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製品情報

製品導入事例

シャワートロリーの導入で快適な入浴を実現し、職員・利用者双方の満足度向上!

社会福祉法人 浩照会 特別養護老人ホーム あじさい苑
住所 〒612-8141
京都府京都市伏見区向島二ノ丸町151−53
定員 長期入所:定員110名
(全室個室、1ユニット10名、11ユニット)
ショートステイ:定員10名
(全室個室、1ユニット10名、1ユニット)
全職員数 86名(2024年6月現在)
施設ホームページ https://koshokai-swc.or.jp/office/ajisai01.html

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浩照会では2つの理念を掲げています。1つ目は地域に対して「医療・介護を通じて人と地域に貢献する」ことです。具体的には、入所者のADL・医療ニーズなど、状況に応じて門戸を拡大できる体制を整え、地域福祉の向上に貢献する事業に積極的に取り組んでいます。2つ目は入所者に対して「温かく心安らぐ施設づくりを目指す」ことです。これらの理念の実現のために、職員一人ひとりが、ご利用者およびご家族に「どうすれば満足し喜んでいただけるか」を念頭に置いて、サービスを提供しています。
特別養護老人ホーム あじさい苑は、2005年に全居室が個室のユニット型特別養護老人ホームとして開苑しました。すべての個室にトイレと洗面所を設置するとともに、各フロアでは共同生活室を中心として周囲に10の居室を配置し、重度の要介護者の方でも気軽に共同生活室に寄り合い、ご近所付き合いのような日常生活を楽しんでいただける居住環境になっています。

導入製品

はじめに

当苑では10代~70代と幅広い年齢層の職員が勤務しており、入浴介助を週2回行っています。現在シャワートロリー Carevo®を、5階建ての当苑では、2~4階の各フロアに1台ずつ、合計3台導入して運用しており、主に座位保持困難な方26名(入所者数110名に対し、約2割程度)を対象に使用しています。


シャワートロリー Carevo® 導入までの道のり

- シャワートロリーの導入を検討された背景は?

当苑は要介護度3以上のご利用者の受け入れが中心になります。そのため、重度の障害があり座位保持困難な方など、臥床浴の対象者比率が高くなる傾向があります。当苑の入浴設備は2~4階の各フロアに1台ずつチェア浴と、5階にのみ臥床浴を行う特殊浴槽があります。座位保持困難なご利用者は5階で臥床浴を行うため、毎回各フロアの居室から5階への移動が発生し、移動時間も加味すると入浴時間に約45分/人 要することもあり、非効率でした。実際、入浴時間が長引いたり、次のご利用者を待たせたりすることも多々ありました。さらに長距離の移動や移乗回数が多かったりと、ご利用者に身体的負担がかかっており、満足いただける入浴を提供できているとはいえない状況でした。

この状況を打破するために、特殊浴槽の追加導入を検討しましたが、スペースやコストの面から、話が進まない状況が続いていました。そんな中、シャワートロリーの存在を知りました。


- Carevo® 導入の決め手は何でしたか?

マットレスのクッション性が一番の決め手でした。従来から使用していたチェア浴の座面と臥床浴のストレッチャーはクッションが薄いため、ご利用者が体を動かされた際に摩擦が生じます。そのため、臀部周辺の表皮剥離や内出血等の皮ふ障害が頻発していました。それに対して、Carevo®のマットレスはクッション性のある素材で、摩擦が発生しにくいのが印象的でした。摩擦が発生しにくいという点では、皮ふトラブルが生じやすい看取りのご利用者に対しても非常に有用だと感じました。また、デモンストレーション期間中に、ご利用者数名の入浴介助に使用したところ、「身体の負担が減って楽になった」、「極楽やわ。ここのお風呂は100点満点やわ」など好評のお声を多数いただけ導入の後押しとなりました。

加えて、高さ調整可能な点も魅力的でした。Carevo®をベッドと同じ高さに調整しスライディングボード(シート)を活用することで、ご利用者を抱え上げることなくベッドからの平行移乗が可能でした。移乗後はご利用者をCarevo®に乗せたまま浴室へ移動し、Carevo®上で衣類の着脱・入浴介助を行えるので、移乗回数が最小限で済みます。これは職員・ご利用者双方の負担軽減につながります。また5階にある臥床浴用の特殊浴槽は、高さ調整ができず職員が前傾姿勢で入浴介助を行っていたため、腰痛を訴える職員が多数いましたが、Carevo®を導入することで、職員が長年悩み続けた腰痛問題を解決できることも決め手となりました。


- 導入前に不安なことはありましたか?

操作が簡単なので、機器の使用について特に不安はありませんでした。デモンストレーションを行う中で、ご利用者だけではなく職員からも「導入して欲しい」という声が上がるほど評判が良かったので、導入後も職員が継続して使用できることを実感しました。

しかし費用面でのハードルが高いこともあり、補助金の活用を検討していたところ、タイミングよく、京都府の補助金募集がありました。ただその補助金事業は、入浴介助機器に対しての交付事例がなかったため、不安はありました。

申請する際に工夫した点は、Carevo®を導入することで得られるご利用者側のメリット(身体的負担軽減、快適な入浴等)と、職員側のメリット(身体的負担軽減、入浴介助の効率化等)に加えて、デモンストレーション期間中にご利用者から好評を得ている旨を記載することで、導入のメリットを最大限アピールしました。その結果、補助金の交付につながり、費用面のハードルをクリアすることができました。

Carevo® の導入後

- Carevo® はどのように運用されていますか?

2~4階の浴室に各1台、合計3台導入しています。Carevo®は各階9名程に使用しており、対象者は全体で26名です。残りのご利用者は、2~4階のチェア浴で入浴介助を行っています。対象者の選定ポイントとしては、まず座位が保持出来るかを判断基準としており、座位保持が可能な方はチェア浴で入浴介助を行い、困難な方はCarevo®を使用しています。例外的にチェア浴で入浴していたご利用者のうち、皮ふが薄かったり、強い拘縮により足を曲げることができなかったりする方にもCarevo®を使用しています。特に看取りのご利用者に関しては、皮ふトラブル軽減のため、積極的にCarevo®を使用しています。このように、座位保持困難・体力低下・皮ふが薄い等、ご利用者の身体面からも対象者を選定しています。現在、5階の臥床浴を行う特殊浴槽は、Carevo®の使用タイミングが重なった場合に限り使用しているため、使用頻度は大幅に減少しました。

Carevo®の保管・清掃は浴室で行っています。バッテリーは元々2個付属しているので、1個は付属品の壁掛けホルダーを利用して脱衣場で充電しています。バッテリーの交換頻度は1~2回/週なので、不便なく使用できています。

使用後はマットレスを取り外して浴室用洗剤で洗浄し、その後マットレスを裏返してトロリー本体にかけて乾燥させています。

脱衣場でのバッテリー充電風景
清掃後のマットレス乾燥場面
(イメージ)
-使用時に注意している点は?

Carevo®は女性職員でもスムーズに動かせるほど移動性が良いので、移動速度に関してご利用者に不安を与えないように注意しています。はじめはスピードが出すぎないように2人で対応し、1人がCarevo®の前方を支えながら移動していましたが、慣れてくると1人でも問題なく対応できています。

また身体が完全に浸かれるほどお湯を溜めることができないので、入浴の際は寒さを防ぐための工夫として、ご利用者の身体をバスタオルで覆ったうえでシャワーをかけています。他にも身体が小さい方は滑りやすいこともありますが、基本的にギャッジアップしなければ、滑ることはありませんので、ご利用者の状態に応じた対応をするよう心がけています。


-Carevo® を導入してよかったと感じる点は?

職員・ご利用者双方の負担軽減と、満足度向上につながったことです。Carevo®導入後、入浴の際に各フロアの居室から5階への移動が不要になり、職員・ご利用者双方の負担が軽減されました。特に冬場は移動中に寒さを訴えるご利用者が多いにも関わらず、移動に時間を要するため、入浴時間が約5~10分/人と短く、ご利用者に十分なケアを提供できていませんでした。ワンフロアで完結できるようになってからは、居室からの移動時間が短縮されたため、ご利用者1人あたり約15~20分程の入浴時間を確保できるようになりました。さらに衣類の着脱時間も加味すると、約30分/人で完結できるようになりました。これはCarevo®導入前と比較して約15分/人の時間短縮です。結果として、ご利用者・職員双方にとって負担が減り、入浴介助をより安全・安楽なケアにつなげる事ができました。

業務効率の側面でも、大幅な改善につながりました。Carevo®が直接影響しているかは定かではありませんが、残業時間が全体的に減ってきています。また特殊浴の介助ハードルが低くなったため、新規入所者の速やかな受け入れにつながりました。

さらにCarevo®のマットレスはご利用者の全身を覆ってくれるので、身体中に痛みがあり入浴を嫌がっていたご利用者も、Carevo®の使用を開始してからは、常に笑顔で入浴いただけています。これまで頻発していた内出血や、臀部周辺の表皮剥離等の皮ふ障害も減少しました。

Carevo®上での体位変換
-導入後の評判はいかがですか?

職員からは操作方法がシンプルでわかりやすく、移動性がよいという声を聞いています。加えて、Carevo®は横幅が広く介助負担が増大するような身体が大きいご利用者にも使用できるため、現場で役立っているようです。

一方でご利用者からは、「臀部に痛みがなく寝心地がとてもよい」、「ベッドより快適」というお声を頂戴しています。看取りのご利用者は徐々に身体が痩せて体力が低下するので、入浴自体が非常に負担になってしまいます。このような理由で入浴に抵抗があったご利用者でも、「これなら入ろうかな」と前向きな気持ちになってくださった方もいます。Carevo®のクッション性と移乗回数の減少による身体的負担軽減は、ご利用者の安心感にもつながっていると思います。


NEXT STEP

- 今後どのような取り組みをしていきたいですか?

ノーリフティングケア(抱え上げない介助)を、今後も取り入れていきたいと考えています。どれだけ上手く移乗介助を行っても、介護は「抱え上げる動作」が必要なので、身体に負荷がかかってしまいます。今は身体になんともなくても、年数を重ねていくと次第に身体的負担が蓄積されるので、介護職を長く続けるためにも、積極的な機器の活用は必要と考えます。職員の身体的負担の軽減も勿論ですが、ご利用者を安心・安全に移乗できるなどの大きなメリットもあるため、ノーリフティングケアの導入を積極的に検討していきます。

また今後、Carevo®での入浴に抵抗のあるご利用者がいた場合、まずはお湯を張っていない状態で寝ていただき、快適と感じていただくことが大切だと思います。応じてくれるタイミング・方法が見つかるまで、チームで一緒に悩み、ご利用者を深く知る時間を設けたいと考えています。


- 今後の課題や目標をお聞かせください

接遇・ケア技術向上を目指して、良質なサービス提供に向けた働きやすい環境づくりを目指していきたいと思っています。

当苑では接遇を特に大切にしていますが、コロナ禍の影響でこの3年間はご利用者のご家族と面会する機会が格段に減りました。そのため、職員の気持ちが緩んでしまっている部分があったかと思いますので、コロナ5類移行後は接遇に関する研修に力を入れて取り組んでいます。

また介護ロボットだけでなくICTの導入も積極的に行い、職員の負担を軽減し、長く前向きに頑張ってもらえるような環境をつくることが目標です。

前列
左から、吉村様、谷口施設長、三木事務長

後列
左から、小池様、土森様
今回インタビューさせていただいた方
  • 谷口 弘昌様

    理事 施設長

  • 三木 浩二様

    事務長

  • 吉村 和寛様

    介護主任

  • 小池 航様

    介護支援専門員 主任

  • 土森 慶三様

    介護支援専門員

編集後記

今回の取材を通して、Carevo®の導入が職員・ご利用者双方の身体的負担軽減だけでなく、入浴効率を改善することで、ご施設抱える課題解決につながったことに喜びを感じました。さらにCarevo®をご愛用いただき、生活の質向上につながっていることを実感しました。今後ともCarevo®をお役立ていただけるよう、導入をご検討中の方や、運用方法などにお困りの方へ有益なご提案をできるように精進してまいります。 (サラヤ株式会社 学術部) 

取材日:2024年5月21日

               

電話によるお問合せ:06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)