健康すまいる 2025 vol.36
トピックス
ゴム手袋に含まれている加硫促進剤による手荒れ
※本記事は、「健康すまいる vol.36」(2025年5月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ゴム手袋による手荒れ
1. アレルギー性接触皮膚炎(遅延型過敏症/Ⅳ型アレルギー)
アレルギー性接触皮膚炎は、異物が皮膚に接触することにより起こる遅延型のアレルギー反応です1)。原因物質(主に分子量1,000以下の化学物質)が皮膚表面から体内に入ると、免疫細胞がその原因物質を異物だと認識し、細胞組織を攻撃します2, 3)。これによって炎症が起こり、皮膚の痒みや紅斑、水疱、ヒリヒリ感などの湿疹の症状、いわゆる「手荒れ」が生じます1, 2)。症状は、原因物質に接触してから数時間~48時間後に現れます1)。
ゴム手袋の製造工程で様々な化学物質が添加されますが、その中の「加硫促進剤」は、アレルギー性接触皮膚炎を起こしやすい物質として知られています1, 3)。
アレルギー性接触皮膚炎の原因物質は加硫促進剤だけでなく、老化防止剤や抗酸化剤、色素など多岐に渡り、どれが原因で発症するかは人によって異なるよ1, 3)。
2. ラテックスアレルギー(即時型過敏症/Ⅰ型アレルギー)
ラテックスアレルギーは、天然ゴム製品に含まれるラテックスタンパク質が原因で引き起こされる即時型のアレルギー反応です1, 3)。症状は、ラテックスタンパク質に接触してから数分以内に出現します1)。皮膚の痒みや紅斑、蕁麻疹などが現れ、重篤な場合は、呼吸器症状やアナフィラキシーショックなど全身症状に至ることもあります1, 3)。
近年、天然ゴム製のラテックス手袋の使用は減ってきているよ3)。
3. 刺激性接触皮膚炎
刺激性接触皮膚炎は、アレルギー反応ではなく、手袋の着用による皮膚の閉塞や刺激などにより発症します。症状は、乾燥や痒み、ヒリヒリ感、水平状の割れ目などが出現します1)。
加硫促進剤
一般的にゴム製品の製造工程では、ゴムの弾性・耐熱性・耐疲労性を得るために「加硫」を行います1)。加硫(未加硫ゴムに硫黄を添加し加熱)を行うと化学反応が起こり、硫黄によってゴムの分子が連結します(硫黄架橋形成)4)。これにより、弾性を得ることができますが、加硫には時間がかかるので、加硫反応を促進して時間を短縮するために「加硫促進剤」が使用されます1, 4)。
対策
アレルギー性接触皮膚炎の発症を防ぐためには、原因物質を回避することが重要です1)。手荒れの原因が使用しているゴム手袋にあると考えられる場合は、そのゴム手袋の使用を中止します。そして、原因物質を明確にすることが大切です。原因物質の同定にはパッチテストが有用であり、実施する際は、原因と考えられるゴム手袋に加えて、加硫促進剤を含む24種類の試薬で構成されたJSA/JBS2015の貼付が推奨されています1-3)。
原因物質の同定とともに、使用手袋の原材料を確認し、原因物質の非含有もしくは低含有の製品を使用します1, 3)。例えば、加硫促進剤が原因である場合は、加硫促進剤を含まない手袋の選択・使用が勧められます。
参考文献
1)日本ラテックスアレルギー研究会. ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018. 2018. 協和企画.
2)日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン改定委員会. 接触皮膚炎診療ガイドライン2020. 日皮会誌. 130(4). 523-567.
3)宇賀神つかさ. 手袋によるアレルギーとその対策. 感染対策ICTジャーナル. 2022. 17(4). 312-317.
4)小松智幸. 加硫促進剤. 日本ゴム協会誌. 2009. 82(1). 33-38.

