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製品情報

製品導入事例

起立補助器の導入で、職員・利用者双方の満足度向上!

社会福祉法人天心会 特別養護老人ホーム 竜爪園
住所 〒420-0903
静岡県静岡市葵区長尾89番地1
定員 長期入所140名(個室ユニット60名・多床室 80名)、ショートステイ20名(2024年3月現在)
全職員数 191名(2024年3月現在)
施設ホームページ https://www.love.or.jp/

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天心会が掲げる基本理念「誠意正心」は、常に自分の良心に問うて恥ずかしくない行いを誠心誠意実施していくという思いを込めた言葉です。これを実現するために、①人間の尊重 ②地域福祉への貢献 ③人材の育成を行動指針としています。特別養護老人ホーム 竜爪園は1993年に開園し、2023年4月で30周年を迎えました。開園当初より、ご利用者お一人おひとりの思いやご家族のご意見、これまでの生活スタイルを大切にしています。職員一人ひとりがご利用者に愛情をもって接し、施設でありながらも、もう一つの温かい家庭・もう一つの穏やかなくらしの場となることを目指して運営しています。

導入製品

はじめに

当施設ではSara® Flexを1台導入しており、現在2階フロアで使用しています。当フロアは介護福祉士13名(男性3、女性10名)、看護師1名で構成されており、20代~ 70代と幅広い年齢層の職員が勤務しています。Sara® Flexは、現在2名のご利用者に使用しています(1名あたり3~4回/日)。


起立補助器 Sara® Flex 導入までの道のり

- 起立補助器の導入を検討された背景は?

当施設では新型コロナウイルス感染症の流行中から、ICT機器や介護ロボット等の導入に対して積極的に投資しています。理由としては、ここで投資した企業と、そうでない企業とでは後々、差が付くと考えたからです。

その投資の一つとして起立補助器の導入を検討しました。導入を検討したのは、人員不足により職員1人あたりの介助業務の負担が増えていた中、腰痛を訴える職員が約8割と多いことが背景としてありました。また、体格の大きいご利用者の排泄の際は2人で介助していましたが、ご利用者を支えきれなかった場合、転倒や転落、ご利用者の肩が外れる等のリスクが想定されます。このようなリスクも、起立補助器の導入を検討した理由です。


- Sara® Flex 導入の決め手は何でしたか?

Sara® Flexは特別養護老人ホーム(以下、特養)向きの起立補助器だと感じました。特養のご利用者の特徴として、要介護度3以上に加え、認知症のため意思疎通が難しいことが挙げられます。他に検討していた3 ~ 4 社程の起立補助器のなかには、抱え上げの際にご利用者に前傾していただき、機器の身体保持部に寄りかかってもらう必要がありました。一方、Sara® Flexは、スリングを適切にご利用者へ装着することで、安全に使用することができます。

また、デモンストレーションを行った段階で、胸の締め付け感がなく、頭が膝より前に出て、臀部が浮く形で動作を促してくれるため、自然な立位をとれました。他社品のなかには、吊り下げられていると感じるものもありましたが、Sara® Flexの場合、「立位を補助している」という印象を受けました。

イラスト ʻNormal movement patterns in sit-to-stand’ は“Arjo’s Patient Handling & Solutions Mobility Solutions Clinical Evidence Summary”からarjo社の許可を得て引用

さらに、シリコン製のレッグサポートはSara® Flexにしかない製品特徴であり、下肢(膝周り)を広くサポートしてくれるため膝崩れを防止し、転倒事故リスクを軽減できる点が魅力的でした。加えて、レッグサポートの位置が固定されており、ご利用者毎の調整が不要なため、使用しやすい機器だと実感しました。

これまで何度か起立補助器の導入を検討しましたが、経営側の「早く導入して介助負担を軽減させたい」想いと、現場側の「時間を掛けて、より良い機器を選定したい」想いの相違があり、なかなか導入には至りませんでした。しかし、Sara®Flexは適度な重さで移動性がよく、リモコンの操作ボタンがシンプルでわかりやすいため、導入後も職員が継続して利用できること、そしてご利用者だけでなく職員の負担軽減により、人材確保が期待できることを経営側に理解してもらい、導入することができました。また、静岡県の介護分野ICT 化等事業費補助金申請が受理されたことが今回の導入の後押しとなっています。

Sara® Flexの操作リモコンボタンは4つ
(リフトの昇降と、キャスター部分の開閉)
- 導入前の不安はありましたか?

これまで、新しいものを提案しても、良いものは継続して使ってもらえますが、良くないものだと徐々に利用してもらえなくなる傾向にありました。そのため、導入後職員に継続して使用してもらえるのかという不安はありました。

このような傾向から脱却するため、今回Sara® Flexを導入するにあたり、当施設のICT導入検討委員会と介護サービス向上委員会が中心となって周知しました。具体的には、各委員会でSara® Flex導入前にカタログを用いて説明するとともに製品動画を見てもらい、フロアミーティング時には委員会メンバーが、各フロアで製品情報を共有しました。さらにデモンストレーションでは、多くの職員に集まっていただき、利用方法について協議しました。

Sara® Flexは、機器の準備からスリングの装着までに時間を要するため、「手間がかかるのでは」と懸念する職員も中にはいました。そのような状況の中で、補助金の交付が決まってから発注・納品までの約3ヶ月間は、導入後も継続的に使用してもらえるよう、腰痛予防になるといったメリットの説明や、操作に慣れてもらうために何度も使用するよう声掛けを行い、時間を掛けて職員への意識付けを行いました。1人が声掛けを行うだけではなかなか浸透しないので、デモンストレーションを一緒に行った職員と、各委員会・ミーティングの主要メンバーに協力を仰ぎました。補助金の助成には、“導入前の施設内準備”や“導入後3年間の導入効果報告”といった条件があり、その指針も理解したうえで実施しました。

またご利用者の、残存機能を活かせることも話しました。例えば、これまでオムツ対応だったご利用者がトイレに行く生活を継続できる、リフトに乗れず寝台浴だったご利用者がお風呂で座って入浴できる等です。これらはQOL向上につながるため、ご利用者にとって大きなメリットです。


Sara® Flex の導入後

- Sara® Flexはどのように運用されていますか?

現在は2名のご利用者に、排泄介助(車いす↔トイレの便座)と、入浴介助(車いす⇔リフト)の移乗に使用しています(1名あたり3~4回/日)。対象者は各委員会で協議のうえ、立位保持が困難で、体格が大きく、2人介助でも負担が大きいご利用者を選定しました。

Sara® Flex使用場面

当施設では介護機器の研修を年数回開催し、Sara® Flexを職員全員が操作できるように指導しています。職員の研修は、介護サービス向上委員会が担い、研修内容は、職員同士でデモンストレーションを行い、使用方法の確認や、ご利用者の立場を体験する等様々です。最初は操作や準備に不慣れで、手間と感じる職員もいましたが、回数を重ねて機器に触れていくことで、慣れていきました。一方で、経験年数の長い職員の中には、“介護は人と人が携わるもので、機器が携わるものではない”という先入観があり、機器の使用に抵抗を感じる人もいました。このような方には、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」を用いて、男性が抱えてよい重量は体重の約40%以下まで、女性は体重の約24%以下、かつ20kg未満と推奨されていることを説明し、Sara® Flexを使用することで腰痛予防になることを伝えました。また、機器の操作に苦手意識がある職員には、1人でも操作できるようになるまで、機能訓練指導員がマンツーマンで繰り返し操作方法を説明しました。Sara® Flexに限らず、新しく導入するものについては、必ずしっかりと説明と同意を繰り返し行い、職員全員が使っていけるような環境づくりを心掛けています。

Sara® Flexは普段2 階フロア所定の位置(廊下の隅)で保管しています。バッテリーは元々2個付属しているので、1個は寮母室(詰所)で充電しています。バッテリー残量が少なくなると表示されるため、気づいた職員が充電済みバッテリーと交換して運用しています。導入してから約1年半が経ちますが、バッテリーの交換頻度は多くないので、不便なく使用できています。

寮母室でのバッテリー充電風景
- Sara® Flex を導入してよかったと感じる点は?

職員・ご利用者双方の満足度向上に繋がったことです。これまで職員2 人で行っていた排泄介助は、Sara® Flexを導入することで1人介助を実現でき、その結果、職員が介助に要する時間や労力を軽減することができました。

また、これまではトイレでの座位から、ご利用者の体を前に倒すことで、腹圧をかけていましたが、Sara® Flex 使用時はスリングを装着した状態でご利用者にハンドルを握っていただくだけで、腹圧がかかる状態になります。そのため、ご利用者に負担をかけることなく容易に排便・排尿を促す姿勢をとることができます。

その他に導入してよかった点は、皮ふ症状の早期発見・早期治療に繋がったことです。これまでは排泄介助の際、職員1人がご利用者を抱えている間に、もう1人の職員が衣類をずらしていましたが、1人で長時間抱えることは難しいため、臀部の皮ふ状態をよく観察できていませんでした。しかし、Sara® Flexを導入することでご利用者の立位保持時間が長くなり、皮ふ状態の観察時間を確保できるようになりました。また、看護師が掻き傷へ外用薬を塗布するなどの治療行為も施しやすくなり、看護師が患部を確認して、「あ、良くなってるね」と言っていることが増えたように感じます。


- 導入後の評判はいかがですか?

職員からは、腰痛予防になって嬉しいという声を聞いています。また、使いやすくて移動性もよく、安心感があり、現場で非常に役立っているため追加購入の希望も上がっています。2024年12月頃に2台目の追加購入を検討しています。

ご利用者の中には、職員に抱えてもらうのを申し訳ないと感じていた方もおり、Sara® Flexで移乗介助を始めてからは「気持ちが楽になった」とおっしゃっています。


NEXT STEP

- 今後どのような取り組みをしていきたいですか?

今後は2台目を購入して対象者を増やすことで、更に生産性の向上を図っていきたいです。

ユニット(個室)でのSara® Flex 導入を検討しているので、そのための職員研修を実施する予定です。また機器の使用に抵抗を感じる身体の大きなご利用者に対し、トイレへ移乗する際の立ち上がりから足の踏み替えで、職員が抱え上げることが難しい旨をお伝えした上で、「介護ロボットを使用して、トイレを継続していきましょう」とお声掛けをしていきます。それでも抵抗を感じる場合は、再度理解が得られるよう、少し時間を空けてケアワーカーを変えて説明を行ったり、他のご利用者がSara® Flexで移乗しているところをお見せしたりする等して、少しでも不安を軽減できるよう試行錯誤していきます。


- 今後の課題や目標をお聞かせください

新入職員や機器の使用に不安を感じている職員へ継続的に研修を行い、事故なく職員全員が適切にSara® Flexを使える環境づくりを目指していきたいです。その先には、施設内での作業標準化を図り、Sara® Flexを使用することが当たり前な状況をつくりたいです。

左から齋藤様、山内園長、伊藤様
今回インタビューさせていただいた方
  • 山内 章泰様

    理事 園長

  • 伊藤 祐貴様

    機能訓練指導員 リーダー
    柔道整復師

  • 齋藤 紗希様

    介護福祉士

編集後記

今回の取材を通して、Sara® Flexの導入が、職員様の介助業務の負担軽減だけでなく、ご利用者の自立支援にも貢献できていることを感じました。また、現場でご活躍されている方々ならではのご意見を頂戴し、我々では気づくことのできなかったSara® Flexの魅力を知ることができました。Sara® Flexをお役立ていただけるよう、導入をご検討中の方や、運用方法などお困りの方々へ有益なご提案ができるように努めてまいります。(サラヤ株式会社 学術部) 

取材日:2024年3月18日

               

電話によるお問合せ:06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)