健康すまいる 2025 vol.35
トピックス
口腔ケア時の感染対策ポイントをチェック!
※本記事は、「健康すまいる vol.35(2025年1月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
口腔内にはカンジダ菌や黄色ブドウ球菌などの微生物が存在しています1)。口腔ケア時は唾液・血液などの飛沫が飛び散り、微生物が伝播しやすいため、感染対策をしっかり行うことが大切です。感染対策ポイントを一緒にチェックしましょう!
準備~実施
PPEを着用する
口腔ケアは、利用者の口唇や口腔粘膜への接触だけでなく、ブラッシングや吸引、うがい、利用者の咳き込みにより飛沫が飛散し、実施者の目や口に入る可能性がある行為です2)。口腔ケア後に実施者のフェイスシールド、エプロン、手関節への洗浄液の飛散状況を調査した結果、これらの部位への飛散が確認されています(図1)3)。標準予防策に基づき、湿性生体物質による汚染が予測される部位はPPE着用が必須であるため、口腔ケア時は手指衛生実施後に目の防護具(ゴーグルなど)やフェイスシールド、マスク、エプロンやガウン、手袋を着用し、口腔ケアが終わったらPPEを外し、手指衛生を行います2, 4-6)。汚染されたPPEによって微生物が伝播しないよう、手袋とエプロンは利用者ごとに交換します6)。目の防護具やフェイスシールド、マスクは、利用者と直接接触しないため、汚染があればその都度交換します。
飛沫曝露リスクを最小限に抑える
口腔ケア実施の際は、飛沫曝露リスクを最小限に抑えることが大切です。利用者の真正面でケアを行うと飛沫曝露を受けやすいため、横または後方からケアします2, 4)。
また、口腔内の汚染物除去を目的に行われる注水洗浄は、飛沫の飛散リスクが高く2)、誤嚥を引き起こす可能性もあります7)。一方、口腔ケア用ウェットシートでの拭き取りは、口腔内の汚染物除去に効果があると報告されており7)、水を使用しないため、飛沫の飛散リスクや誤嚥リスク低減を図ることができます。
片付け
口腔ケア物品は個別管理し、よく洗浄・乾燥させる
使用後の口腔ケア物品(歯ブラシやコップなどの再利用できる物)は、新しい手袋と必要に応じてその他のPPEを着用し、洗浄します5)。複数人の物品をまとめて洗うと、交差汚染する可能性があるため、洗浄は利用者ごとに実施します2, 5, 8)。
洗浄後の物品は個別に乾燥・保管します2, 4, 5)。乾燥・保管中に他者の物品が接触すると、微生物伝播の恐れがあります。また、洗浄後の物品は、シンクの周囲には置かず、水跳ねしない場所で保管します8)。シンクは緑膿菌などの湿潤環境を好む細菌が繁殖しやすく、シンクの周囲に物品を置くと、水跳ねによって細菌汚染を受ける可能性があります。
参考文献
1)日本訪問歯科協会. お口の中は細菌がいっぱい. https://www.houmonshika.org/oralcare/c109/: 2024年10月1日現在.
2)土屋麻由美. 口腔ケア時のチェックリスト. INFECTION CONTROL. 2023;32(3):45-8.
3)梅津敦士 他. 口腔ケア時の洗浄液の飛散状況および口腔環境調査. 環境感染学会誌. 2017;32(4):186-92.
4)高鷲智美. 口腔ケア. INFECTION CONTROL. 2023;32(12):47-50.
5)笹原鉄平. 入居型高齢者施設における日常的な入居者介助のための感染対策手順書. 口腔ケア(第1版). 2020.
6)岡森景子. 口腔ケア時の曝露リスク・曝露対策の基本. 感染対策ICTジャーナル. 2017;12(2):179-84.
7)池田真弓 他. 口腔ケア後の汚染物除去手技の比較-健常者における予備的検討-. 日摂食嚥下リハ会誌. 2013;17(3):233-8.
8)西岡美保 他. 口腔ケアセット(歯ブラシ、コップ、スポンジブラシ). INFECTION CONTROL. 2023;32(7):29-30.

