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手指衛生(初級)

解説

答え:×

外来や病棟で一般的に行われる手洗いあるいは手指消毒(衛生的手洗い・手指消毒)は、通過菌(一過性に手から検出される菌)を除去*することを目的としています1)。一方、手術時手洗い・手指消毒は、通過菌を除去*し、さらに皮膚常在菌もできる限り除去*することを目的としています。
*殺滅も含まれる。

  1. 小林寬伊編集. 感染制御学. 第1版. 東京: へるす出版 1996.

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答え:×

一般的に手の洗い残しが多い場所は、指先、指の間、手の深いしわ、親指、手首などです1)。事前に研修などで自分の手洗いの洗い残しが多い場所を手洗いチェッカー*などを用いて確認しておきます。手洗い時には、洗い残しやすい場所を意識して、手をまんべんなく擦り、洗い残しがないようにすることが重要です。
*蛍光剤入りローションとブラックライトを用いた手洗い教育ツール。
例)・スタンド型手洗いチェッカー BLB
手洗いチェッカー LED

  1. Taylor LJ.An evaluation of handwashing techniques-1.Nurs Times. 1978 Jan 12;74(2):54-5.

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解説

答え:×

手が目に見えて汚れている場合は、石けんと流水による手洗いを行います1)。アルコールには汚れを取り除く効果がなく、汚れによって消毒効果が阻害されることがあるためです2-6)。手が目に見えて汚れていない場合に、アルコール手指消毒剤を用いた手指消毒を行います1)

  1. World Health Organization. WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care: First Global Patient Safety Challenge Clean Care Is Safer Care. Source Geneva: World Health Organization; 2009.  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK144013/pdf/Bookshelf_NBK144013.pdf. accessed April 28, 2020.
  2. 渡辺実, 他. アルコール類のウイルス不活化作用に関する研究エタノール消毒における生体試料の影響. 感染症学雑誌1981; 55(5): 367-372.
  3. Kampf G, et al. Efficacy of three ethanol-based hand rubs against feline calicivirus, a surrogate virus for norovirus. J Hosp Infect 2005; 60(2): 144-149.
  4. 古田太郎. エタノールの殺微生物作用. 環境管理技術 1990; 8(6): 319-328.
  5. Smith CR. Alcohol as a disinfectant against the tubercle bacillus. Public Health Rep 1947; 62(36): 1285-1295.
  6. de Jong JC, et al. Chemical inactivation of HIV on surfaces. BMJ 1989; 298(6688): 1646-1647.

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解説

答え:×

手が目に見えて汚れていない場合でも、アルコールに対して抵抗性を示すクロストリディオイデス・ディフィシルなどの芽胞やノロウイルスなどのエンベロープを持たないウイルス(ノンエンベロープウイルス)が手に付着した場合は、石けんと流水による手洗いを行い、手から微生物を物理的に洗い落とす必要があります1, 2)
※近年では、ノロウイルスなどのアルコールの効きにくいノンエンベロープウイルスに対して効果を高めたアルコール手指消毒剤が開発・販売されています。

  1. World Health Organization. WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care: First Global Patient Safety Challenge Clean Care Is Safer Care. Source Geneva: World Health Organization; 2009.
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK144013/pdf/Bookshelf_NBK144013.pdf. accessed April 28, 2020.
  2. MacCannell T, et al. Guideline for the prevention and control of norovirus gastroenteritis outbreaks in healthcare settings. CDC 2011.
    https://www.cdc.gov/infectioncontrol/pdf/guidelines/norovirus-guidelines.pdf. accessed April 28, 2020.

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解説

答え:

保湿剤を含むアルコール手指消毒剤による手指消毒は、石けんと流水による手洗いより手荒れが起きにくいことが報告されています1, 2)

  1. Boyce JM, et al. Skin irritation and dryness associated with two hand-hygiene regimens: soap-and-water hand washing versus hand antisepsis with an alcoholic hand gel. Infect Control Hosp Epidemiol. 2000; 21(7): 442-448.
  2. Pedersen LK, te al. Short-term effects of alcohol-based disinfectant and detergent on skin irritation. Contact Dermatitis. 2005; 52(2): 82-87.

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解説

答え:

WHOは、患者ケアにおける手指衛生が必要な「5つのタイミング(5 moments)」とし、①患者に触れる前、②清潔/無菌操作の前、③体液に曝露された可能性のある場合、④患者に触れた後、⑤患者周辺の物品に触れた後を推奨しています1)。患者周辺の物品に触れた後に手指衛生が必要な理由は、患者周囲に存在する患者に定着している病原微生物から医療従事者を守り、医療環境に病原微生物を拡散させないためです2)

  1. World Health Organization. WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care: First Global Patient Safety Challenge Clean Care Is Safer Care. Source Geneva: World Health Organization; 2009. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK144013/pdf/Bookshelf_NBK144013.pdf. accessed April 28, 2020.
  2. WHO. Hand Hygiene: Why, How & When?. https://www.who.int/gpsc/5may/Hand_Hygiene_Why_How_and_When_Brochure.pdf?ua=1. accessed May 1, 2020.

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答え:×

手袋の装着は、手指衛生の代わりにはなりません。手袋は、目に見えないピンホールが開いている可能性があり、また手袋を外す時に手を汚染することがあるためです。したがって、手袋を外した後は手指衛生を行う必要があります1)

  1. Siegel JD, Rhinehart E, Jackson M, Chiarello L; Health Care Infection Control Practices Advisory Committee. 2007 Guideline for isolation precautions: preventing transmission of infectious agents in health care settings. CDC 2007.
    https://www.cdc.gov/infectioncontrol/pdf/guidelines/isolation-guidelines-H.pdf. accessed April 28, 2020.

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手指衛生剤の使用量調査では総合的な手指衛生活動を把握することができますが、適切なタイミングや手技で手指衛生が行われたかどうかを把握することはできません。適切に行われた手指衛生の遵守を把握することができる方法は、第三者によって、誰が手指衛生を行ったのか、手指衛生の必要な機会と実際に行った回数、さらに手技などを調査することができる直接観察法です。手指衛生の遵守を確認する方法は、その他に自動モニタリングシステムやビデオを用いた方法などがあり、それぞれの長所と短所を踏まえ、自施設に適した方法を選択する、あるいは組み合わせて実施することが重要です。

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手指衛生の実施を促進するために、複数の戦略を組み合わせた複合的な戦略は、手指衛生の遵守を向上させるために有効であることが報告されています1, 2)。WHOでは複合的手指衛生改善戦略として、①システム変更、②研修および教育、③評価とフィードバック、④職場での注意喚起、⑤手指衛生のための施設の安全文化を構成要素としており、自施設でこれら5要素の手指衛生レベルが分析できる手指衛生自己評価フレームワークも開発されています4, 5)

  1. Naikoba S, et al. The effectiveness of interventions aimed at increasing handwashing in healthcare workers - a systematic review. J Hosp Infect 2001; 47(3): 173-180.
  2. Huis A, et al. A systematic review of hand hygiene improvement strategies: a behavioural approach. Implement Sci 2012; 7: 92. doi: 10.1186/1748-5908-7-92.
  3. WHO. Tools and resources.  https://www.who.int/gpsc/5may/tools/en/. accessed May 1, 2020.
  4. WHO. Hand Hygiene Self-Assessment Framework 2010.
    https://www.who.int/gpsc/country_work/hhsa_framework_October_2010.pdf?ua=1. accessed May 1, 2020.
  5. 坂本史衣, 他監訳. WHO Hand Hygiene Self-Assessment Framework 2010(WHO 手指衛生自己評価フレームワーク 2010 年)http://amr.ncgm.go.jp/pdf/medic-m1.pdf. 2020年5月1日現在.

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解説

答え:

手指衛生の遵守率が向上することにより、医療関連感染が低下したとする報告が数多くあります。詳しくは下記リンク先をご覧ください。

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