再生処理(中級)
解説
答え:×
血液などの蛋白質を分解する酵素はプロテアーゼです。アミラーゼはデンプンなど多糖類を、リパーゼは油脂などの脂肪を分解する酵素です。また、セルロースを分解するセルラーゼが配合されている洗浄剤もあります。
医療現場で使用される医療器材に付着する汚染物の多くは血液や体液といった蛋白質であるため、酵素洗浄剤のほとんどの製品でプロテアーゼが配合されています。
- 島崎豊, 吉田葉子. 医療器材の洗浄から滅菌まで. ヴァンメディカル. 2013.
解説
答え:×
一般的に熱ヤケや錆の除去を目的とするメンテナンス剤は酸性の液剤が多いです。酸性は材質への影響が大きく、長時間の浸漬は材質の腐食を引き起こす可能性があります。そのため、必ずメーカーが推奨する濃度と時間で使用するようにしましょう。
解説
答え:〇
網目のピッチが極端に細かい場合、超音波のキャビテーション※が器材まで十分に到達せず、効果が減弱する可能性があります。超音波洗浄に用いるバスケットは、網目のピッチが可能な限り大きいものが推奨されます。茶こしのように網目が細かいものを使用する場合は、事前に洗浄効果を確認しておくことが必要です。
※キャビテーションとは、超音波の振動により液体内に小さな真空の空洞が発生する現象で、超音波洗浄ではこの空洞が破裂する際に発生するエネルギーを利用して洗浄効果を得ています。
- 一般社団法人日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021.
- 高階 雅紀 編集. 医療現場の滅菌 改訂第5版. へるす出版. 2020.
解説
答え:×
酵素が高温で変性して作用しなくなることを失活といい、失活した酵素が再び作用することはありません。酵素は一般的に40~50℃で最も活発に作用します。低温(20℃以下)では作用は弱まり、高温(60℃以上)では失活します。
酵素系洗浄剤を使用する際には恒温槽を活用して40~50℃を保つことが望ましいです。
(近年研究が進んでおり、60℃以上でも安定する酵素も販売されています。)
- 一般社団法人日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021.
- 島崎豊, 吉田葉子. 医療器材の洗浄から滅菌まで. ヴァンメディカル. 2013.
解説
答え:×
内視鏡の消毒に使用する高水準消毒薬は過酢酸、グルタラール、フタラールがあります。これらの薬剤の蒸気比重は、過酢酸2.5、グルタラール3.4、フタラール4.6と、空気の比重である1.0よりも重くなっています。従って、強制排気口は低い位置もしくは内視鏡自動洗浄・消毒装置の蓋の付近に設置することが推奨されています。
解説
答え:×
結核菌は細菌芽胞よりも消毒薬に対する抵抗性が低く、中水準消毒薬でも殺滅が可能です。一方、細菌芽胞に対する殺滅効果は、芽胞の量や使用する消毒薬の種類によって異なります。
滅菌、消毒、洗浄の言葉の定義は以下の通りです。
用語 | 定義 |
---|---|
滅菌 | すべての微生物を殺滅すること |
消毒 | 微生物の数を、感染症を惹起しえない水準まで減らすこと 必ずしも微生物をすべて殺滅するものではない |
高水準消毒 多量の細菌芽胞を除くすべての微生物を殺滅または除去すること |
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中水準消毒 細菌芽胞を除いて、結核菌その他の細菌、ほとんどのウイルスや真菌を殺滅すること |
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低水準消毒 ほとんどの細菌や真菌、一部のウイルスを殺滅すること (抵抗性を有する菌や消毒薬に耐性を有する一部の菌は殺滅できない) |
|
洗浄 | 物体や環境表面から目に見える汚れを除去すること |
解説
答え:×
アルカリ性洗浄剤が使用可能な器材については、以下の手順で対応します。
1. WDによる高温アルカリ洗浄
2. 真空脱気プレバキューム高圧蒸気滅菌を134℃・8~10分間
一方、アルカリ性洗浄剤が使用できない器材については、以下の手順で対応します。
1. 非アルカリ性洗浄剤を用いて十分に洗浄
2. 真空脱気プレバキューム高圧蒸気滅菌を134℃・18分間
また、高圧蒸気滅菌ができない器材に関しては、プリオン不活化が確認されている過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌器を使用します。
※ハイリスク手技は具体的に、脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、網膜又は視神経に接触する可能性がある手技が該当します。
解説
答え:×
ボウィー・ディックテストは、真空式蒸気滅菌器の空気除去および蒸気浸透が正常かを確認するために実施されます。このテストは暖機運転後に行うことが推奨されています。
標準的な試験条件として、134℃で3.5分の処理が推奨されていますが、0.5分刻みの時間設定ができない場合には、より緩やかな条件である4分間で実施します。試験前の暖機運転を適切に行うことも、正確な試験結果を得るために重要です。
解説
答え:×
タイプ3のCIは単一の滅菌条件にしか反応しないため、医療器材の滅菌確認には適しません。包装内部に使用するCIにはタイプ4、5、6のいずれかを用いることが推奨されています。それぞれのCIは反応する規定値(SV)※や重要プロセス変数が異なるため、各施設の滅菌条件に合わせて選定することが重要です。
※規定値(SV)とは滅菌の重要条件である温度、時間、濃度などの値のことを示します。
- 一般社団法人日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021.
- 高階 雅紀 編集. 医療現場の滅菌 改訂第5版. へるす出版. 2020.
解説
答え:○
洗浄室は不潔エリアであるため、気圧を周囲よりも低い陰圧状態に保つことで、室内の空気が外部へ流出するのを防ぎます。一方、組立室は準清潔エリア、既滅菌室は清潔エリアであり、気圧を周囲よりも高い陽圧状態に設定します。これにより、外部の空気が室内へ流入するのを防ぎ、清潔な環境を維持することが可能です。
- 一般社団法人日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021.
- 一般社団法人日本医療福祉設備協会. 病院設備設計ガイドライン (空調設備編) HEAS-02-2022.