環境中の微生物は埃の中で生存しています。乾いた布やほうきで清掃すると、微生物を空気中に舞い上がらせてしまうため、日常清掃では水分を含ませた布やモップを使用した湿式清掃により埃や汚れを除去することが基本です。
薬剤の選び方
日常清掃に使用する薬剤については、以下の理由から、洗浄効果と消毒効果を併せ持つ薬剤(除菌洗浄剤)の使用が効果的でかつ実用的です。
薬剤耐性菌対策:薬剤耐性菌による汚染の可能性、伝播を未然に防ぐ予防的観点
コスト:洗浄剤のみを使用する場合と比べ、コストの差がほとんどない
手間(効率):汚れの除去と除菌が同時に可能
感染症流行期の対応
ノロウイルスなどの感染力の強い感染症流行期には、より抗微生物スペクトルの広い薬剤(該当微生物に有効な除菌剤など)の選択も検討しましょう。
日常清掃の具体的ポイント
高頻度接触表面
ドアノブ、ベッド柵、オーバーテーブルなど、直接接触する頻度が多い部分
高頻度接触表面は、低頻度接触表面より高い頻度で清掃し、必要に応じて消毒します。
第四級アンモニウム塩や両性界面活性剤を含んだ除菌洗浄剤などで1日1回以上清掃します。使い捨てで薬液調製の手間や雑巾などの清掃用具の管理も不要な薬液含浸クロスの使用が推奨されます。
クロスの使い方のポイント
「1ヶ所1枚」が基本
別の場所や物品を清拭する際には、その都度新しいクロスに交換しましょう。
クロスの汚れがひどい場合や薬液が蒸発し乾燥してきた場合は、都度新しいものに交換しましょう。
スプレー剤の使い方のポイント
環境表面に薬液を直接スプレーするだけでは、ムラが発生し十分に除菌・消毒できない可能性があります。スプレー剤を使用する場合は、ピンポイントにスプレー後拭き上げる、または不織布などに薬液を浸み込ませてから清拭しましょう。
広範囲の環境への薬液散布は吸入リスクや精密機械の故障の原因になるため、必ず不織布などにしみこませてから清拭しましょう。
低頻度接触表面
床や壁など、直接接触する頻度が少ない部分
水平表面(床など)は第四級アンモニウム塩や両性界面活性剤を含んだ除菌洗浄剤などで最低1日1回清掃します。垂直表面(壁やカーテンなど)は目に見える汚染がある場合に清掃・交換を行います。
清掃用具の適切な使用と管理
オフロケーション方式による清掃
モップや雑巾などの清掃用具は、バケツ内で洗いながら繰り返し使用すると洗浄液が汚染され、環境表面に汚染を広げる可能性があります。そのため、汚れたら新しいものに次々と交換しながら清掃する「オフロケーション方式」での使用が推奨されます。
使用後清掃用具の管理
使用後の清掃用具は、湿ったまま放置するなど不適切な管理により微生物が増殖する可能性があります。そのため、適切に洗浄・消毒し(洗濯機で85℃10分の熱水洗濯など)、必ず十分に乾燥させてから清潔に保管することが重要です。
参考
1)国公立大学附属病院感染対策協議会 編集, 病院感染対策ガイドライン2018年版, じほう, 東京, 2018.
2)CDC. Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities. 2003.
3)大久保憲, 尾家重治, 金光敬二 編集, 2025年版 消毒と滅菌のガイドライン, へるす出版, 東京, 2025.




