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HosCom 2026 vol.23 no.1

特集

感染対策業務の効率化~ManGo感染管理版を活用した新たなアプローチ~

大石 貴幸
社会福祉法人 恩賜財団 済生会横浜市東部病院 TQMセンター 感染管理対策室 副室長

※本記事は、「HosCom 2026 vol.23 no.1(2026年3月発行)に掲載した内容です。執筆者の所属および記事内容は掲載当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

感染対策の現状と課題、デジタル化の必要性

筆者は感染対策の専門家として、長年にわたり医療現場における感染制御の最前線に立ってきました。患者さんの安全確保と医療の質の維持・向上に不可欠な感染対策ですが、その業務には多大な労力と時間を要し、そして高度な専門知識が求められることは、現場の誰もが痛感している課題です。特に、ICTメンバーをはじめとする感染対策担当者は、日々のラウンド、記録、集計、分析、フィードバック、教育研修といった多岐にわたる業務に追われ、その負担は決して小さくありません。従来の紙ベースでの記録のようなアナログ的な作業は、情報の整理や集計に膨大な時間を要し、本来、患者さんの観察や現場スタッフへの指導・教育に充てるべき貴重な時間が圧迫されるというジレンマを生み出しています。
さらに、記録そのものが目的化し、せっかく収集されたデータが具体的な改善行動に結びつかない「データの形骸化」も懸念事項です。改善活動の成果を客観的かつ定量的に示すことが難しいため、現場スタッフの感染対策に対するモチベーション維持や、継続的な改善活動への参加意識を高めることも困難になりがちです。このような状況は、感染対策業務(以下、感染業務)の質の向上を阻害し、悪影響を及ぼす可能性すらあります。
このような背景から、感染業務の効率化と質の向上は、患者さんの安全確保だけではなく、医療従事者にとって解決しなければならない課題といえます。そして、その解決策として、デジタル技術の活用が強く期待されています。デジタルツールを導入することで、煩雑な手作業を削減し、データに基づいた科学的な感染業務を推進することが可能になります。
本稿では、筆者が開発に関わり、実際に試用してその可能性を確信した、医療・福祉施設の感染業務をデジタル化し、マネジメントを強力にサポートするシステム「ManGo感染管理版(以下、ManGo)」に焦点を当てます。感染対策の専門家としての視点から、ManGoが実現する感染業務の効率化と質の向上を両立させる新たなアプローチについて、その詳細と具体的なメリットを詳述します。

感染対策業務の包括的変革

ManGoは、ICTラウンド業務のデジタル化を通じて、現場が抱える多岐にわたる課題を根本的に解決し、業務プロセス全体の革新を目指せる総合マネジメントサポートシステムです。PC、タブレット、スマートフォンといった多様なデバイスで利用できるため、医療現場のあらゆる場所で、時間を選ばずに業務を遂行できる柔軟性と機動性を提供します。特筆すべきは、ManGoが医療・福祉施設のICTラウンド業務に特化して開発されている点です。日々のラウンド記録から、収集されたデータの分析、フィードバック、そしてそれに基づく改善活動の支援まで、ラウンド業務におけるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの全プロセスをデジタルで統合管理します。筆者が試用した際、これまで手作業で行っていた煩雑な業務プロセスが大幅に削減され、感染対策担当者が本来注力すべき感染対策の実践と指導に集中できる環境が整備されることを実感しました。
このような「包括的変革」という設計思想は、単なる電子カルテのサブシステムや、特定の業務をデジタル化したツールとは一線を画します。感染対策は、手指衛生から環境整備、職員教育に至るまで、多職種が関わる複合的な活動です。ManGoは、これらの活動を分断することなく、一つのプラットフォーム上で有機的に連携させることを目指しています。特に、現場のスタッフが直感的に操作でき、入力の負担を最小限に抑えるインターフェース設計には、開発チームの強いこだわりを感じました。この使いやすさこそが、現場での定着と質の高いデータ収集の鍵となります。これにより、限られた人的リソースを最大限に活用し、より効果的な感染対策活動を展開することが可能となります。

ManGoが変える感染対策業務

ManGoが感染業務を大きく変革すると評価する具体的なポイントは以下の通りです。

1 現場で完結するラウンドとペーパーレス化の実現
従来の紙ベースの記録では、ラウンド後に必ず転記作業やデータ入力が必要でした。ManGoでは、タブレットやスマートフォンを携帯し、現場で直接システムに入力することで、これらの手間を一切なくすことができます。これにより、ペーパーレス化が実現し、記録作業の効率が飛躍的に向上します。また、ラウンド中に得られた情報をその場でシステムに登録できるため、情報のタイムラグが解消され、常に最新の状況に基づいた判断が可能となります。これは、感染リスクの早期発見と迅速な対応に直結し、医療安全の向上に大きく貢献する点です。

2 信頼できる「共通言語」としての汎用チェックリストの提供
ManGoの最も重要な要素の一つが、汎用チェックリストです。約250項目を8つの大項目(手指衛生、個人防護具、環境衛生、感染予防策、職業感染、洗浄・消毒・滅菌、薬剤・物品管理、施設管理)に分類し、図1に示す施設分類および部門分類に基づいて、各部署独自のチェックリストを約50通りカスタマイズすることができます。筆者はこのチェックリストの項目作成に関わってきました。これは、科学的根拠に基づいた最新の感染対策ガイドラインや推奨事項を反映しており、感染対策における共通言語を提供します。
チェックリストの項目を作成するにあたり、単にガイドラインを羅列するのではなく、「現場で実行可能か」「客観的に評価可能か」「改善行動に直結するか」という3つの視点を重視しました。例えば、「手指衛生を適切な方法で実施している」という項目一つをとっても、その評価基準を明確にし、誰がチェックしても同じ結果になるよう、評価のブレを最小限に抑える工夫を凝らしています。この徹底した標準化への取り組みこそが、施設全体で統一された基準に基づいた客観的かつ公平な評価を可能にし、部署間やスタッフ間での認識のずれを解消します。また、経験の浅いスタッフでも、このチェックリストに沿ってラウンドすることで、質の高い感染対策の評価を実践できるようになります。
そもそも、チェックリストは、医療現場における安全管理の有効な手段として広く認識されており、医療関連感染率の低下に寄与することが報告されています1)。国内においても、職業感染制御研究会をはじめとする多くの専門組織がその効果を認め、様々なチェックリストを発出しています2)
しかし、この効果的なチェックリストも、従来の紙ベースで運用されている限り、その真価を発揮しきれていません。紙での運用は、記録後のデータ集計・分析に膨大な時間を要し、リアルタイムでのフィードバックや改善活動への迅速な移行を妨げるという本質的な瑕疵を抱えています。多職種が関わる感染対策において、この「共通言語」の存在は、コミュニケーションの円滑化と、組織全体のレベルアップに不可欠ですが、その運用をデジタル化することで、初めてその効果を最大限に引き出すことができるのです。

図1 汎用チェックリストのカスタマイズ対応施設分類・部門分類

3 エビデンスの自動蓄積と高度な分析機能
ManGoに入力・登録されたすべてのデータは、自動的にシステム内に蓄積されます。この豊富なデータは、感染対策活動の強力なエビデンスとなり、システムの高度な分析機能によって多角的に解析されます。院内の感染発生状況のトレンド、対策の効果、リスク要因などを明確に把握できるため、感染対策担当者は、経験や勘に頼るのではなく、データに基づいた説得力のあるフィードバックを現場に提供できるようになります。客観的なデータは、改善活動の必要性を現場に理解させ、積極的な協力を引き出す上で極めて有効です。

ManGoによるPDCAサイクルの実践と具体的なメリット

感染業務において、PDCAサイクルを効果的かつ継続的に回すことは、感染対策の質を維持し、さらに向上させる上で不可欠です。ManGoは、このPDCAサイクルの各段階を強力に支援し、医療施設に具体的なメリットを深化させます。

Plan:データに基づいた計画立案の支援

ManGoは、過去のデータ分析結果を基に、より効果的な感染対策計画を立案するための情報を提供します。例えば、特定の部署に感染リスクが高い傾向が見られる場合、その情報に基づいて集中的な介入計画を立てることができます。また、汎用チェックリストの大項目ごとの達成度を分析することで、優先的に改善すべき課題を特定し、リソースの最適な配分を可能にします。これにより、限られた予算と人員を最も効果的な領域に集中させ、最大限に感染対策効果を得るための戦略的な計画策定が実現します。

Do:効率的な対策実施の支援

ManGoによるラウンド業務の効率化を通じて、計画された対策をスムーズに実行することが可能となります。現場でのリアルタイム入力により、対策の実施状況を正確に記録し、進捗を把握することで、計画と実行の乖離を最小限に抑え、迅速な対応が実現します。さらに、システムを通じて対策内容や手順を共有することで、スタッフ間の認識統一を図り、一貫性のある対策実施を支援します。

Check:データによる「可視化」と詳細な分析

ManGoの最大の特長の一つは、収集されたデータの「可視化」と高度な分析機能です。登録されたデータは即座にグラフや表として可視化され、感染対策担当者やICTメンバーの業務負担を大幅に軽減し、より深い洞察を可能にします。

1 リアルタイムなグラフ表示と資料作成時間の劇的削減
ラウンドで登録されたデータは、システムによって瞬時にグラフや表として自動生成されます(図2)。これにより、これまで手作業で行っていたデータ集計やグラフ作成にかかる膨大な時間が節約できます。ICT会議やリンクナース会などの資料作成は、ManGoのデータ出力機能を活用することで、劇的に効率化されます。感染対策担当者は、データ収集や資料作成といった間接業務ではなく、データに基づいた分析や議論といった、より本質的な業務に集中できるようになるでしょう。迅速なデータ提供は、タイムリーな意思決定を支援し、感染対策のスピードアップに貢献します。

2 時系列での改善の軌跡の可視化とモチベーション向上
ManGoは、過去のラウンド結果と現在のデータを時系列で比較分析する機能を提供します(図2-1)。これにより、感染対策活動が時間とともにどのように変化し、どのような改善効果をもたらしているかを客観的に評価できます。具体的な数値やグラフとして改善の進捗が示されるため、現場スタッフは自身の努力が成果に結びついていることを実感しやすくなります。これは、感染対策への意識を高め、現場スタッフのモチベーション向上に大きく繋がります。

図2-1 過去のラウンド結果の推移

3 強みと弱みの明確化によるリソースの最適配分
各チェック項目の判定結果を分析することで、施設全体の感染対策における「強み」(良好に実施されている点)と「弱み」(改善が必要な点)が明確になります(図2-2)。例えば、手指衛生の遵守率は高いが、環境衛生の徹底が課題である、といった具体的な状況をデータで把握できます。これにより、限られた人的・物的リソースを効果的に配分すべき重点ポイントを特定し、効率的かつ効果的な改善活動を計画できます。

図2-2 全項目の判定結果

4 部署ごとの比較分析による具体的な介入計画の立案
ManGoは、部署間の感染対策状況を比較分析する機能を提供します(図2-3)。これにより、特定の部署が他の部署と比較して感染対策の実施状況が劣っている、あるいは特定部署の感染リスクが高い、といった具体的な課題を特定できます。この情報は、部署ごとの特性や課題に応じた具体的な介入計画を立案する上で非常に有用です。オーダーメイドの対策を講じることで、部署横断的な連携強化や、施設全体の感染対策レベルの底上げに役立ちます。

図2-3 部署間の感染対策状況のデータ比較・分析

5 全国比較による自施設の立ち位置の把握とレベルアップ
ManGoの汎用チェックリストは、基本となる必須項目と、取り組みをさらに充実させるための追加項目で構成されており、必須項目については、全国の他施設とのデータ比較・分析が可能です(図3)。これにより、自施設の感染対策レベルが全国平均と比較してどの位置にあるのか、どのような点が優れており、どのような点に改善の余地があるのかを客観的に把握できます。これは、自施設の立ち位置を認識し、更なるレベルアップに向けた目標設定や戦略立案に貢献します。

図3 全国他施設とのデータ比較・分析

Action:データに基づいた改善活動の推進

ManGoは、データ分析の結果を具体的な改善活動に繋げるための機能も充実しており、PDCAサイクルの「Action」フェーズを強力に推進します。

1 改善シートの自動抽出と迅速な問題解決
ラウンドで指摘された改善が必要な箇所は、情報入力後ManGoによって自動的に改善シートに反映されます。これにより、現場スタッフはどの問題をどのように改善すべきか迷うことなく、迅速に問題解決に取り組むことも可能となります。改善シートは、現場スタッフが改善内容を報告し、それを感染管理者が確認・記録することが可能で、指摘事項や改善目標、担当者、期限などを明確に記録できるため、改善プロセスの管理が容易になります(図4)。

図4 改善シート

2 データによるコミュニケーション円滑化と現場との協働
客観的なデータは、現場スタッフとのコミュニケーションにおいて共通言語となります。感情論や主観に左右されることなく、具体的なデータに基づいて対話を進めることで、現場の理解と協力を促進し、円滑な改善活動を支援します。データは、単なる指摘ではなく、共に改善を目指すためのツールとなるのです。これにより、感染対策担当者と現場スタッフとの間の信頼関係が構築され、より強固な協働体制が築かれる可能性も見いだせます。

3 成功事例の共有と組織全体の学習能力向上
施設内で成功した改善事例や効果的な対策は、ManGoを通じて容易に共有できます。ベストプラクティスの共有は、組織全体の知識基盤を強化し、持続的な改善文化を醸成します。これにより、施設全体の感染対策レベルの底上げに貢献し、組織全体の学習能力と適応能力を高められます。

ManGoがもたらす更なる価値

ManGoの価値は、日々の感染業務の効率化に留まりません。監査対応、人材育成、情報共有、そして組織文化の醸成といった、医療施設の運営における多岐にわたる側面で、新たな価値をもたらします。さらに、最新技術との連携により、その可能性は未来へと広がります。

監査・公的評価への対応の効率化と信頼性向上

医療施設は、外部監査や公的評価を定期的に受けます。これらの評価では、感染対策の実施状況や記録管理の適切性が厳しくチェックされます。ManGoによって日々の記録・管理が適切に行われていれば、これらの監査や評価の準備が大幅に簡素化されます。必要なデータや記録はシステム内に一元化されており、いつでも迅速かつ正確に取り出すことが可能です。これは、監査対応の負担軽減だけでなく、提出される情報の透明性と信頼性の向上にも寄与します。
特に、JCI(Joint Commission International)認証や病院機能評価など、国際的・全国的な評価基準に対応するためには、過去数年間のデータや改善の軌跡を体系的に提示する必要があります。従来の紙ベースの記録では、これらの資料作成に膨大な時間と労力を要していましたが、ManGoは特定の期間や項目に絞ったグラフや表、またはシステム画面を表示できます。筆者が試用した際、この機能は、感染対策担当者の監査対応におけるストレスを劇的に軽減し、本来の業務に集中できる環境を提供すると確信しました。データに基づいた明確な説明が可能となり、評価を円滑に進めることができます。

人材育成と技術継承の促進

感染対策の専門知識や経験の継承は、重要な課題です。ManGoは、質の高いラウンドの継続を支援するとともに、経験の浅いスタッフへの知識継承を促進します。筆者が項目作成に関わった標準化されたチェックリストは、新人スタッフが感染対策の基本を学ぶためのガイドラインとなり、過去のデータや改善事例の蓄積は、OJT(On-the-Job Training)の強力なツールとなります。また、ベテランスタッフの知識やノウハウがシステムに蓄積されることで、属人化を防ぎ、組織全体の知見として活用できるようになります。

多岐にわたる豊富なチェックリストと柔軟なカスタマイズ性

ManGoは、手術室、ICU、一般病棟など、医療施設内のさまざまな感染対策シーンに対応できる豊富なチェックリストを標準で提供しています。施設の特性や部門のニーズに合わせて最適なチェックリストを選択し、活用することが可能です。さらに、既存のチェックリストを施設の運用に合わせてカスタマイズしたり、新たな感染症の発生やガイドラインの変更に対応するために、独自のチェックリストを新規に作成したりする機能も備わっています。この柔軟なカスタマイズ性により、各施設の具体的なニーズや、変化する感染症の状況にきめ細かく対応できます。

強力な情報共有機能と組織内の連携強化

ManGoは、システム上で感染対策に関する最新情報や施設内の掲示板、改善事例集など、組織内の情報連携を強化する多様な情報共有機能を提供します(図5)。これにより、感染対策に関する知識やノウハウが施設全体で迅速かつ効率的に共有され、組織全体の感染対策意識の向上と、より迅速な対応が可能となります。これは、部署間の連携を強化し、施設全体として一体感のある感染対策体制を構築する上で不可欠です。

図5 改善事例集

AI活用による業務効率化の可能性と未来の感染対策

AI技術の進展は、感染業務のさらなる効率化の可能性を秘めています。これは、単なるデータ分析の自動化に留まらない、より高度な感染対策の実現を意味します。感染対策における情報をデジタル化し、AIを組み合わせることができれば、感染リスクの高いパターンを予測したり、特定の状況下で最適な対策を提案したりすることが予想されます。これにより、予防的感染対策の精度が向上し、感染症発生を未然に防ぐための先手を打つことが可能となることでしょう。
例えば、AIが過去のラウンドデータ、患者の属性情報、季節変動などの複合的な要因を解析し、「〇〇病棟の△△エリアは、今週、手指衛生遵守率が低下傾向にあり、特定の感染症発生リスクが通常より15%高い」といった具体的なアラートを出す、といったことが実現できるかもしれません。このようなAI技術を利用したパラダイムシフトは、感染対策担当者が膨大なデータの中からリスクの兆候を手動で探す手間を省き、「次にどこに、いつ、どのような介入を行うべきか」という戦略的な意思決定を強力にサポートします。AIは、感染対策担当者の強力な「副操縦士」として機能し、医療現場の安全性を一層高めることに貢献すると期待されます。
従来のICTラウンドでは、手指衛生や環境整備といった基本的な項目は確認できても、CLABSI(中心静脈ライン関連血流感染)やCAUTI(カテーテル関連尿路感染)、SSI(手術部位感染)、肺炎予防対策といったより専門的で複雑な項目については、その実施状況の確認が困難であるという課題が指摘されていました3)。AIは、これらの複雑な項目の評価を標準化し、データとして可視化することで、現場への介入を助けるツールとして進化し、従来のラウンドの限界を克服する可能性を秘めています。すでに2025年には、AIによる院内感染発生のリアルタイム監視とタイムリーな介入の有用性4)や、CLABSI、SSIの判定をAIが支援するシステムなどの報告が相次いでいます5,6)
このようなAI技術と感染対策を連携する際には、デジタルデータがあると連携が容易になります。紙ベースでの記録は、きたるべきAI社会に順化するうえでの足かせともなりかねません。近い将来の先進的な感染対策を見据えてManGoのようなデジタル化された感染対策のデータを蓄積していくことは、業務の高効率化に向けた第一歩となることでしょう。

未来の感染対策のためにManGoが創出する価値

ManGoは、感染対策担当者を煩雑な記録作業やデータ集計から解放し、本来の専門業務である感染制御の実践、指導、そして教育に集中できる「時間」を創出します。この時間は、患者さんとのコミュニケーション、現場スタッフへのきめ細やかな指導、そして新たな感染対策戦略の立案といった、専門職としての価値を最大限に発揮するために不可欠なものです。
また、ManGoによるデータ分析に基づいた的確な介入は、感染対策の「質」を継続的に改善し、患者さんの安全をより一層確保することに貢献します。客観的なデータは、改善活動の根拠となり、その効果を明確にすることで、医療の質向上を具体的な形で示します。
そして、感染対策の標準化、情報共有の促進、部署間の連携強化は、医療施設全体の「組織力」を育み、強固な医療提供体制を構築する基盤となります。ManGoは、単なるツールではなく、組織全体の感染対策文化を醸成し、持続可能な医療安全体制を築くためのパートナーとなり得るでしょう。感染対策は、特定の部署や個人の責任ではなく、組織全体で取り組むべき課題であるという意識を醸成します。
デジタル技術の進化は、医療現場における感染対策のあり方を大きく変えつつあります。ManGoのようなシステムの試用を通じて、筆者は感染対策の質を高め、医療従事者の負担を軽減し、最終的には患者さんの安全と健康を守るための強力なツールとなる可能性を強く感じました。ManGoは、その未来を現実のものとするための重要な一歩を提供するといえるでしょう。

参考文献

1)Yinnon AM, Wiener-Well Y, Jerassy Z, et al. Improving implementation of infection control guidelines to reduce nosocomial infection rates: pioneering the report card. J Hosp Infect. Jul 2012;81(3):169-76. doi:10.1016/j.jhin.2012.04.011
2)一般社団法人職業感染制御研究会. 個人防護具適正使用チェックリスト. Accessed November, 11, 2025. http://jrgoicp.umin.ac.jp/index_ppewg_ppe_usage.html
3)Jeong YS, Kim JH, Lee S, et al. Scope of a weekly infection control team rounding in an acute-care teaching hospital: a pilot study. Antimicrob Resist Infect Control. Aug 15 2020;9(1):123.doi:10.1186/s13756-020-00787-6
4)El Arab RA, Almoosa Z, Alkhunaizi M, Abuadas FH, Somerville J. Artificial intelligence in hospital infection prevention: an integrative review. Front Public Health. 2025;13:1547450.doi:10.3389/fpubh.2025.1547450
5)Morgan DJ, AlShanqeeti S, Coffey KC, et al. Using generative artificial intelligence to identify central lineassociated bloodstream infections. Clin Infect Dis. Nov 19 2025;doi:10.1093/cid/ciaf636
6) Agostinho A, Chalot E, Teixeira D, et al. Semi-automated surveillance of surgical site infections using machine learning and rule-based classification models. NPJ Digit Med. Oct 17 2025;8(1):617. doi:10.1038/s41746-025-01989-1

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