「第91回日本医療機器学会大会 学術集会」開催レポート
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第91回日本医療機器学会大会(大会長:南正人先生 大阪大学医学部附属病院 手術部 部長・病院教授)が2016年6月23日(木)~25日(土) 大阪国際会議場にて、「『ものづくり』と『ひとづくり』で次世代の医療をひらく」をテーマに開催されました。会場には今大会のテーマと開催地の大阪に因み、東大阪の中小企業が制作・打ち上げに参加した「まいど1号(超小型人工衛星)」のレプリカが展示され、多くの参加者が記念撮影をしていました。
- 聴講を通して
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学術集会ではドイツにおける(1)滅菌モニタリング法と(2)洗浄処理バリデーションに関する2つのセッションがありました。ドイツでは、汚染したクライル鉗子を用いて洗浄処理バリデーションが行われています。これまでガイドラインでは、洗浄後のクライル鉗子の残留蛋白質量の基準値はクランプ鉗子あたり警告レベル100µgと最大閾値200µgとしていましたが、年を追って洗浄プロセスが改善されたことから、それぞれ80µgと150µgに下方修正されたことが紹介されました。
一般演題では新たな洗浄の評価方法の検討として、蛍光法を用いたデオキシリボ核酸(DNA)の定量や、リアルタイムPCRを用いた血液試料のミトコンドリアDNA定量方法の発表がありました。また、中材部門の院内における積極的な活動の報告として、中材職員がICTラウンドに参加したり、院内で学習会を開催したりすることで各部署の滅菌器材管理の課題を見つけ、改善できた発表などがありました。
- 新商品を発表しました
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弊社は展示ブースにおいて、新製品(6月23日発売)医療器具用洗浄剤 パワークイック酵素系浸漬洗浄除菌剤と酵素系用手洗浄剤中性を発表しました。パワークイック酵素系浸漬洗浄除菌剤は、浸漬槽や超音波洗浄槽(洗浄溶液)の微生物汚染を防ぐために洗浄効果に除菌効果をプラスした酵素洗浄剤です。殺菌剤成分が血液などの汚れを固化させることなく洗浄・除菌できます。今大会学術集会の一般演題においてもパワークイック酵素系浸漬洗浄除菌剤に関する洗浄効果と除菌効果、素材適合性について報告*1, *2がありました。
*1加藤順子, 他. 殺菌効果を付与した新規酵素洗浄剤の有効性
*2高階雅紀, 他. 微生物増殖抑制型洗浄剤の洗浄能力・殺菌力・素材適合性に関するフィールドテスト
- Medical SARAYA事務局より
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今大会の参加を通じて、洗浄・滅菌に関する新技術を取り入れた製品開発といった「ものづくり」と、院内教育といった「ひとづくり」の演題が多く、患者安全のための中材業務の質向上や人材育成への関心の高まりを感じました。