健康すまいる HosCom×健康すまいる(2025)
インタビュー
社会医療法人同愛会 博愛病院
※本記事は、「HosCom×健康すまいる」(2025年8月発行)に掲載した内容です。記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。
社会医療法人同愛会 博愛病院は、地域に密着した医療・福祉サービスを提供しています。また、高齢者を対象とした軽度・中等度急性期医療や回復期リハビリテーションの充実を図り、在宅医療や介護サービスの充実にも取り組む中、診療報酬における感染対策向上加算1を算定しています。
取材日:2025年3月11日
お話を伺った方:博愛病院 感染管理認定看護師 田原さん
博愛病院の特徴と日々の活動で大切にしていること
当院は「私たちは博愛の心で医療を行い地域に貢献します」という理念のもと、“地域に根差した病院”を運営しています。患者の視点に立ったケアを心がけ、急性期から慢性期まで一貫して対応できるところも特色の一つです。また、施設規模が大きくないため、職員の意見などが届きやすく、改善につながりやすい環境が整っています。
私は新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)流行前から感染管理認定看護師(2017年 資格取得)として活動しており、感染制御チーム専従になって約7年になります。2017年の資格取得当初は、感染防止対策加算2を取得していましたが、2021年より感染防止対策加算1、2022年の診療報酬改定により、感染対策向上加算1を取得しています。同時に、抗菌薬適正使用支援チームを設置し、抗菌薬適正使用の推進に向けて活動しています。
感染管理認定看護師として、できるだけ現場に足を運んで感染対策の向上を図ることを大切にしていますが、コロナ流行前は、職員と現場で直接コミュニケーションを取る機会が少なく、感染制御チームの伝えたい意図が十分に伝わっていないと感じることもありました。コロナ禍で職員の感染対策意識が向上し、現場からの質問や要請などの対応も増えたため、職員とコミュニケーションを取る機会が必然的に増え、それによって感染対策が強化できたと感じています。特に手指衛生については、コロナ流行前から遵守率が徐々に向上していましたが、コロナ禍を経てその重要性が一層認識され、遵守率の向上に加え、習慣として定着していると実感しています。ただし、どれだけ気を付けていても院内での感染症患者発生を完全に防ぐことは難しいため、発生時には迅速な対応ができるよう職員に指導しています。
加算算定の取り組み
感染対策向上加算について
2022年の診療報酬改定で名称が感染防止対策加算から感染対策向上加算となり、感染防止対策地域連携加算※1と抗菌薬適正使用支援加算※2が感染対策向上加算に組み込まれ、点数が大きく引き上げられました。そのため、体制を整備し、現在も感染対策向上加算1(以下、加算1)の算定を維持しています。
2022年の診療報酬改定当初、鳥取県西部医療圏の加算1の施設が4施設だったのに対し、感染対策向上加算2,3(以下、加算2,3)の施設は6施設だったため、加算1の施設が加算2,3の施設を1対1で対応することが困難でした。そこで、鳥取大学医学部附属病院をはじめとした加算1の施設との間で調整し、共同で加算2,3の施設と連携することになりました。当院は加算1の1施設と共に、加算2の2施設と連携し、4病院のグループで合同カンファレンスや訓練を実施しています。
※1 感染防止対策加算1を算定する医療機関同士が連携し、感染防止に関する評価を相互で行った場合の加算
※2 抗菌薬適正使用支援チームの組織を含む抗菌薬の適正使用を支援する体制の評価に関わる加算
指導強化加算について
当院では、2022年に新設された指導強化加算(p.1参照)も算定し、近隣の外来感染対策向上加算を算定している5診療所とも連携しています。2024年度は薬剤師と一緒に各診療所を訪問し、薬剤耐性菌対策として、診療所向けの抗菌薬適正使用支援システム「OASCIS(オアシス)」を紹介しました。また、診療所向けに独自で作成したチェックリストに沿って、施設内の感染対策ラウンド(以下、ラウンド)を実施し、気になる点はその場で指導・助言しています。外来感染対策向上加算を申請している診療所のため、感染対策に対する意識は高く協力的で、指導後の次の訪問時には指摘項目は改善されています。
加算算定で苦労している点や問題解決のための取り組み
苦労している点はたくさんありますが、特に難しさを感じるのは訓練のテーマと具体的な方法、それから時間管理です。加算2,3の医療機関と、外来感染対策向上加算の診療所が合同で院内感染対策に関するカンファレンスや訓練を実施するとなると、話題の幅が広く、1回では十分に内容を網羅できません。そのため、連携している全ての医療機関で一緒に実施するのは難しいと感じており、今後の課題でもあります。年4回のカンファレンス実施の他、加算1の医療機関同士の相互評価や指導強化加算算定のための取り組みもあります。「相互評価は1~3月の間に行う」というように、年度初めに予定を立てて計画的に実行しています。
真誠会との連携
2024年に、介護報酬改定では高齢者施設等感染対策向上加算が新設され、診療報酬改定では感染対策向上加算の見直しが行われました。それにより、医療機関と高齢者施設等との連携の強化がより求められるようになりました。真誠会の福祉施設とはもともと交流があったことから、協力医療機関として連携することとなり、この機会に感染対策向上加算の取り組みについても同時に連携をすることになりました。
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)では算定要件として、院内感染対策に関する研修又は訓練に年1回以上参加していることが求められています。そこで、2024年度は「今日から行う感染対策」というテーマで、感染対策の基礎について講義をさせていただきました。このときは私がテーマを決めましたが、今後は真誠会からの意見を聞きながら講義内容を検討したいと思っており、2025年度は標準予防策を掘り下げた研修を行う予定です。
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)の算定要件である、3年に1回以上、感染制御等に係る実地指導を受けていることについては、各算定施設を訪問してラウンドを実施し、助言等を行っています。2024年度のラウンドでは、例えば手指衛生に関して、WHOが推奨する5moments(手指衛生5つのタイミング)について説明を行い、役立つ資材の一つとして、高齢者施設向けmomentsのポスターをお渡ししました。病院ではよく見かけるポスターですが、高齢者施設向けはあまり見かけません。AMRリファレンスセンターのホームページにある該当ポスターを活用させていただきました。
真誠会と連携して良かったことは、地域全体で感染対策の取り組みを強化できることです。真誠会は多くの施設を運営されており、当院の退院後に真誠会の施設を利用される方や反対に真誠会の施設から当院を受診される方も多いです。普段から連携していることで情報を共有しやすく、感染症患者への対応も円滑に行えると感じています。また、薬剤耐性菌は地域で拡がるため、患者の対応に関する情報を地域全体で共有できることも大きなメリットです。以前は医療機関と福祉施設との感染対策での関わりは少なかったですが、本加算による連携後は情報がスムーズに伝わり、協力しやすくなっていると実感しています。
今後の取り組みと目標
今後は、真誠会とより密に連携し、感染対策に対する意識をさらに高め合っていきたいです。また、真誠会の職員の皆さまから気軽に要望や相談をしていただけるような信頼関係の構築を目指しています。
社会医療法人同愛会博愛病院
〒683-0853 鳥取県米子市両三柳1880
TEL:0859-29-1100 https://hakuai.doaikai.jp/
病床数 :199床 【一般病床(急性期)64床、回復期リハビリテーション病床30床、療養病床(医療型)38床、地域包括ケア病床67床】
従業員数:415名( 内 医師34名、看護職員193名、その他188名)
※博愛病院ホームページより(2025年6月現在)
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