに使用開始日を記入する欄があり、フタを閉めても窓から使用開始日と薬液残量が見えるところも便利で気に入っています。また、UD-8600はスリムな奥行きなので、廊下に設置しても場所をとらず出っ張りも少ないので、以前より廊下がすっきりと広く見えるようになりました。

薬液カートリッジに使用開始日を記入する欄があり、フタを閉めても窓から使用開始日と薬液残量が見えます。

NEXT STEP

- 今後の手指衛生や感染管理における課題や検討事項をお聞かせください。

手指衛生の回数は増えていると思いますが、今後は、回数だけでなく必要な場面で手指衛生ができるようスタッフに手指衛生のタイミングを理解して実践してもらうことが重要と考えています。WHOガイドラインでは、患者ケアにおける手指衛生のポイントを5つのタイミングとして具体的に示しているので、それを基に、スタッフに手指衛生のタイミングを啓発していきたいと思います。

今回インタビューさせていただいた方

小澤 賀子 様

鈴木 千史 様 地域医療室師長
感染管理認定看護師鈴木様の経歴

1986年
神戸労災病院入職
2004年
ICTメンバー入り
2009年
感染管理認定看護師資格取得

編集後記

現在、手指衛生の意識が高まるなか、ディスペンサーを導入しはじめた病院は少なくありませんが、神戸労災病院ではノータッチ式ディスペンサーをすべての病室に設置し、さらにパソコンキャリーにもアルコール手指消毒剤の据え置きボトルを置き、看護師は携帯用のアルコール消毒剤を持ち歩くなど、手指消毒が行いやすい環境をしっかり整備されているのが印象的でした。そして、ICTを中心に積極的に研修会を実施されており、研修には看護師の方だけでなく様々な職種のスタッフも参加して手指衛生の教育を徹底されているところに、病院全体として手指衛生の遵守に取り組んでいくという高い意識を感じました。

取材日
:2011年7月26日
インタビュー
:サラヤ学術部 吉田、引頭、野津

電話によるお問合せ: 06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)

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