医療・福祉施設で問題となる微生物の多くは、環境中で長期間生存することがあります。代表的な微生物が環境表面で生存し続ける期間については、表のとおり報告があります。
表. 環境表面における各種微生物の最長生存期間
微生物 | 最長生存期間 | |
|---|---|---|
グラム陽性菌 | 黄色ブドウ球菌 | 318日 |
クロストリディオイデス・ディフィシル | 140日 | |
バチルス属菌 | 28日 | |
エンテロコッカス属菌 | 287日 | |
グラム陰性菌 | アシネトバクター属菌 | 90日 |
大腸菌 | 56日 | |
肺炎桿菌 | 600日 | |
シュードモナス属菌 | 7日 | |
サルモネラ属菌 | 5日 | |
セラチア属菌 | 20日 | |
真菌 | カンジダ・オーリス | 14日 |
カンジダ属菌 | 28日 | |
ウイルス | 動物ウイルス*1 | 7日 |
ヒトウイルス*2 | 12日 | |
SARS-CoV-2 | 2日 |
*1 仮性狂犬病ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ネコカリシウイルス、イヌパルボウイルス
*2 A型肝炎ウイルス(HAV)、単純ヘルペス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス
文献1より一部改変
このように微生物は環境表面で数か月から1年以上も生存し続けるため、環境整備が不十分な場合、これらの微生物が患者(利用者)や職員に伝播するリスクがあります。医療関連感染リスクを減らすためには、環境整備も重要な感染対策といえます。
実際に、医療機関における環境整備の不備による感染リスクについては多数報告されています。微生物を保有した患者が退院した後の病室に、次に入院する患者の微生物獲得リスクについて調査したシステマティックレビューでは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やクロストリディオイデス・ディフィシル、ノロウイルスなど、対象となった全微生物を統合した解析において、微生物獲得リスクが有意に高かったことが報告されています(オッズ比(OR)2.45(95% CI: 1.53–3.93))。
参考
1)Porter L, Sultan O, Mitchell BG, et al.: How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A scoping review. J Hosp Infect. 2024; 147: 25-31.
2)Mitchell BG, McDonagh J, Dancer SJ, et al.: Risk of organism acquisition from prior room occupants: An updated systematic review. Infect Dis Health. 2023; 28(4): 290-297.

