健康すまいる HosCom×健康すまいる(2025)
インタビュー
医療法人・社会福祉法人 真誠会
※本記事は、「HosCom×健康すまいる」(2025年8月発行)に掲載した内容です。記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
真誠会は、真誠会医療福祉連携センター(本部)を中心に、保健・医療・福祉のサービスに対応した4つのホスピタウン(米子中央、米子、弓浜、外浜)がネットワークを繋ぎながら、多くの方々にサービスを提供しています。
取材日:2025年3月11日
真誠会について
竹下さん(真誠会 法人本部総務課長)
真誠会は、鳥取県米子市を拠点に、地域の皆様の健康と福祉を支える医療・介護サービスを提供しています。真誠会の創業者である先代の理事長が真誠会セントラルクリニックで医師として患者を診ていく中で、「これからの時代は病気を治すだけでなく、生活を支えるサービスも必要になってくる。医療・介護・看護を一体的に行うことで、その人が人生の最後を迎えられるまで見守りたい。」という想いを抱き、様々な福祉サービスの立ち上げに取り組んできました。
大東さん(真誠会 看護部長)
現在では、リハビリをして在宅復帰を支援する介護老人保健施設や、自宅での生活が困難な方にサービスを提供する特別養護老人ホーム、利用者を一時的にお預かりするショートステイやデイケア(通所リハビリテーション)、生活困窮者を支援する施設など40近くの施設を運営しています。様々な利用者に対応できるようサービスが充実しているので、これらのサービスを適切に運営することで困っている人達が少なくなり、安心して療養できるようになると考えています。
私は真誠会の全施設を管理する本部に在籍し、全職員の管理業務に幅広く携わっています。事務は竹下さん、介護は介護課長が担当し、皆で分担しながら真誠会全体の運営を考えています。
高齢者施設等感染対策向上加算(以下、本加算)について
竹下さん
本加算の対象となる施設(以下、加算算定施設)は、真誠会では特定施設入居者生活介護(養護老人ホーム)の「皆生エスポワール」、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の「青松庵」、「椿庵・桜庵」、介護老人福祉施設の「ピースポート」、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の「皆生ピースポート」、介護老人保健施設の「ゆうとぴあ」、「弓浜ゆうとぴあ」の7施設です。全施設で博愛病院と連携し、本加算(Ⅰ),(Ⅱ)の両方を算定しています。
大東さん
2020年に国内でコロナ患者が発生し、2023年には感染症法※1における位置づけが5類へ引き下げられるなど状況が刻々と変化する中で、福祉施設には新しい情報が届きにくく、現場ではどのように対応したらよいか分からず戸惑っていました。また、福祉施設では病院に比べて看護師の在籍数が少なく、最新の情報収集はインターネット検索に頼っており、自信を持って職員に情報発信することができませんでした。そのため、5類移行前と同様に厳重な対策を行っていました。そのような中、本算(Ⅱ)の算定要件に、3年に1回以上、感染制御等に係る実地指導を受けていることとあったため、経験豊富で多くの情報を持った方に指導をお願いできればと思うようになりました。そこで、もともと協力医療機関として連携していた博愛病院の田原さんに相談したところ、快く引き受けていただき、ラウンドを実施してもらうこととなりました。看護師不在のグループホームなど感染対策の運用が難しい施設にも田原さんにラウンドで直接アドバイスをいただけるので、大変助かっています。
※1感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
山岡さん(真誠会 介護老人福祉施設 ピースポート 看護師・ 感染対策委員会副委員長)
コロナクラスター発生時のラウンドでは、相談したいこともたくさんあり、2時間近くラウンドを実施いただきました。対応方法に関する疑問点や困っている点について相談し、1つ1つ丁寧にお答えいただいて大変ありがたかったです。現場ではコロナ患者の対応について、感染対策を過剰に行うことで個人防護具(PPE)などの物品を無駄に消費していると感じていましたが、どこまで対策をすべきか分からないのが悩みでした。ラウンドで「そこまで過度にする必要はない」と田原さんからアドバイスをいただき、皆が「必要な時に必要な物品を適宜使用する」という意識に変わったことがよかったと思います。
田原さんによる各施設のラウンド内容は、職員であれば誰でも閲覧できる真誠会のネットワーク上のフォルダに保存しています。加えて、月1回開催している真誠会の感染対策委員会会議(オンライン)でも共有しています。その内容を踏まえて、真誠会全体の感染対策マニュアルや各施設の実情を考慮した施設ごとの感染対策マニュアルを適宜更新しています。また、田原さんのラウンド後には感染対策委員会メンバーでもラウンドを行い、指摘箇所が改善されているかを確認し、独自で作成しているラウンド時のチェックリストも更新しています。
田原さんのラウンドを受けて、改善のためのアクションプランを考えて行動することが増え、感染対策に対する取り組みのレベルが上がっています。職員同士で、より積極的に情報共有を行うようになり、現場がどんどん良くなっていることを実感しています。
竹下さん
本加算(Ⅰ)の算定要件として、院内感染対策に関する研修又は訓練に年1回以上参加していることとあるため、2024年度は、真誠会の大ホールで、田原さんに講義をしていただきました。加算算定施設の管理者と感染対策委員会メンバーは必ず出席し、講義内容を自身の所属施設へ共有しています。現地参加できない職員や講義を聞きたいというその他の職員(看護師や介護士をはじめとした様々な職種の方)もいたので、Zoomで各施設とつないで中継しました。
大東さん
田原さんの講義後、参加職員から多くの質問が寄せられ、驚きました。例えば、「手指消毒剤のアルコール濃度は70%未満で大丈夫ですか?」「コロナ患者対応時、マスクの使用が厳重になっていく傾向がありますが、サージカルマスクの2~3枚重ね、又はN95マスク(単独)の着用は正しいですか?」「大部屋でのレッドゾーンとイエローゾーンの分け方はどのように考えたらいいですか?」など、現場はこのように多くの疑問を抱えて日々の業務に対応し、安全に努めるために迷い、困っていることを実感しました。
山岡さん
2025年度の研修では、コロナやノロウイルスによる感染症発生時のシミュレーションとPPEの着脱について行い、田原さんの講義も含めて計4回の研修を計画しています。これまでは手技に関する教育を重点的に行っていましたが、2025年度は標準予防策の中でも特に手指衛生の重要性や、すべての湿性生体物質で感染の可能性があることなど、考え方の面も含めて教育し、介護士やリハビリ職を含む全職員に標準予防策を根付かせていきたいです。
竹下さん
本加算を含め介護報酬の単位数は決して多いとはいえませんが、粘り強く取り組まなければ施設の経営が成り立たないと考えています。協力していただける医療機関がないと算定できない加算もあります。本加算については、施設の利用者や職員を守るという観点からも重要であり、博愛病院と田原さんには大変感謝しています。連携ができて本当に良かったと思っています。
その他、感染対策の取り組み
大東さん
これまで使用していた手指消毒剤は粘度が高いジェルで、乾燥まで時間がかかり、手袋をすぐに着用できないなどの問題がありました。そのような中、乾燥しやすく、保湿剤を含んでいて手荒れに配慮した手指消毒剤「ウィル・ステラVHジェル」を真誠会全体で採用することにしました。この手指消毒剤をポーチやポシェットに入れて携帯する予定です。経費はかかりますが、コロナなどの感染症によるクラスターが発生するよりも、日々の手指衛生を徹底して感染予防を図るほうが、将来かかるコストは低いと考えています。現在、物品請求中で、準備が整い次第、全職員に手指衛生を再度周知徹底します。製品をただ配布するだけでなく、全職員に手指衛生の大切さを意識付けし、自然と手指衛生を行えるようになることが一番大切だと考えています。看護師にリーダーシップをとってもらい、全職員が手指衛生に積極的に取り組んでくれることを期待します。
今後の取り組みと目標
大東さん
利用者が安全に暮らせるよう、田原さんから学んだことを活かしつつ、感染対策に関する知識をさらに深めていく必要があると考えています。現場から「標準的な感染対策をもう一度学び直したい」という声があるため、基本に戻りつつ、新しい情報も取り入れながら、真誠会全体で感染対策のレベルアップを図りたいと考えています。
医療法人・社会福祉法人 真誠会
〒683-0852 鳥取県米子市河崎580
TEL:0859-24-5666 http://www.hospitown.or.jp/
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