健康すまいる 2024 vol.32
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オムツ交換時の感染対策ポイントをチェック!
※本記事は、「健康すまいる vol.32」(2024年1月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
オムツ交換では便や尿といった排泄物に触れてしまう可能性があります。排泄物には薬剤耐性菌やノロウイルス、Clostridioides difficille(以下、ディフィシル菌)等の病原体が含まれていることがあり、オムツ交換を介して病原体の感染伝播が起こるかもしれません。誰が何の病原体を保有しているか分からないため、全ての排泄物は感染の可能性があるものとして扱い、標準予防策を徹底することが大切です。今回はオムツ交換時に気をつけるべき感染対策ポイントを一緒にチェックしましょう!
個人防護具(以下、PPE)の着用
オムツ交換時は手袋、エプロン(ガウン)、マスク、眼の防護具(ゴーグルやフェイスシールド)を着用します(図1)1-4)。介助中は手指や体幹部が汚染される可能性があるため、手袋とエプロン(ガウン)の着用が必要です3)。実際、蛍光塗料入り疑似泥状便をつけたオムツを使ってオムツ交換を行った結果、手袋とガウンの胸部・前腕に便の付着が確認されました5)。消化器症状(嘔吐や下痢)のある利用者やノロウイルス等の感染性胃腸炎の罹患者(症状消失から7日間経っていない人も含む)等の病原体伝播リスクが高い利用者のオムツ交換では、手首や腕の汚染防止のためにガウンを着用します1)。また、病原体を含んだ飛沫やエアロゾルの飛散リスクを考慮すると、マスクと眼の防護具の着用が望ましいです2, 4)。
PPE着脱と手指衛生のタイミング1-4)
オムツ交換手順例を図2に示します。感染対策上のポイントとしては、①~②:介助者の手指に付着している病原体を利用者にうつさないため、PPE着用前に手指衛生を行います。PPE着用では、利用者に直接触れ清潔に保つ必要のある手袋は最後に着用します。④~⑥:使用済みオムツは環境(床やベッド等)を汚染させないよう、その場でビニール袋に廃棄し、手袋を外して手指衛生をします。使用済みオムツを扱った手袋のままで新しいオムツやその他の物品を触ると、病原体を伝播させてしまう恐れがあります。⑦~⑨:新しい手袋を着用してから新しいオムツの装着を行いましょう。オムツ装着後、PPEを外す際は最も汚染されている手袋を最初に外します。汚染度合が高いものから外すことが重要です。⑪:全ての作業終了後、病原体を物理的に除去するために石けんと流水による手洗いを行います。便中、とくに下痢便には、芽胞を形成するディフィシル菌やノロウイルスなどのアルコールの効果が期待しにくい病原体が含まれていることがあるためです。
オムツカートの管理
オムツカートは病原体伝播の原因となるため、使用しないことが望ましいです1)。やむを得ず使用する場合は、清潔(使用前)物品用カートと不潔(使用後)物品用カートの2台運用を検討しましょう。1台で運用せざるを得ない場合は、上段を清潔物品エリア、下段を不潔物品エリアとし、明確にエリア分けして交差汚染を防ぎます(図3)1, 3)。使用後のオムツカートは、とくに高頻度接触箇所や廃棄物で汚染されやすい箇所に注意して、消毒薬含有の環境クロスで清拭します1, 4)。
陰部洗浄ボトルの管理
陰部洗浄ボトルは、陰部洗浄での水跳ねや汚染した手袋の接触で先端だけでなく全体が汚染されるので、利用者ごとに交換しましょう1, 3)。使用後のボトルは洗浄剤で洗浄後、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムで浸漬消毒し、すすいでから十分乾燥させます4, 6)。なお、ベッドパンウォッシャーを利用すると、洗浄と熱水消毒を自動で行えるので、作業者の感染リスクを低減できます。
参考文献
1)笹原鉄平. 入居型高齢者施設における日常的な入居者介助のための感染対策手順書. オムツ交換(第1版). 2020.
2)小野寺隆記. 排尿・排便ケア, リネン交換, ベッド周囲の環境整備. 感染対策ICTジャーナル 2020. 15(3). 203-8.
3)三浦利恵子. 排泄ケアやオムツ交換時の注意点. INFECTION CONTROL 2020. 29(3). 45-9.
4)青山恵美. オムツ交換. INFECTION CONTROL 2017. 26(5). 50-4.
5)土田敏恵, 他. 成人型ケアシミュレーターと疑似泥状便を用いた陰部ケア方法の評価. 環境感染誌 2018. 33(1). 24-36.
6)小野和代編. 看護における 医療器材の取り扱いガイドブック~器材の再生処理・使用・保管管理~. ヴァンメディカル. 東京. 2018.

