セミナー・展示会情報

「第37回 日本環境感染学会総会・学術集会」開催レポート

 2022年6月16日(木)~18日(土)にパシフィコ横浜にて、第37回日本環境感染学会総会・学術集会が開催されました。サラヤは「ランチョンセミナー」の共催と出展企業として参加いたしました。
ランチョンセミナーおよび展示会場へご来場ならびにWebにてご参加いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

学会全体を通して

 第37回日本環境感染学会総会・学術集会は、開催をこれまでの2月より、6月または7月へ変更された最初の年となりました。また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のために、「第36回日本環境感染学会総会・学術集会」が2021年2月より延期され9月開催となったため、前総会・学術集会が終了してから9か月での開催となりました。
今回の学術集会のテーマは、「コロナ時代の感染制御を学ぶ」と銘打って、COVID-19およびその他多くの感染対策について活発に討論をする学会としたいという会長の吉田 正樹先生のお考えのもとハイブリッド方式(現地参加+オンライン参加)にて開催されました。特別講演、教育講演、シンポジウム、一般演題口演・ポスターなど約470の演題が登録され、現地参加者とWeb参加者の合計は約4,500名でした。さらに、前回同様、オンデマンド配信も実施され(一般演題口演・ポスター、一部講演を除く)、気になる講演を後日改めて視聴することもできました。

ランチョンセミナー
日時 2022年6月18日(土)12:10~13:10
会場 第3会場(パシフィコ横浜 ノース・G4)
演題 医療環境のシンクを含めた湿潤環境における感染リスクとその対策
座長 泉川 公一先生
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床感染症学分野
長崎大学病院 感染制御教育センター
演者 中村 造先生
東京医科大学病院 感染制御部・感染症科

 泉川 公一先生(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床感染症学分野/長崎大学病院 感染制御教育センター)に座長をお務めいただき、中村 造先生(東京医科大学病院 感染制御部・感染症科)に『医療環境のシンクを含めた湿潤環境における感染リスクとその対策』というテーマでご講演いただきました。

講演より

 医療・介護現場においては、薬剤耐性菌が大きな問題となっており、そのひとつとして水回りの薬剤耐性菌が原因のアウトブレイクがあります。
中村先生には、数多くの論文や自施設での事例をご紹介いただきながら、私たちが使用する水や水回り環境の微生物汚染リスクやその対策を幅広くご講演いただきました。
特にシンクからの水の跳ね返り(Splash back)のリスクや、シンクに様々な排液や栄養剤の残りを廃棄することにより、排水トラップが微生物の培地となる可能性があり、汚染された排水トラップからは「1日1インチ微生物が這い上がる」というお話が印象的で、シンクを含む湿潤環境に潜むリスクについて認識する機会となりました。弊社の自動手指衛生装置「ICS-1」を使用体験いただいた感想として、Splash backが非常に少なく衛生管理に配慮されたシンクとご紹介いただきました。
また、トイレの感染リスクについて、ご自身の病院で全病棟のウォシュレットを環境培養調査されたお話も興味深く、清掃方法については「医療機関におけるトイレ清掃マニュアル作成のための手引き(一般社団法人 日本レストルーム工業会)」を参考にすることをご教示いただきました。
最後に、医療環境での水回りの感染対策として、水の安全に関するプラン(Water Safety Plan:WSP)の作成や、ICTやASTのような多職種連携チーム(Water Safety Team:WST)を施設内で組織し、活動することの重要性をお話しいただきました。
講演後のアンケートでは、「水回りの管理について、何らかの問題を抱えておられますか?」という質問に対して、70%の方が問題を抱えていると回答され、改めて水回りの感染対策の難しさとその重要性を認識しました。

受講者の声(抜粋)

  • 当センターでもレジオネラが出たので、今実施している対策もあった。
    しかし、今回新たに取り組めることがたくさんあったので、さっそく始めてみようと思う。
  • シンクのSplash backの感染に関する重要性が認識できた。
  • シンクにおけるグラム陰性桿菌のリスク、Splash backから患者自身がそれらの菌を日常生活に持ち帰り環境汚染につながる可能性、さらにその環境から医療関連感染につながる可能性など、非常にわかりやすかった。
  • シンク周辺の清掃は問題にしていたので、どのようなところを解決すべきかわかった。
  • 貯湯槽、貯水槽、温度調整器、Hospital Water Hygiene研究会など初めて聞いた内容が多く、非常に興味深かった。シンクについてもSplash backを回避できる構造かどうかの視点が不足していたので大変勉強になった。
  • スタッフステーションが狭く、水回り環境にも物が多いため、汚染が心配である。
展示

 今年度は「感染対策における環境マネジメント」をテーマに、自動手指衛生装置ICS-1、紫外線照射装置SEPALIGHT、各種環境清拭用クロス、ベッドパンウォッシャー (アトムベッドパンウォッシャー、CLINOX 3A AUTO)など、環境問題に対するソリューションを中心にご紹介させていただきました。
また、サニサーラAqua Lightや針捨てBOX0.2L、立位補助具 (Sara Stedy Compact)、手術用手袋シルキーフィットなどの新製品、今後発売予定の香付き手指消毒剤サニサーラ ラベンダーなど幅広く展示しました。サニサーラAqua Lightは実際にその場でご試用いただき、「ジェル状なのに繰り返し使用してもべたつかない」、サニサーラ ラベンダーでは「とてもいい香り」とご好評いただきました。

  • 速乾性手指消毒剤サニサーラAqua Light

    エタノール76.9~81.4v/v%を含有するアルコールジェルで、手肌に塗布した瞬間、すばやく広がり、繰り返し使用してもべたつかない

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  • 自動手指衛生装置ICS-Ⅱ

    感染対策に配慮した、医療・介護従事者向け手洗いシンク

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  • 紫外線照射装置SEPALIGHT

    紫外線を環境表面に直接照射し、主に高頻度接触表面の微生物不活化に効果を発揮

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  • 感染性廃棄物回収容器サラヤ針捨てBOX

    針や鋭利物を取り扱う医療従事者のために、CDC(米国疾病管理予防センター)のNIOSHが求める機能性・アクセスの容易さ・視認性・便宜性が考慮された、針刺し切創防止用の廃棄容器

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Medical SARAYA事務局より

 今年も昨年に引き続き、COVID-19の感染が継続する中での開催となりました。COVID-19のご対応等でお忙しい中、弊社のランチョンセミナーおよび展示ブースへのご来場ならびにWebにてご参加いただきました皆さまに改めて御礼申し上げます。ランチョンセミナーおよび展示ブースにて頂戴しました多くのご意見、ご要望は今後の弊社の事業や商品開発に役立てていく所存でございます。
来年は2023年7月20日(木)~22日(土)にパシフィコ横浜にて開催されます。メーカーとして感染対策に取り組む皆様へのお力添えができるよう励んで参りますので、今後とも、一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。