健康すまいる

健康すまいる 2026 vol.39最新号

健すまインタビュー

メニーピープル広島石内

※本記事は、「健康すまいる vol.39(2026年1月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

メニーピープル広島石内は、2024年9月1日に開所された住宅型有料老人ホームです。今回は、主に物品の導入による業務効率化と職員の負担軽減について取材しました。
取材日:2025年10月2日

施設の特徴とケアへの思い

西坂さん(所長)
当施設は、医療依存度が高い要介護度4,5の方を積極的に受け入れ、慢性期・終末期におけるケアを提供しています。看護師が24時間対応、また介護福祉士・理学療法士約15名が特定行為(喀痰吸引、経管栄養)を実施可能です。人生の最期まで過ごしていただく場所なので、「あなたに会えてよかった」「この施設に入ってよかった」と利用者に思っていただけるよう、職員と利用者との関わりを大切にし、利用者に優しく丁寧な“利用者にとって良いと感じてもらえるケア”を提供するように心がけています。

物品の洗浄~ベットパンウォッシャーの導入~

西坂さん
開所に合わせて、サラヤのベッドパンウォッシャー(以下、BPW)「CLINOX 3A AUTO」を各フロアに1台ずつ、合計3台設置しました。
高齢者施設では、尿器やポータブルトイレ用バケツなどの汚物容器や、喀痰吸引の吸引瓶など、洗浄が必要な物品が多数発生します。これらを手作業で洗浄(用手洗浄)すると手間と時間がかかります。加えて、利用者は誰もが感染性微生物を保有している可能性があり、用手洗浄によって感染性微生物が拡がるリスクもあります。感染症が発生し、さらに拡大すると、職員はその対応に追われ、心身や時間に余裕が無くなり、良いケアの提供は難しくなります。そこで、物品洗浄は機器に任せて業務を効率化し、職員の負担を軽減することで、ケアや利用者とのコミュニケーションを増やし、療養生活に必要なケアに対し、より多くの時間を割きたいと考えました。その背景は、利用者に安全、安心と感じてもらえるサービスを提供したいという強い思いからでした。
病院勤務時代の経験から、私の中で「感染対策はサラヤ」という信頼感があり、サラヤにBPWについて問い合わせ、CLINOXの導入を決めました。CLINOXは機器上部から扉が開く仕様でコンパクトなことに加え、汚染した手を使わずに足で操作できる点が魅力的でした。また、CLINOXは汚物流し機能を兼ねているため、元々予定していた汚物流しの設置はキャンセルしました。汚物流しを設置すると臭気が発生しやすいことや汚物を流す際の水の跳ね返りによる感染リスク、汚物流しの清掃業務時間も負担となることが気になっていたので、CLINOX導入を即断して良かったと思います。

吉川さん(看護師)
CLINOXは、汚物が入ったままの容器を機器にセットするとそのまま汚物が流せる点が便利です。また、乾燥促進機能があるのも大きな魅力です。一度、大量の吸引瓶を用手洗浄してみたのですが、洗浄後の水切りや乾燥に非常に手間がかかり、用手洗浄の大変さを実感しました。

佐野さん(介護福祉士)
以前勤務していた施設では、汚物容器は用手洗浄をしており、消毒まで含めて作業工程が多く時間がかかっていました。CLINOXは、容器をセットするだけで自動的に洗浄から消毒まで行えるため、機器の運転中は他の業務に時間を使うことができて助かっています。

大坂さん(看護師)
消毒液での浸漬消毒は時間がかかりますが、CLINOXでは、複数個をまとめて短時間(約10分)で処理できるため、より早く物品を再利用できる点が素晴らしいと感じています。

佐野さん
汚物容器以外には吸引瓶を洗浄しています。利用者111名中31名が喀痰吸引を必要としており、CLINOXは吸引瓶の洗浄に使用することが最も多いです。1日1回夜間にまとめて吸引瓶を洗浄していますが、運転音は静かであまり気になりません。

吉川さん
足浴バケツの洗浄にもCLINOXを使用しています。足浴後はバケツに垢が多く付着し、用手洗浄ではなかなか落としにくいのですが、CLINOXではきれいに洗浄できます。

山本さん(介護福祉士)
CLINOXは高温で消毒されるので安心感があり、再生処理の質が担保される点が良いと感じています。

西坂さん
経営層の立場でも、BPWの導入により十分な感染対策を実施しているという印象を与え、施設のPRにもつながると考えています。職員が働きやすい環境づくりのため、また良いケアの提供により利用者を幸せにするためにも、他の福祉施設にもBPWの導入を勧めたいと思います。

スキンケア~拭き取り泡ボディソープの導入~

西坂さん
開所当初はシャワーボトルを用いて陰部洗浄を行っていましたが、業務の効率化を図るとともに、製品の香りで利用者や職員に楽しんでもらうことを目的に「スキナル 拭き取り泡ボディソープ」を導入し、拭き取り泡ボディソープを用いた陰部洗浄に変更しました。

吉川さん
以前は、一般的なボディソープとシャワーボトル、水が主成分のお尻拭きを用いて洗浄していました。しかし、便を除去するのに時間がかかる上に、周囲が水浸しになることも多く、負担に感じていました。また、シャワーボトルにお湯を入れたり、ボディソープを泡立てたりといった物品準備や、陰部洗浄後に陰部周囲をタオルなどで拭く必要もあり時間を要していました。拭き取り泡ボディソープは泡立てや洗い流しという工程が不要のため、物品準備の手間や陰部洗浄の工程が減り、作業時間が半分ほど短縮されました。また、初めて拭き取り泡ボディソープで陰部洗浄した時は、汚れが沢山取れて衝撃を受けました。拭き取りには以前と同じお尻拭きを使用していますが、以前の方法では十分に汚れが取れていなかったのだと実感しました。

大坂さん
シャワーボトルで陰部洗浄を行っていた時には、陰部にこびりついた汚れは何度も擦らないと落ちず、その分皮膚への摩擦も多く負担をかけていました。拭き取り泡ボディソープは、泡をなじませるだけで汚れが簡単に取れるので、皮膚を擦る回数が減りました。陰部洗浄に使用する泡の量も、多量の便で汚染されていなければ基本的に1プッシュで十分です。また、シャワーボトル使用時に必要だった洗い流した水や洗浄剤を受けるパッドが不要となり、ゴミも減りました。香りも良く、気に入っています。

山本さん
これまで使用していたボディソープでは汚れ落ちが悪く、洗い流しも必要なため陰部洗浄に時間がかかっていましたが、拭き取り泡ボディソープに変更後は時間が短縮され、利用者からも「もう(陰部洗浄が)終わったの?」「すごいね」と声をかけていただくことがあります。また、以前は陰部洗浄時に漂う臭いが気になっていましたが、拭き取り泡ボディソープを使用するようになってからは臭いが気にならなくなり、精神的負担が大幅に減りました。臭いに敏感な利用者からも、「いつもより臭いが少ない」とのお声がありました。

西坂さん
陰部洗浄は利用者にとって羞恥心を感じやすい行為であり、抵抗感を持つ方もいます。拭き取り泡ボディソープの導入で時間短縮が可能になり、利用者の精神的負担も軽減できています。

山本さん
拭き取り泡ボディソープは、褥瘡周囲皮膚や身体の清拭にも使用しています。高齢者は乾燥肌の方が多く、肌が脆弱化して皮膚剥離のリスクがあるため、皮膚の状態には注意しなければなりません。拭き取り泡ボディソープには保湿成分も配合されている点が魅力的です。

吉川さん
乾燥肌の利用者を拭き取り泡ボディソープで身体清拭したところ喜んでいただけたので、身体清拭だけでなく、リラクゼーションの目的でも使えると感じました。利用者に喜んでもらいつつケアができるので、一石二鳥だと思います。

ICT機器の活用

西坂さん
私が病院で働いていた時、職員間の連絡にはPHSを使用していました。しかし、ケアの途中でPHSが鳴った場合、汚染された手袋のままPHSに触れてしまったり、手袋を外しても手指衛生を行わずにPHSに触れてしまったりする可能性があり、それが感染拡大に繋がる恐れがあると考えていました。そこで当施設では、手で触れずに応答できるインカムを導入しました。インカムは毎日使用後に環境清拭用のクロスで清拭しています。それ以外にも、職員通路にはICカードシステムを導入し、ボタンを押さなくても職員が入室できるようにしています。ICT機器を積極的に取り入れ、業務効率化や感染対策に繋げています。

最後に

西坂さん
当施設で提供しているケアは、利用者やご家族から良いケアと評価していただいています。その理由は、業務効率化を図る物品を積極的に導入することで、職員に時間的余裕が生まれ、職員が元気に働けているからだと思います。残業もほとんどなく、職員教育の時間も確保できています。一般的に経営層は設備投資に対して経営面の不安を抱きがちですが、経営のためには安定したケアの提供が必要です。そのためには、良いケアを行える環境を作ることが大切だと考えています。

メニーピープル広島石内

〒731-5162 広島県広島市佐伯区石内東1丁目2番1号
https://www.manypeople.co.jp/

定員数:111名 職員数:看護師約40名、介護福祉士18名、理学療法士3名 他

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