健康すまいる 2026 vol.41最新号
健すまインタビュー
社会福祉法人紫水会
※本記事は、「健康すまいる vol.41」(2026年9月発行)に掲載した内容です。記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
紫水会は、高齢者施設を20施設(東京都1施設、愛知県19施設)、障がい者施設1施設、保育施設4施設、名古屋市委託事業2事業所を運営している大規模法人です。今回は、法人の感染対策委員会の活動についてお話を伺いました。
取材日:2026年6月8日
法人全体での感染対策
西さん(オーネスト熱田の杜 副統括看護主任兼看護主任)
紫水会では、各施設の感染対策委員会に加え、法人内の高齢者施設と障がい者施設の感染対策を統括する部門として法人感染対策委員会(以下、当委員会)を設置しています。当委員会は、私たちを含めた4名で構成されており(以下、法人感染対策委員)、各々の所属施設での勤務に加え活動を行っています。法人感染対策委員は、サラヤのセミナーや外部の感染対策講習会・勉強会に積極的に参加させていただき、日々感染対策の知識の蓄積に励んでいます。
当委員会発足のきっかけは、各施設の感染対応、マニュアルがバラバラな状態だったことです。それを統一する目的で2014年に当委員会を立ち上げ、平時の感染対策と感染症発生時の感染対策を記載した法人感染対策マニュアル(以下、マニュアル)の作成が始まりました。現在は、高齢者施設と障がい者施設で法人共通のマニュアルを活用することができています。マニュアルは毎年見直し、厚生労働省の発出内容を反映させ、毎月開催している法人全体の医務主任会議にて各施設で挙がった意見の中から必要な内容を当委員会で検討して反映させたりもしています。
それ以外にも、定期的な感染対策ラウンドを行っている他、感染症が拡大した施設では、随時、対応方法を確認するためのラウンドも行っています。
法人感染対策委員会による感染対策ラウンド
斉藤さん(オーネスト名西 副統括看護主任兼看護主任)
当委員会の主な活動は感染対策ラウンドです。当委員会が発足して間もない頃、法人内施設で感染症が拡大し、なかなか収束しないということがありました。法人感染対策委員が施設に直接確認しに行ったところ、マニュアルが守られておらず、多くの指摘事項がありました。このことから、感染症が発生してから確認に行くのではなく、定期的に確認をして未然に防ぐ必要があると感じ、法人内施設の感染対策定期ラウンドを開始しました。
西さん
定期ラウンドは、愛知県内の高齢者施設20施設と障がい者施設1施設の合計21施設を対象に実施しています。毎月ラウンド実施日を設けて、午前に1施設、午後に1~2施設を訪問します。1回目のラウンドは月初に行い、月末に改善状況確認のための2回目のラウンドを行います。そのため、1カ月の内に同施設を2回ラウンドしています。なお、2回目で指摘箇所が多い場合には、3回目のラウンドに行くこともあります。年間を通じてすべての対象施設をラウンドしています。
ラウンドは法人感染対策委員が行っていますが、2026年度からは、各施設の主任にどういった点をチェックしているのかを見てもらうため、ラウンド実施施設の主任および翌月のラウンド予定施設の主任に同行してもらっています。
ラウンド確認項目は法人内共通です。毎年、介護・厨房・医務・相談員の各部門委員会にて、確認項目の見直し、項目のピックアップをしています(4部門5項目計20項目、毎年大きな変更はなし)。
斉藤さん
確認項目以外にも、ラウンド時に気付いた点があれば聞き取りしています。また、確認項目に関連した感染対策のポイントが実施できているかもチェックしています。例えば介護部門では「1ケア1手洗い」という項目がありますが、関連してアルコール手指消毒剤を携帯しているか、手袋を着用したまま居室から出てきていないかなど、様々な観点からチェックしています。
ラウンド終了後にラウンド実施者間でラウンド結果を集計し、ラウンド実施施設の施設長をはじめ各部門主任へ結果を口頭、書面でフィードバックし共有しています。1施設あたりのラウンド所要時間は約1時間半で、その後のフィードバックを含めて2時間程度施設には協力いただいています。
西さん
ラウンド時には、前回のラウンド結果を持参し、改善されているかも含めて確認しています。
指摘事項が改善され継続できるように、ポジティブな声掛けやフィードバックを意識しています。なお、ラウンド開始当初からの結果は全施設の管理者が閲覧できるようになっており、他施設の指摘箇所も確認できます。
斉藤さん
フィードバックの際は、言葉選びに気を付けています。指摘内容や施設状況によっては、すぐに改善に取り組めず時間がかかる場合もありますし、個人で解決できる課題ではなく、職員全員の意識を変えて施設全体で改善しなければならない場合もあります。そのため、「絶対にこうしてください」という強制的な発言はせず、改善に向けて検討を促す言い方にしています。
当法人には多数の施設がありますが、ラウンドで定期的に訪問することにより、各施設の状況が具体的に理解できるようになりました。そしてラウンドの回数を重ねるごとに、各施設の感染対策が改善していることを実感しています。単にマニュアルを作成するだけでなく、現場に足を運んでラウンドを実施し状況を確認すること、そしてそれを継続することに意義があると思います。
施設内ではすでに当たり前になっていて見過ごされてしまうことも、法人感染対策委員が確認することで気付く点もあります。異なる視点で確認することが重要だと考えます。
それ以外にも、施設内では指摘しづらいことを法人感染対策委員から伝えられるというメリットもあります。
西さん
トイレットペーパーの三角折りを例に挙げると、トイレ使用後の手で三角折りしている場合、トイレットペーパーが汚染されてしまいます。それでも、良かれと思ってされていることなので、施設内では注意しづらい雰囲気があると思います。そこを私たちから指摘することで、「“法人感染対策委員から言われたから”やめましょう」と伝えやすくなり、施設内での対立を避けることができます。それ以外にも、施設内で何回言っても改善されない点があれば、「“法人感染対策委員から”指摘を受けた」ことを理由に、改善に繋げてくれればと思います。
物品の統一化
斉藤さん
以前は各施設でそれぞれ感染対策物品を導入していたため、統一のマニュアルがあるにもかかわらず、法人全体の会議などで話が伝わりづらいといったことがありました。法人感染対策委員としても、「こういう時はこれを使ってね」という具体的な指導が困難でした。各施設の物品が、本当に適切なのかについても判断も難しい状況でした。そのような中、医務主任会議を通して施設側から「統一した物品を使うべき」という意見があったことを契機に、2017年に感染対策物品を統一する運びとなりました。現在は手洗い石鹸やアルコール手指消毒剤、環境用クロス、個人防護具、厨房用除菌剤など複数の物品を法人全体でサラヤ製品に統一しています。これにより、全施設に指導しやすくなっています。
西さん
嘔吐物処理に使う物品については、当委員会発足後すぐに統一を行いました。その物品を正しく使用できるように、嘔吐物処理手順をDVDにし各施設に共有しました。今後もより現場スタッフが分かりやすい教育資材を提供したいと考えています。
サラヤ製品は、例えば環境用クロスではピロータイプやボトルタイプなど様々なラインアップがあり、手指消毒剤はホルダーやポーチなどの付属品まで充実していて選択肢が豊富なのが良いです。サラヤの担当者からは色々なアドバイスを貰え、相談しやすさも感じます。品質面でも安心感があり、信頼して導入しています。
法人感染対策委員会に対する思い
斉藤さん
当委員会の設立前は、感染対策方法が施設単位で定められていたため、違和感があっても指摘しづらい状況でした。例えば、過度な感染対策をやらざるを得ない時もあり、利用者さんの生活を狭めてしまう恐れがありました。そのような状況で、当時から、正しい、適切な感染対策を行いたいという想いを抱いていました。現在は施設単体ではなく法人全体で感染対策を推進できており、法人として感染対策を統括する重要性を感じています。今後も法人感染対策委員会の活動を継続していきたいです。
今後取り組みたいこと
西さん
現在、日本では南海トラフ地震の発生が危惧されています。日頃の感染対策が適切に実施できていることは大前提として日々の活動を継続しつつ、災害の発生に備え、災害時の感染対策を今後しっかり検討していきたいです。
社会福祉法人 紫水会
〒462-0846 愛知県名古屋市北区名城3-2-12
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法人内職員数:約1,600名
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