健康すまいる

健康すまいる 2024 vol.34

感染対策インタビュー

医療法人社団 葵会介護老人保健施設 葵の園・松戸

※本記事は、「健康すまいる vol.34」(2024年9月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

葵の園・松戸は葵会グループに所属する介護老人保健施設で、要介護1以上の利用者が入居されています。施設は3階建てで、3階は認知棟、2階は一般棟、1階は通所リハビリテーション(デイケア)です。外国人職員を積極的に受け入れており、フィリピン人のクリステルさんは2023年度に感染対策委員長を務められました。今回は2023年度の感染対策委員会メンバーに日頃の感染対策やご愛用のサラヤ製品について取材しました。
取材日:2024年6月7日

外国人職員の受け入れ

杉田さん(看護師長)
葵会グループはEPA(経済連携協定)制度に基づく看護師・介護福祉士候補生を海外から積極的に受け入れており、働きながら国家資格取得を目指す取り組みに力を入れています。当施設でも候補生の実習を受け入れています。国家資格取得後もここで働きたいと希望する人が多く、職員として現在働いている人もいます。全介護職員34名の半分近くが外国籍の方で、国籍はフィリピンやネパール、ベトナムです。また中国籍の看護師もいます。

感染対策委員会について

クリステルさん(介護士)
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)禍で、介護現場での感染対策の重要性を実感し、自身の勉強のために、2023年度の感染対策委員長に自ら立候補しました。この年の委員会では「感染させない環境整備」という年間目標を立てて活動し、物品(車椅子など)の清掃やシーツ交換時の環境整備ができているかを委員会で話し合いました。

髙𣘺さん(看護師)
手洗い場や浴室、トイレなどの水回りは感染対策委員が予告なしにラウンドしチェックしました。手洗い場は石けんカスで白く汚れていないか、口腔ケア後の残骸がないか、石けんが衛生的に管理されているか、ペーパータオルがケースに入っているかなどを確認します。この活動は2024年度の委員会でも継続して行っています。

コロナクラスター発生と手指衛生環境の改善

杉田さん
昨年5月に施設内で初めてコロナクラスターが発生し、利用者75名(2階37名、3階38名)、職員15名(2階8名、3階7名)が感染しました。3階の短期入所者が、入所翌々日に発熱し、抗原検査で陽性を確認しました。この時点で既に他の利用者も次から次へと感染している状況で、3階で一気に感染拡大し、収束までに1か月ほど要しました。3階での感染が落ち着いた約1週間後、2階で感染者が出ました。この時は3階の状況とは異なり、毎日数名ずつ感染者が出て、収束には2か月ほどかかりました。

髙𣘺さん
クラスターの時、各職員は手指消毒剤を詰め替えたミニボトルをポケットに入れて携帯していましたが、使用する際にポケットから出して、ボトルの蓋を取って手指消毒し、使用後はボトルの蓋を閉め、またポケットに入れるといった動作が必要で、使い勝手が悪く、このミニボトルはあまり使用されていない状況でした。また、詰め替えによる微生物汚染や作業の手間なども気になっていました。そのような中、訪問した葵会グループの病院では携帯用手指消毒剤とポーチを使用し、手指消毒剤を3週間毎に交換するために管理表を作成していました。クラスターの経験から手指衛生環境の改善が必要だと考え、当施設でも携帯用手指消毒剤とポーチを導入することにしましたが、それらを職員に配るのみでは、ただ単に持っているだけになってしまいます。適切な手指消毒を行って手指消毒剤の使用・交換が定着するよう、交換時に各職員が氏名と交換日を記載する管理表を作成しました。管理表は感染対策委員会が毎月チェックし、2か月以上交換していない職員がいれば、声掛けをするようにしていますが、全職員1か月ほどで交換してくれています。
携帯用手指消毒剤とポーチはサラヤの製品を採用しました。サラヤのポーチは手指消毒剤以外にもメモやボールペンなど、必要な物が入るので、とても便利です。
ポーチは更衣室には持ち込まないようにし、ステーションに置いて帰ります。これはフロア/更衣室を清潔/不潔エリアとしてきちんと区別するためです。またポーチを着けるときは手指消毒をしてから着用します。

杉田さん
手指消毒剤検討時に、サラヤ営業担当者に各手指消毒剤(サニサーラ Aqua Light H、サニサーラ ラベンダーの香り、ウィル・ステラVHジェル)の特徴を教えてもらいました。各々に魅力的な特徴があるので、自分に合った手指消毒剤を自分自身で選んで使ってもらいたいと思い、3種類全て採用しました。各自の選択に際しては、サラヤのホームページから情報収集して作成した手指消毒剤比較資料を参考にしてもらいました。配合成分などの製品情報だけでは読んでもらえないので、各消毒剤の特徴を職員に分かりやすく伝えられるよう、ノロウイルスの流行期にはウィル・ステラVHジェル(ウイルスの特徴を説明した上で)、配合している保湿剤の種類が多いのはサニサーラ Aqua Light Hなど、手指消毒剤を使い分けるポイントも併せて記載し、興味をもって読んでもらえるようにしました。

髙𣘺さん
薬剤庫に3種類の手指消毒剤を並べて置いているので、交換が必要になったら好きな手指消毒剤を選び、管理表に氏名と交換日を記載します。3種類のうち、サニサーラ ラベンダーの香りが人気です。私も少し前まではウィル・ステラVHジェルを使用していましたが、今は気分を変えてサニサーラ ラベンダーの香りを使っています。看護師長(杉田さん)が「ラベンダーの香りで少しでも癒しを、気分が落ち着けば」という思いで採用してくれましたが、実際使用してみて、とても良い香りなので気に入っています。

クリステルさん
3種類全て使いましたが、個人的にはウィル・ステラVHジェルが私の肌に合い、使用感もサラサラしているので気に入っています。

河上さん(介護士)
私は手荒れがひどいため、アルコール手指消毒剤を使うことができません。その分、手洗いをしっかり行っています。以前は液体石けんを使っていましたが、しみて痛く、いつも泣く泣く手洗いをしていました。そのような中、泡石けんのホイップウォッシュを紹介してもらい、試してみたら、しみなかったので採用することにしました。

クリステルさん
サラヤ営業担当者による手指衛生の勉強会で、手指衛生のタイミングや手順を教えてもらいました。ポーチで手指消毒剤を携帯しているので、必要なタイミングですぐ手指消毒ができます。また、手洗いチェッカーを使って正しく手洗いができているかを全職員に確認してもらいました。
正しい手指衛生手順・タイミングを学んだこと、ポーチを導入したこと、手荒れに配慮した製剤を複数導入したこと、これら全て感染予防として効果があると思っています。実際にその後は、インフルエンザやノロウイルス感染症の施設内感染は起こっていません。

今後について

河上さん
様々な感染対策に取り組んできて、改めて手指衛生の重要性が分かりました。施設内の感染拡大を防ぐためにも、感染対策に関する知識を今後も身につけていき、感染者が出た場合にはすぐに適切な対応がとれるよう施設全体で取り組んでいきたいと思っています。

髙𣘺さん
2023年度にみんなで頑張って取り組んできた「手指衛生環境の改善」や「環境整備の強化」などの感染対策は今後も継続して定着させることが重要です。私は2024年度も感染対策委員会に入っているので、それを目標に活動していこうと思います。

クリステルさん
2023年度は、全職員が適切な吐物処理ができるよう、床に嘔吐した場合の吐物処理方法の動画を撮影しました。2024年度は、さらに場面別の吐物処理方法を検討し、食事中に嘔吐した場合など様々な場面での吐物処理方法の動画を作成する予定です。外国人職員がいるので、言葉で説明するよりも、動画で見るほうが分かりやすく覚えてもらえると考えています。

杉田さん
長い間、施設内でノロウイルス感染者が出ていないため、吐物処理方法を分かっていても、実際にできる人はそれほど多くないと思います。また、手洗いについては、研修時に一生懸命手を洗っていても、普段は研修で学んだことを活かせず、きちんと手洗いができていない人がいます。全職員がいつでも正しい感染対策を実施する必要があるため、同じレベルの感染対策を全職員が身につけられるようにするのが今後の課題です。

医療法人社団 葵会介護老人保健施設 葵の園・松戸

〒270-2252 千葉県松戸市千駄堀1103-1
TEL:047(312)1122
https://www.aoikai.jp/matsudo/

定員数:【入所】100床(一般棟60床、認知棟40床)
    【通所】90名/日

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kenko34-interview.pdf