感染対策コミュニケーションの場
導入事例
第15回 石けんの管理と使いやすさを重視した手洗い設備
社会医療法人財団大和会
武蔵村山病院
- ■住所
- 〒208-0022
東京都武蔵村山市榎1丁目1-5
- ■病床数
- 300床
- ■全職員数
- 633名(平成25年度統計)
- ■手術件数
- 1772件(眼科938件含む)
(平成25年度統計)
- ■病院のホームページ
- http://www.yamatokai.or.jp/musasimurayama/
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武蔵村山病院は、武蔵村山市民のための医療を提供する市民病院としての役割を担っています。その一方で、社会医療法人財団大和会の構成病院として東大和市の東大和病院と連携して、北多摩西部医療圏の中でも特に武蔵村山および東大和両市を中心とした東部地域の地域医療を担う役割も果たしています。
導入製品
ノータッチ式ディスペンサー
サニショットUD-8600S
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ホイップウォッシュ無香とUD-8600S導入までの道のり
- ホイップウォッシュ無香とUD-8600Sの導入を検討された背景は?
当院では手洗いに用いる石けんは、希釈して使用する液体石けんを泡で吐出される石けん容器に詰め替えて使用していました。そして、その石けんの管理は外部の清掃委託業者が行っていたため、石けんの濃度が一定ではなく、また病棟スタッフからは石けん容器が汚れているとの声があがっていました。石けん容器の再生処理は、石けん容器を回収し、洗浄を行ってから次亜塩素酸ナトリウムで浸漬消毒するよう当院から清掃委託業者へお願いしていましたが、院内ラウンドの時に確認したところ、石けん容器が次亜塩素酸ナトリウムの希釈溶液の中で浮いてしまい、確実な消毒が行われていないことがわかりました。そこで、病院感染対策の基本である手指衛生に使用する石けんの管理や運用が不十分であることを上層部に報告し、まずは、ナースステーションや薬剤科、検査科などスタッフが使用する手洗い設備に原液およびディスポーザブルで使用する石けんとノータッチ(自動)式のディスペンサーを設置することを提案しました。
- ホイップウォッシュ無香を選んだ理由は?
石けんの検討は、まず数種類のサンプルをリンクナースで検討し、使用感などから香料の入った液体タイプの石けんが選ばれました。しかし、病棟スタッフでより多くの人にこの石けんの試用を行ってもらったところ、香りが気になる、泡タイプの方が良い、手荒れを起こすスタッフがいるなどの意見がでました。そこで、無香料で泡タイプの石けんであり、保湿剤としてプラセンタエキスやローヤルゼリーエキスなどを含むホイップウォッシュ無香を再評価した結果、病棟スタッフからも好評価が得られ採用が決定しました。
- UD-8600Sを選択した理由は?
石けん容器はポンプボトルを据え置きで使用すると、ポンプ部分が不衛生になりやすく、また手洗いシンクの清掃が行い難いため濡れている状態が続き、グラム陰性桿菌による汚染の原因になります。UD-8600Sであれば、ノータッチ式で、壁付けであるため、それらの問題をクリアできると思い採用しました。設置にあたっては、使用しやすい高さ、濡れた手で石けんを取っても周囲を汚染しない、かつ石けんの液垂れが起こってもシンクの中に納まる位置に設置することを心掛けました。ただし、手洗い設備が狭くUD-8600Sが設置できないところは、ポンプボトルを設置して使用しています。
政本紀世 感染管理認定看護師(CNIC)院内の感染対策に関して、病院長や病棟スタッフなどから深い信頼を得られています。
ホイップウォッシュ無香とUD-8600Sの導入後
- ホイップウォッシュ無香とUD-8600Sの導入後、病棟スタッフの評判はいかがですか?
ホイップウォッシュ無香に変更したところ、病棟スタッフからは、手を洗っている時の使用感がよく、泡切れもよい、手荒れの問題も解消したとの感想を聞いています。またUD-8600Sに関しては病棟スタッフからは、便利で使用しやすいと好評で、病室にも設置して欲しいとの意見もあります。薬液の管理は、清掃委託業者から病棟スタッフに変更しましたが、病棟スタッフからは、作業が増えたなどの苦情はでていません。
UD-8600S背面がガラスでも補助金具を用いて、使用しやすい高さと石けんが液垂れしてもシンクの中に納まる位置に設置しています。
ホイップウォッシュ無香 ポンプボトル(減容ボトル)UD-8600Sが設置できない個所は、ポンプボトルで対応しています。
- 希釈石けんと比べるとコストアップになったと思いますが、いかがですか?
はい。今まで使用していた希釈石けんと比べると、コストアップにはなりました。しかし、当院は地域の中核病院という役割を担っており、他の医療関連施設のモデルにならなければなりません。石けんの管理を清掃委託業者に任せているのは問題で、感染対策の基本である手指衛生のための環境改善の必要性を上層部に説得しました。
- 手指衛生剤の使用量調査は行っていますか?
アルコール手指消毒剤は、薬剤科が1患者あたりの1日のアルコール手指消毒剤使用量を病棟ごとに算出し、フィードバックしています。アルコール手指消毒剤の使用量を数字で示すことで、手指衛生実施の目標ができ、スタッフの手指衛生に対する意識を高めることができています。その結果、各病棟でアルコール手指消毒剤の使用量は、増加しています。石けんの使用量に関しては、現状調査が行えていないため、これからの課題です。
- 感染対策全般において、今一番力を入れて取り組んでおられることは何ですか?
感染対策を行う上では、ルールを守るということを大事に取り組んでいます。例えば、地域連携活動で指導を受けた点滴処置台を中心とした清潔、不潔のゾーニングルールの徹底は、感染対策リンクナース、リンクパーソンズが中心になって改善に取り組みました。そして、その成果はラウンドで評価し、研修や師長会をはじめ各課長が参加する会議などでフィードバックを行いました。各部署の結果や課題は共有し、共通の目標として掲げるようにしています。
また、社会医療法人財団大和会全体として「衛生的な環境」ということを大事にしています。そのため、当院全体としても、環境整備に力を入れて取り組んでいます。毎週土曜日を「クリーンデー」と決め、朝8時20分より全職員で一斉に清掃を始めます。また当院には、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5S委員会があり、クリーンデーの実施状況の確認や施設環境を衛生的に保つことを指導するため5Sラウンドを行っています。感染対策を根幹に、院内の関連委員会とも連携し、患者さまにとっての医療や療養の場、職員にとっての職場である病院が、まずは、日常的に衛生的に保たれるよう取り組んでいきたいと思います。
NEXT STEP
- 今後の課題や目標をお聞かせください?
今後は、院内の石けんボトルをすべてディスポーザブルボトルへ変更し、石けんの使用量に関する調査も行いたいと思います。また、手指衛生剤の使用量の確認だけではなく、直接観察法を用いた手指衛生の遵守率調査も行い、双方による評価を行っていきたいと思っています。その他にも、慣習や不要な習慣を見直し、組織全体で改善を図っていきたいと思います。
今回インタビューさせていただいた方
政本 紀世 様
医療安全管理室 副室長
感染管理認定看護師
政本様の経歴
- 1991年
- 武蔵村山病院 入職
- 2005年
- 感染管理認定看護師認定
編集後記
診療報酬の感染防止対策加算1を取得し、地域のモデル病院になることを目標に、感染対策の充実に取り組まれていました。手指衛生は、医療現場において病原微生物の伝播を防ぐ最も重要な対策です。その手洗い設備の運用に関して問題点を明確にし、希釈・詰め替えタイプの石けんから原液・ディスポーザブルタイプの石けんそしてノータッチ式ディスペンサーの導入を導いた政本CNICの行動力に感銘を受けました。
- 取材日
- :2014年5月29日
- インタビュー
- :サラヤ学術部 吉田、遠藤、羽鳥
電話によるお問合せ: 06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)