「Prof. Pittet’s seminar」開催レポート
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2024年1月末より、ジュネーブ大学病院医学部の感染管理プログラムや、WHO患者安全コラボレーションセンターのディレクターを長年務められた病院疫学者であるDidier Pittet先生が、医療従事者向けの講演の為、マレーシアと日本を訪問されました。
- 1.マレーシアでのセミナー
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1月23~24日、マレーシアではClean Hospials TTTを開催。TTTとは、Train the Trainerを意味し、手指衛生の指導者を育成する目的で、ジュネーブ大学感染管理チームによって作られたコースです。これはWHO手指衛生多角的戦略に基づいた医療施設での実践を想定したものです。今回は従来の手指衛生から環境衛生へとテーマが移行。医療関連感染を防ぐ為の環境衛生に関わる知識を身につける為、マレーシア全土から約160名の医療従事者が集まりました。初日は、環境衛生の基本的知識や、2023年9月に公開されたHEHSAF (Healthcare Environmental Hygiene Self-Assessment Framework) に関わる情報、施設での事例紹介等が講義形式で発表されました。
- 2.日本でのセミナー
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翌月、2月4日にはその場所を日本に移し、TTT Validationセミナーを開催。マレーシア、スイス、日本の講師陣から講義が進められました。これは、TTT講師としての資格の合否を受けるための認定セミナーです。日本では2020年から手指衛生TTTが複数回開催されていて、日本全国から医療従事者35名が参加しました。講義の後はビデオ教材を使用した試験と質疑応答も実施。その結果はTTT講師陣によって確認され、凡そ1ケ月程で参加者にフィードバックされる予定です。
翌5日は、手指衛生 Step Up セミナーと題し、手指衛生に関するサラヤ主催のセミナーが開催されました。会場は満席となり、多くの現地参加者、2,200名以上のオンデマンド配信希望者がありました。Pittet先生からは、手指衛生だけでなく、病院全体をClean にする取り組みとしてClean Hospitalsについてもご紹介がありました。日本の10病院からも演者を招き、WHO手指衛生多角的戦略に基づいた各施設の取り組みや課題についても発表を頂きました。
Pittet先生の日本滞在中は、西日本を代表する病院にも訪れ、講演を行うと共に現場をラウンドし、直接的なアドバイスもなされました。参加者からは「これまで手指衛生活動を長年やってきたが、Pittet先生のような方からのアドバイスはまだまだ必要であると感じた」「これまでの活動を認知していただけるいい機会になった」というコメントを頂きました。「世界の国々と協力して手指衛生に貢献している企業があるということが素晴らしい。サラヤのチームワーク、組織文化の素晴らしさにも感銘を受けました」とのご意見も頂く事ができました。