「第38回 日本環境感染学会総会・学術集会」開催レポート
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2023年7月20日(木)~22日(土)にパシフィコ横浜にて、第38回日本環境感染学会総会・学術集会が開催されました。サラヤは「ランチョンセミナー」の共催と出展企業として参加いたしました。
ランチョンセミナーおよび展示会場へご来場ならびにWebにてご参加いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
- 学会全体を通して
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第38回日本環境感染学会総会・学術集会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類感染症へ移行後初の開催となりました。
今回の学術集会は、会長の満田 年宏先生のお考えのもと、「極(Professionalism)」というテーマで、参加者が科学的な根拠に基づいた最新の感染対策について互いの研究成果の発表や、学術集会参加による最新知見を習得することで、感染予防師(Infection Preventionist,IP)としてのProfessionalismを極めることを目的とし、ハイブリッド形式(会場開催+Live配信)にて開催されました。特別講演、教育講演、シンポジウム、一般演題口演・ポスターなど合計約800の演題が登録され、会場参加者とWeb参加者の合計は約5,700名でした。さらに、前回同様、オンデマンド配信も実施され(一般演題口演・ポスター、一部講演を除く)、気になる講演を後日改めて視聴することもできました。
- サラヤ㈱共催ランチョンセミナー
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日時 2023年7月22日(土)12:00~13:00 会場 第5会場(パシフィコ横浜 ノース1階・G5) 演題 手指衛生の評価と改善 座長 髙橋 聡先生
札幌医科大学医学部 感染制御・臨床検査医学講座 教授
演者 坂本 史衣先生
聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネジャー
講演より
坂本先生には、『手指衛生の評価と改善』というテーマで、①ガイドライン②多角的戦略③モニタリング・評価・フィードバックの3構成でご講演いただきました。
手指衛生に関するガイドラインについては、WHOやCDC、SHEA/IDSA/APICからガイドライン、カナダ オンタリオ州公衆衛生局からベストプラクティスが発行されています。ご講演では始めに、これらガイドライン等で推奨されている内容を中心に、手指衛生を「いつ」「なぜ」「どのように」実施するかという観点から解説していただきました。手指衛生はタイミングが重要ですが、患者接触/処置前の手指衛生が省略される場合が多いことや、日常業務と各種ガイドラインで示されているタイミングが繋がらないことも多いといった現場の実情についても触れられました。これらの課題を解決するために、現場の実情に応じたシミュレーション等でスタッフ間の目線合わせを行うことが重要とご教示いただきました。
更に、手指衛生の遵守率を向上させるための多角的戦略についてご紹介がありました。「環境改善と体制整備」ではSHEA/IDSA/APICのガイドラインの話が印象的で、手指消毒剤の設置場所として「目立つ」「近い」「動線上」がポイントとして挙げられているとのことでした。続いて「リーダーシップ」では、「手指衛生が医療の質を高めることに繋がるんだ」というリーダーの熱意が、組織における手指衛生の遵守率向上に最大の影響を与えることをお話いただきました。
最後にモニタリングとフィードバックについて、手指衛生の遵守率を向上させるためには不可欠であり、非常に重要であるとお話いただきました。モニタリングについては、直接観察法がゴールドスタンダードですが、1つの方法だけをひたすら実施するのではなく、各種方法の長所と短所を理解したうえで、科学的根拠に基づく複数の方法を組み合わせて実践することが重要であるとお話されていたことが印象的でした。フィードバックについては、双方向に行うことで職員の当事者意識や自己効力感が高まり、組織全体で手指衛生の遵守率向上に取り組むことへ繋がるとのことでした。
講演後のアンケートでは、93%の方が手指衛生について何らかの課題を抱えていると回答され、改めて手指衛生の難しさとその重要性を認識しました。
受講者の声(抜粋)
- 具体的な方法やガイドラインなどを多く知ることができた。直接観察法導入に役立つ知識を多く得られた。
- 具体的な方法・エビデンスなどを織り交ぜて説明いただいたので、とてもわかりやすく理解できた。
- COVID-19の5類移行に伴い、直接観察を始めたところでしたのでとても参考になった。
- 組織を巻き込んで手指衛生の向上を目指すことが大切であることがわかった。
- 実践的かつ科学的な手指衛生の向上の策について教授いただけた。
- 現場の状況が考慮された内容の話で実用できそうだった。
- 指導の仕方・評価方法についてとても勉強になった。
- 双方向のフィードバックのコツがわかった。
- ラウンド時に活かせそうな話が聞けた。
- 自身の施設での手指衛生促進の取り組みの参考にしたい。
- 展示
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今年は「感染対策のトータルソリューション」をテーマに、サニサーラ ラベンダーの香り、サラヤ サージカルマスクEx、サラヤ ニトリルグローブエクステンド、紫外線照射装置SEPALIGHT、各種環境清拭用クロス、ベッドパンウォッシャーなど、感染対策に関する製品を幅広く展示しました。
また、自動手指衛生装置UD-9600Rのカスタマイズ例や大型手指消毒装置プロテゲートワイド、プロテゲートスマートなどの新製品や今後発売予定のICS-Ⅱ(ICS-1のリニューアル品)などもご紹介させていただきました。
また、今回はアンケートに回答いただいた方に新作の「新型コロナウイルス」のぬいぐるみをプレゼントする企画を行いました。以前からサラヤが制作するバイキン・ウイルスのぬいぐるみは人気が高く、お客様が殺到するほど大盛況でした。
- Medical SARAYA事務局より
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今年はCOVID-19が5類感染症へ移行後の開催となりました。ここ2年ほどは満席になるセッションは見受けられませんでしたが、今年はCOVID-19流行前のように活気づいており、満席となっているセッションが多く見受けられました。各地でCOVID-19のご対応等でお忙しい中、弊社のランチョンセミナーおよび展示ブースへのご来場、ならびにWebにてご参加いただきました皆様に改めて御礼申し上げます。ランチョンセミナーおよび展示ブースにて頂戴しました多くのご意見、ご要望は今後の弊社の事業や商品開発に役立てていく所存でございます。
来年は「楽しく学ぼう感染対策 集え、京都へ!」をテーマに2024年7月25日(木)~27日(土)に京都国際会館にて開催されます。メーカーとして感染対策に取り組む皆様へのお力添えができるよう励んで参りますので、今後とも、一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。