健康すまいる 2026 vol.40最新号
健すまインタビュー
社会福祉法人由起会 老人保健施設コスモス
※本記事は、「健康すまいる vol.40(2026年5月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
「老人保健施設コスモス」は長崎県佐世保市に位置する、医療的管理および介護やリハビリテーションを担う施設です。今回は、主にスキントラブルとその対策についてお話を伺いました。
取材日:2026年2月6日
スキントラブル対策
平松さん(看護師長)
当施設で特に課題になりやすいのは、スキン-テア(皮膚裂傷)と、IAD(失禁関連皮膚炎)です。
スキン-テアの対策
平松さん
高齢者の皮膚は弾力性が低下し脆弱になるため、少しの摩擦やずれで皮膚が裂け、スキン-テアが発生しやすくなります。スキン-テアのリスク要因としては、皮膚の乾燥が挙げられます。高齢者は皮膚が乾燥しやすく、特に湿度が低い冬季は皮膚の乾燥が目立つため、10月から3月の間は入浴後に全身に保湿剤を塗布しています。皮膚の乾燥が著しい利用者については、季節にかかわらず保湿剤塗布を継続しています。
各利用者に合った保湿剤を選択するため、施設で複数の保湿剤を用意し、利用者ごとに皮膚状態に問題がないか確認した後、利用者のご家族に準備していただいています。保湿剤を塗布する時間は全身の皮膚を観察できる重要な機会のため、対応する際は皮膚状態を十分観察するよう心掛けています。
池田さん(介護副主任)
当施設では、入浴介助や着脱介助に可能な限り看護師が入る体制を取っています。そのため、利用者の皮膚に異常が見つかった場合は、すぐに看護師に相談してその場で皮膚状態を確認してもらうことができます。入浴終了後に再度、服を脱がせて皮膚を観察する手間が省けることで、利用者や職員の負担軽減にもなります。看護師、介護士が同じ場所で情報を共有できるため、連携が取りやすいと感じています。
平松さん
スキン-テアは、介助の過程で生じてしまうことがあります。例えば車椅子へ移乗の際、ベッドのサイドレールや、車椅子のフットレスト、アームレストなどに身体が当たるだけでスキン-テアが発生することもあるので、ベッドにサイドレールカバー、車椅子にフットレストカバーやアームレストカバーを付けています。また、利用者の身体状態に応じて2人介助を行ったり、移乗補助具を利用したりして様々な対策や物品を取り入れています。
IADの対策
平松さん
高齢になるにつれて免疫力は低下していくうえに、おむつやパッドを使用していると蒸れやすくなります。皮膚の脆弱化により様々なスキントラブルになり易いため、IADは、当施設にとっては大きな課題です。毎朝、陰部~臀部にかけて洗浄を行い、オムツやパッド着用者のIAD対策として、皮膚状態に応じた保護剤(撥水性保護クリーム)を使用しています。皮膚の状態によっては、医師の指示のもとで、抗炎症剤や抗菌剤などの薬剤入りクリームや軟膏を使用しています。
皮膚状態が改善すれば、元の保護剤に戻すなどの対応を行い、経過観察をしています。
石田さん(介護主任)
おむつやパッドを使用した排泄では、尿や便が臀部の広い範囲に付着することがあるので、刺激を軽減する目的で、尿や便が付着する可能性のある範囲に保護剤を塗布しています。陰部洗浄時には、陰部や臀部周囲の皮膚状態を確認して、発赤やかぶれがあれば速やかに看護師に情報共有し、早期対応に努めています。
便性状の把握と共有もIAD予防に繋がると考えています。各利用者の排便状態は介護士が記録し、便性状はブリストルスケールで評価しています。ブリストルスケールは排便記録のバインダーに挟んだり、おむつカートに常に掲示したりしているのですぐ確認でき、誰でも同じ尺度で迅速に判断することが可能になっています。

平松さん
排便を記録して変化を見える化することで早期対応が可能になります。ブリストルスケールのタイプ5以上の軟便が1日に何回も続くとIADになりやすいため、排便の異常を確認した場合、すぐに下剤を調整したり、整腸剤を内服させたり、食事形態を見直したりするなど、排便コントロールをしています。また、排尿状態も同様に観察しており、排尿が乏しい利用者には膀胱用超音波画像診断装置にて膀胱内の残尿を確認しIN/OUTをモニタリングしながら、排泄管理も行います。
石田さん
おむつやパッドは、季節や状況に応じて種類を変更しています。例えば夏季は蒸れやすいので、通気性が良い薄手の製品を選んでいます。パッドは摩擦やずれを軽減し、尿の吸収力も高い高性能タイプを使用しており、IADやスキン-テアの防止に繋げています。また、おむつのメーカーと月1回ミーティングを開催し、おむつの使用枚数や交換頻度などを共有し、適正なおむつの使用ができるよう助言を受けています。さらに各部署での勉強会と、おむつの当て方の実技指導も行ってもらっています。
褥瘡対策委員会や褥瘡マネジメント加算・排せつ支援加算の取り組み
平松さん
当法人には老健の他、特別養護老人ホームやケアハウスなどの施設があります。各施設の各部署に褥瘡対策委員を配置し、法人全体の褥瘡対策委員会を年2回開催しています。そこでは、各施設の褥瘡やIADの発生件数、ヒヤリ・ハット事例やアクシデント事例の報告を行い、原因を分析し対策に繋げています。褥瘡についてはステージ別の人数を、IADについては保護剤の使用状況も含めて共有しています。会議内容は各委員が自部署に共有して情報の浸透を図り、また、委員会の開催日には全職員を対象とした勉強会も行っています。
石田さん
当施設では、褥瘡マネジメント加算および排せつ支援加算を算定しています。利用者ごとに入所月から数えて3カ月に1回、多職種によるカンファレンスを行い、各利用者の褥瘡対策および排泄支援計画書を作成しています。カンファレンス前には、各利用者の担当者が、ADL及び医療面などを評価します。褥瘡関連は看護師が、排泄関連は介護士が評価を行います。スキントラブルが改善しない場合、ご家族の了承を得たうえで創部の写真を撮影して定期的に創部の経過を観察し、問題点があれば早期に検討、対応し、多職種間で情報共有できるように記録も残します。

製品導入時の評価
平松さん
職員が使用する物品を新たに導入する際は、各部署にてサンプルを一定期間使用したうえで評価するモニタリングを行っています。そして、理事長および職員の評価にて導入を決定しています。手指衛生剤では、サラヤの手指消毒剤「サニサーラAqua Light H」と、ハンドソープ「ホイップウォッシュ 無香」をモニタリングして導入を決定しました。「サニサーラAqua Light H」は容量の種類が豊富で、さらに携帯方法も肩掛け、腰巻き、コードリールと選択肢があり、個人の好みに合わせて、また、業務形態に合わせて選択できることが好評でした。「ホイップウォッシュ 無香」は泡立ちが滑らかで、きめ細かく、ぬめりも無いことが好評でした。現在、法人内の5施設すべてが、この2製品を導入しています。

池田さん
「サニサーラAqua Light H」はジェル状で、手の隙間から薬液が零れ落ちないこと、「ホイップウォッシュ 無香」は、泡のもちもち感やしっとり感が気に入っています。
新型コロナウイルスの流行を経験してから、手洗いや手指消毒の重要性が自分の中に浸透し、日常的に手指消毒剤を携帯するようになりました。業務でも毎日使用するので、手肌への影響は非常に気になります。そのため、モニタリングで製品の使用感を確認できるのは有難いです。
平松さん
手指衛生剤を含め、介護現場で使用される物品は、新製品が次々と出ています。それらの情報を集め、モニタリングを行い職員の評価を得たうえで、施設に最適な製品を取り入れることは、とても重要だと思います。従来の習慣に囚われず新しい製品を積極的に取り入れるため、メーカーからの情報提供も大切にしています。より良い製品を導入し業務の効率化を図っています。
感染対策にも力を入れています!
社会福祉法人由起会
老人保健施設コスモス
〒857-0126 長崎県佐世保市上柚木町2515
https://www.cos-mos.jp/cosmos
定員数:100名 職員数:約85名
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