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COVID-19に関する文献紹介

SARS-CoV-2変異株の環境生存性とエタノールの消毒効果
Differences in environmental stability among SARS-CoV-2 variants of concern: Both Omicron BA.1 and BA.2 have higher stability.
著者
Hirose R, Itoh Y, Ikegaya H, Miyazaki H, Watanabe N, Yoshida T, et al.
出典
Clin Microbiol Infect. 2022 Nov;28(11):1486-1491. doi: 10.1016/j.cmi.2022.05.020. Epub 2022 May 28.

【要約】
SARS-CoV-2武漢株と懸念される変異株の環境(25°C 相対湿度45-55%)生存性の違いと消毒効果(エタノール濃度20~80 w/w%、作用時間15秒間)が分析された。プラスチック表面上での平均生存期間は、武漢株56.0 時間よりアルファ、ベータ、デルタ、オミクロン変異株は2倍以上長かった。ヒト皮膚表面上での平均生存期間は、武漢株は8.6時間であり、アルファ、ベータ、デルタ、オミクロン変異株は16時間以上感染力を維持した。ex vivoにおけるヒト皮膚表面上での消毒効果の評価では、すべてのウイルスがエタノール35 w/w%で完全に不活化された。

英国におけるオミクロン変異株に対するCOVID-19ワクチンの有効性
Covid-19 Vaccine Effectiveness against the Omicron (B.1.1.529) Variant.
著者
Andrews N, Stowe J, Kirsebom F, Toffa S, Rickeard T, Gallagher E, et al.
出典
N Engl J Med. 2022 Apr 21;386(16):1532-1546. doi: 10.1056/NEJMoa2119451. Epub 2022 Mar 2.

【要約】
英国において大規模な検査、シークエンシングおよび全国的なワクチン接種登録のデータ(期間:2021年11月27日~2022年1月12日)を用いて、オミクロン変異株およびデルタ変異株による症候性疾患に対するワクチンの有効性がtest-negative case-control designを用いて推定された。ワクチンの有効性は、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca)、BNT162b2(Pfizer–BioNTech)、またはmRNA-1273(Moderna)ワクチンを2回(同種)接種した初回コース後、および各ワクチンの追加(同種、異種)接種後に評価された。ワクチンの有効性は、デルタ変異株よりもオミクロン変異株のほうが低かった。追加接種は、ワクチンの効果を向上させた。

米国におけるオミクロン変異株に対するCOVID-19ワクチンの有効性
Association between 3 doses of mRNA COVID-19 vaccine and symptomatic infection caused by the SARS-CoV-2 Omicron and Delta variants.
著者
Accorsi EK, Britton A, Fleming-Dutra KE, Smith ZR, Shang N, Derado G, et al.
出典
JAMA. 2022 Feb 15;327(7): 639-651. doi: 10.1001/jama.2022.0470.

【要約】
米国において2021年12月10日~2022年1月1日の期間、COVID-19様症候性疾患の18歳以上の成人を対象とした後ろ向きtest-negative case-control analysisが実施された。全国の薬局でのドライブスルー検査のデータを用いて分析された。mRNA COVID-19ワクチンの3回接種は、未接種および2回接種と比較して、オミクロン変異株とデルタ変異株の両方に対する防御に関連しているが、デルタ変異株よりもオミクロン変異株に対して防御が少ないことが示唆された。遺伝子検査のCt値はほとんどの遺伝子領域において、ワクチン未接種または2回接種と比較して3回接種の患者で統計学的に有意に高かった。

新型コロナ専用病院でのCOVID-19パンデミック期間中の針刺し・切創
Needlestick and sharp injuries among healthcare workers prior to and during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic.
著者
Stojic J, Grabovac V, Lucijanic M.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol. 2022 Dec;43(12):1966-1968. doi: 10.1017/ice.2021.498. Epub 2021 Dec 13.

【要約】
クロアチア ザグレブのUniversity Hospital Dubravaの救急科訪問診療記録を用いて、COVID-19パンデミック前(2019年1月1日~2020年2月28日)とパンデミック期間中(2020年3月1日~2021年2月28日)の医療従事者における、針刺しおよび鋭利器材による損傷(NSI)に関連する後ろ向きコホート研究が実施された。University Hospital Dubravaはパンデミック期間中、COVID-19専用の第三次医療センターであった。月間活動1,000回あたりのNSIの数(中央値)はパンデミック前8.9よりパンデミック期間中25.2のほうが有意に高かった(P = 0.021)。入院患者1,000人あたりのNSIの数(中央値)もパンデミック前1.7よりパンデミック期間中3.4のほうが有意に高かった(P = 0.036)。

COVID-19パンデミック前後の医療従事者における手指衛生遵守率の比較
Compared hand hygiene compliance among healthcare providers before and after the COVID-19 pandemic: A rapid review and meta-analysis.
著者
Wang Y, Yang J, Qiao F, Feng B, Hu F, Xi ZA, et al.
出典
Am J Infect Control. 2022 May; 50(5): 563-571. doi: 10.1016/j.ajic.2021.11.030. Epub 2021 Dec 7.

【要約】
COVID-19パンデミック期間中の手指衛生遵守に関するメタアナリシスが行われ、パンデミック前と比較が行われた。パンデミック後の全体の手指衛生遵守率は74%であり、パンデミック前より高かった。パンデミック後の手指衛生遵守の監視部門は、主に発熱外来、ICU、指定されたCOVID-19病棟であった。職種における手指衛生遵守率の違いは看護師80%が最も高く、医師76%、その他のスタッフ70%であった。WHO 5モーメントにおける手指衛生遵守率は、患者の体液に触れた後が最も高く91%、患者に触れる前が最も低く68%、パンデミック前と同様だった。手指衛生の監視方法の違いによって遵守率に大きな違いがあった。

第三次医療病院でのCOVID-19パンデミック期間中の針刺し・切創および血液・体液曝露
What were the changes during the COVID-19 pandemic era concerning occupational risks among health care workers?
著者
Diktas H, Oncul A, Tahtasakal CA, Sevgi DY, Kaya O, Cimenci N,et al.
出典
J Infect Public Health. 2021 Oct; 14(10): 1334-1339. doi: 10.1016/j.jiph.2021.06.006. Epub 2021 Jun 17.

【要約】
トルコ イスタンブールの第三次医療病院Sisli Hamidiye Etfal Training and Research Hospital(600床)で、COVID-19パンデミック前(2019年1月1日から12月31日まで)とパンデミック期間中(2020年1月1日から12月31日まで)の医療従事者における、針刺しおよび鋭利器材による損傷(NSSI)と血液・体液曝露の状況が比較された。割合(%0)は(イベント数 / 医療現場で働く医療従事者の総数)×1,000を用いた。NSSIは、COVID-19パンデミック前112件(27.65%0)からパンデミック期間中82件(21.4%0)へ減少した(P = 0.09)。血液・体液曝露は、COVID-19パンデミック前6件(1.48%0)からパンデミック期間中10件(2.62%0)へわずかに増加した(P = 0.38)。

医療従事者の身体の健康に対する個人防護具の影響
Impact of personal protective equipment use on health care workers' physical health during the COVID-19 pandemic: A systematic review and meta-analysis.
著者
Galanis P, Vraka I, Fragkou D, Bilali A, Kaitelidou D.
出典
Am J Infect Control. 2021 Oct; 49(10): 1305-1315. doi: 10.1016/j.ajic.2021.04.084. Epub 2021 May 7.

【要約】
COVID-19パンデミック期間中の医療従事者の身体の健康に対するPPE使用の影響を調査するシステマティックレビューとメタアナリシスが行われた。レビューは研究14件(検索期間2020年1月1日~12月27日)、医療従事者11,746名(16カ国)を含んだ。医療従事者のPPE使用による有害事象の全体的な推定有病率は78%(範囲:42.8~95.1%)だった。医療従事者のPPE使用による有害事象の発生リスクは、特に肥満、糖尿病、喫煙、既存の頭痛、PPEを着用した長時間のシフト、PPE着用の連続日数の増加、および確定または疑いCOVID-19患者への曝露の増加に関連していた。

米国におけるワクチンの有効性(デルタ株含む)
Monitoring incidence of COVID-19 cases, hospitalizations, and deaths, by vaccination status — 13 U.S. Jurisdictions, April 4–July 17, 2021.
著者
Scobie HM, Johnson AG, Suthar AB, Severson R, Alden NB, Balter S, et al.
出典
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021 Sep; 70(37): 1284-1290. doi: 10.15585/mmwr.mm7037e1.

【要約】
米国の13の管轄区域において症例サーベイランスと予防接種登録簿データを用いて18歳以上の人に発生したCOVID-19の症例、入院、および死亡について分析が行われた。デルタ株の有病率が低い期間4月4日~6月19日と高い期間6月20日~7月17日の年齢標準化された週間平均発生率比(ワクチン未完全接種者の発生率をワクチン完全接種者の発生率で割った値)の比較では、症例(11.1と4.6)では減少し、ワクチン有効性の低下が示唆された。一方、入院(13.3と10.4)と死亡(16.6と11.3)ではわずかな変化であり、重度のCOVID-19に対する高い継続的なワクチン有効性が示唆された。

SARS-CoV-2の接触感染の可能性
Possible contact transmission of SARS-CoV-2 in healthcare settings in Japan, 2020-2021.
著者
H, Watanabe K, Kurosawa K, Nakashita M, Kasamatsu A, Nakamura H, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol. 2021 May 27;1-12. doi: 10.1017/ice.2021.254. Online ahead of print.

【要約】
SARS-CoV-2の主な感染様式は飛沫感染であるが、日本の医療現場においてSARS-CoV-2の接触感染が疑われる事例が報告された。2020年11月20日から2021年2月22日までの間に、日本の3都市7施設の病院でCOVID-19のアウトブレイクが起こり、医療従事者9名(派遣社員7名)がCOVID-19と診断された。すべての症例において、医療環境でCOVID-19患者と直接接触した明確な履歴はなく、市中感染の可能性は低かった。症例は日常業務で汚染された環境表面に頻繁に触れ、手指衛生は最適ではなく、間接接触感染の可能性が高かった。症例のほとんどはCOVID-19の感染予防管理訓練を受けていなかった。

環境からのSARS-CoV-2の市中感染リスク
Community transmission of SARS-CoV-2 by fomites: Risks and risk reduction strategies.
著者
AK, Julian TR.
出典
Environ Sci Technol Lett. 2021 Mar; 8(3): 263–269. doi/10.1021/acs.estlett.0c00966.  Published online 2021 Jan 6.

【要約】
定量的微生物リスク評価フレームワークを用いて、環境表面を介したSARS-CoV-2の市中感染のリスクを調べ、介入としての手と環境表面の消毒の有効性が評価された。市中のSARS-CoV-2環境表面汚染のリスクをモデル化すると、1回の手の表面への接触とそれに続く手の顔への接触によるリスクの平均中央値は、1.6 × 10–4から5.6 × 10–9の範囲であった。手指消毒は有病率や環境表面への接触頻度に関係なく感染のリスクを大幅に減らし、一方、環境表面消毒は有病率と接触頻度に大きく依存していた。市中での手指消毒促進戦略が、普遍的に適用可能であることが示唆された。

SARS-CoV-2デルタ株によるブレイクスルー感染を含むアウトブレイク
Outbreak of SARS-CoV-2 Infections, Including COVID-19 Vaccine Breakthrough Infections, Associated with Large Public Gatherings - Barnstable County, Massachusetts, July 2021.
著者
Brown CM, Vostok J, Johnson H, Burns M, Gharpure R, Sami S, et al.
出典
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Aug 6;70(31):1059-1062. doi: 10.15585/mmwr.mm7031e2.

【要約】
2021年7月3〜17日の期間、マサチューセッツ州バーンスタブル郡の町で大規模な公開イベントが行われ、町を訪れたマサチューセッツ州の住民469名にCOVID-19が確認された。そのうち346名(74%)はワクチン接種完了者であった。COVID-19患者133名の検体の90%でデルタ株が確認された。RT-PCRのサイクル閾値は、ワクチン接種が完了した患者127名とワクチン接種完了の条件を満たさない患者84名の検体で類似していた (中央値 22.77と21.54)。

SARS-CoV-2デルタ株に対するワクチンの有効性
Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant.
著者
Bernal JL, Andrews N, Gower C, Gallagher E, Simmons R, Thelwall S, et al.
出典
N Engl J Med. 2021 Aug 12;385(7):585-594. doi: 10.1056/NEJMoa2108891. Epub 2021 Jul 21.

【要約】
英国において、SARS-CoV-2デルタ株が広まり始めた期間にワクチン接種の有効性が推定された。ワクチン(BNT162b2:Pfizer-BioNTechまたはChAdOx1 nCoV-19:AstraZeneca)1回接種後の有効性は、デルタ株の人30.7%のほうがアルファ変株(主要株)の人48.7%よりも著しく低く、結果は両方のワクチンで類似していた。BNT162b2ワクチン2回接種の有効性は、アルファ株の人で93.7%、デルタ株の人で88.0%だった。ChAdOx1 nCoV-19ワクチン2回接種の有効性は、アルファ株の人で74.5%、デルタ株の人で67.0%だった。これらの結果は感染リスクの高い集団において、ワクチンの2回接種を支持する。

スコットランドにおけるSARS-CoV-2デルタ株
SARS-CoV-2 Delta VOC in Scotland: demographics, risk of hospital admission, and vaccine effectiveness.
著者
Sheikh A, McMenamin J, Taylor B, Robertson C, Public Health Scotland and the EAVE II Collaborators.
出典
Lancet. 2021 Jun 26;397(10293):2461-2462. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01358-1. Epub 2021 Jun 14.

【要約】
スコットランドにおいて2021年4月1日~6月6日の期間、EAVE II(スコットランド全域対象のCOVID-19サーベイランスプラットフォーム)を用いて、COVID-19による入院リスクおよびワクチン有効性が推定された。入院リスクはSARS-CoV-2のS遺伝子陰性*症例と比較してS遺伝子陽性*症例は約2倍であった。ワクチン未接種者と比較して、ワクチン2回目接種から14日以上のワクチンの効果は、BNT162b2(Pfizer–BioNTech)ワクチンでS遺伝子陰性92%、陽性79%、ChAdOx1 nCoV-19(Oxford–AstraZeneca)ワクチンでS遺伝子陰性73%、陽性60%であった。 *S遺伝子陰性はアルファ株、S遺伝子陽性はデルタ株と考えられる。

mRNAワクチンによる COVID-19 の予防と症状の軽減
Prevention and Attenuation of Covid-19 with the BNT162b2 and mRNA-1273 Vaccines.
著者
Thompson MG, Burgess JL, Naleway AL, Tyner H, Yoon SK, Meece J, et al.
出典
N Engl J Med. 2021 Jul 22;385(4):320-329. doi: 10.1056/NEJMoa2107058. Epub 2021 Jun 30.

【要約】
米国の6つの州でCOVID-19ワクチン(BNT162b2:Pfizer–BioNTech、mRNA-1273:Moderna)の有効性が確認された。参加者は医療従事者など3,975名を対象とし、前向きコホート研究で行われた(2020年12月14日から2021年4月10日まで)。補正後のワクチン有効率は、完全接種(2 回接種後 14 日以上)で 91%、部分接種(1 回接種後 14 日以上経過および2 回接種後 14 日未満)で 81%であった。SARS-CoV-2 に感染した参加者のうちワクチン部分接種者・完全接種者では、未接種者と比較してウイルス RNA 量が40%低かった。さらに、部分接種者・完全接種者では発熱症状のリスクが 58%低く、有症状日数が6.4日短く、臥床日数が 2.3日少なかった。

COVID-19ワクチン接種者の割合とワクチン未接種者への影響
Community-level evidence for SARS-CoV-2 vaccine protection of unvaccinated individuals.
著者
Milman O, Yelin I, Aharony N, Katz R, Herzel E, Ben-Tov A, et al.
出典
Nat Med. 2021 Aug;27(8):1367-1369. doi: 10.1038/s41591-021-01407-5. Epub 2021 Jun 10.

【要約】
2020年12月9日から2021年3月9日までのイスラエルの健康維持機構であるMaccabi Healthcare ServicesのBNT162b2(Pfizer–BioNTech) mRNA COVID-19ワクチン接種データおよびSARS-CoV-2のPCR検査の結果を用いて、177の地域社会におけるワクチン接種患者の割合が、同じ地域社会内の16歳未満のワクチン未接種コホートに与える影響について確認された。ワクチン接種の割合の増加に比例して、ワクチン未接種コホートの検査陽性の割合は減少した。ワクチン接種はワクチン接種を受けた人だけを保護するだけでなく、地域社会内のワクチン接種を受けていない人にも相互保護(cross-protection)を与えることが示唆された。

SARS-CoV-2排出期間
Understanding viral shedding of severe acute respiratory coronavirus virus 2 (SARS-CoV-2): Review of current literature.
著者
Fontana LM, Villamagna AH, Sikka MK, McGregor JC.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol. 2020 Oct 20;1-10. doi: 10.1017/ice.2020.1273. Online ahead of print.

【要約】
SARS-CoV-2の排出期間に関して、2020年9月8日までの報告のレビューが行われた。PCRによる呼吸器検体からのSARS-CoV-2 RNA排出期間の中央値(研究28件含む)は、18.4日(95 % CI 15.5–21.3;I2 98.87 %;P < 0.01)だった。重症度別では、軽症から中等症患者17.2日(95 % CI 14.0–20.5;I2 95.64 %;P < 0.01)、重症患者19.8日(95 % CI 16.2–23.5;I2 96.42 %;P < 0.01)だった。SARS-CoV-2 RNAは発症後92日までの断続的な排出が観察された報告もあった。培養による生存SARS-CoV-2は、発症前6日から発症後20日まで分離された。生存SARS-CoV-2の排出期間がSARS-CoV-2 RNA排出期間より短いことから、SARS-CoV-2 RNAの検出は感染力と相関しない可能性がある。

SARS-CoV-2の環境生存性に対する温度の影響
The effect of temperature on persistence of SARS-CoV-2 on common surfaces.
著者
Riddell S, Goldie S, Hill A, Eagles D, Drew TW.
出典
Virol J. 2020 Oct 7;17(1):145. doi: 10.1186/s12985-020-01418-7.

【要約】
SARS-CoV-2の生存性における温度の影響が確認された。接種表面(ウイルス量3.38 × 105)は、温度20 °C、30 °C または40 °C、湿度50 % RH、紫外線の影響をなくすために暗所で保持され、1時間~28日後に感染性SARS-CoV-2が培養によって確認された。20 °Cにおいて感染性SARS-CoV-2は、試験されたすべての無孔性表面(紙紙幣、ポリマー紙幣、ビニール、ガラス、ステンレス鋼)で接種28日後でも検出されたが、多孔性表面の綿布では接種14日後に検出されなった。40°Cでは、すべての表面で24時間以内に4 log超の減少が確認された。この結果は、媒介物感染のリスクを軽減するための戦略で考慮される必要がある。

SARS-CoV-2のヒト皮膚上での生存性
Survival of SARS-CoV-2 and influenza virus on the human skin: Importance of hand hygiene in COVID-19.
著者
Hirose R, Ikegaya H, Naito Y, Watanabe N, Yoshida T, Bandou R, et al.
出典
Clin Infect Dis 2020 Oct 3; ciaa1517. doi: 10.1093/cid/ciaa1517. Online ahead of print.

【要約】
法医学的剖検標本から得たヒトの腹部の皮膚を用いて、ヒトの皮膚表面におけるSARS-CoV-2およびインフルエンザAウイルス(IAV)の生存性が確認された。SARS-CoV-2とIAVは、他の表面(ステンレス鋼など)と比較してヒト皮膚上で速やかに不活化された(25 °C、湿度45〜55 % RH)。ヒトの皮膚表面への接種ウイルスを上気道粘液と混合した場合の生存期間は、SARS-CoV-2 11.09時間(95 % CI 10.22–12.00)のほうがIAV 1.69時間(95 % CI 1.57–1.81)より有意に長かった。SARS-CoV-2はIAVよりもヒトの皮膚表面で安定しているため、接触感染のリスクが高い可能性がある。

地域社会におけるSARS-CoV-2の感染リスク
Community and close contact exposures associated with COVID-19 among symptomatic adults ≥18 years in 11 outpatient health care facilities - United States, July 2020.
著者
Fisher KA, Tenforde MW, Feldstein LR, Lindsell CJ, Shapiro NI, Files DC, et al.
出典
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Sep 11;69(36):1258-1264. doi: 10.15585/mmwr.mm6936a5.

【要約】
2020年7月1日~29日の期間、米国の医療施設11施設で症候性外来成人患者においてSARS-CoV-2感染の症例対照研究が行われた。SARS-CoV-2のRT-PCR検査陽性である症例患者(154名)は陰性の対照参加者(160名)よりも、発症前の2週間にレストランでの食事を報告する可能性が高かった(調整オッズ比 2.4;95 %信頼区間1.5–3.8)。マスクの使用およびソーシャルディスタンスを維持することが困難な飲食を提供する場所での曝露を減らすための取り組みを検討する必要がある。

医療従事者におけるSARS-CoV-2の感染リスク
Assessing coronavirus disease 2019 (COVID-19) transmission to healthcare personnel: The global ACT-HCP case-control study.
著者
Lentz RJ, Colt H, Chen H, Cordovilla R, Popevic S, Tahura S, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol. 2020 Sep 9;1-7. doi: 10.1017/ice.2020.455. Online ahead of print.

【要約】
医療従事者の医療現場内外でのSARS-CoV-2感染および呼吸用保護具の効果について、67カ国1,130名の医療従事者において症例対照研究が行われた。医療従事者の感染は、COVID-19患者とのエアロゾルの発生を伴わない処置での接触、およびレストランまたはバーの常連、10名以上の集会、公共交通機関の利用を含む職業以外の曝露に関係していた。エアロゾルの発生処置と発生を伴わない処置共にN95レベルのマスクを用いた場合、感染の低いオッズに関係していた。医療従事者は、外食などの仕事以外の曝露に警戒する必要がある。

SARS-CoV-2に対する人工太陽光の不活化効果
Simulated sunlight rapidly inactivates SARS-CoV-2 on surfaces.
著者
Ratnesar-Shumate S, Williams G, Green B, Krause M, Holland B, Wood S, et al.
出典
J Infect Dis. 2020 Jun 29;222(2):214-222. doi: 10.1093/infdis/jiaa274.

【要約】
ステンレス表面上のSARS-CoV-2に対する人工太陽光の不活化効果が確認された。UVB(280~315 nm)放射照度は北緯40度の6月、2月、12月の21日正午を模したそれぞれ1.6、0.7、0.3 W/m2とした(20 ± 4 °C、19 ± 5 % RH)。人工唾液中のSARS-CoV-2の不活化速度は、UVB曝露のほうが暗所よりも有意に速く、UVB放射照度1.6 W/m2と0.7 W/m2のほうが0.3 W/m2よりも有意に速かった。90 %不活化時間は、UVB放射照度1.6 W/m2の場合6.8分、0.3 W/m2の場合12.8分だった。太陽光は表面のSARS-CoV-2を急速に不活化する可能性があり、SARS-CoV-2の生存性および曝露リスクは屋内と屋外で大きく異なる可能性があることを示唆した。

SARS-CoV-2に対する手指消毒剤の不活化効果
Inactivation of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 by WHO-recommended hand rub formulations and alcohols.
著者
Kratzel A, Todt D, V'kovski P, Steiner S, Gultom M, Thao TTN, et al.
出典
Emerg Infect Dis 2020; 26(7): 1592-5. doi: 10.3201/eid2607.200915. Epub 2020 Jun 21.

【要約】
WHOのアルコール手指消毒製剤I(エタノール80 v/v%)、製剤II(イソプロパノール75 v/v%)、およびアルコール濃度を体積パーセントから重量パーセントに変更し濃度を高めグリセロール濃度を半分(0.725 v/v%)に減少させた改良処方の製剤I、製剤IIによるSARS-CoV-2の不活化効果が確認された。ウイルス懸濁液、阻害物質、消毒剤をそれぞれ1:1:8の割合で混合し30秒間作用させた結果、製剤I、製剤IIは改良処方も含めて、ウイルス量を検出限界まで減少させた。エタノールおよびイソプロパノール単体では、共に30 v/v%以上の濃度でウイルス量を検出限界まで減少させた。

物理的な距離の確保の介入とCOVID-19発生率
Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries.
著者
Islam N, Sharp SJ, Chowell G, Shabnam S, Kawachi I, Lacey B, et al.
出典
BMJ. 2020 Jul 15;370:m2743. doi: 10.1136/bmj.m2743.

【要約】
2020年1月1日~5月30日の期間、149の国と地域における物理的な距離の確保(physical distancing:PD)の介入の実施前後でCOVID-19の発生率比が評価された。5つのPD(①学校の閉鎖、②職場の閉鎖、③公共交通機関の閉鎖、④集会の制限、⑤ロックダウン)の介入の実施は、COVID-19発生率の平均13%の減少と関連していた。公共交通機関の閉鎖は、他のPDが組み合わせて行われていたとき、COVID-19発生率をさらに減少させることはなかった。早期のロックダウンの実施は、COVID-19発生率の大きな減少に関連していた。これらの結果は、PDの介入に関する政策決定に役立つ可能性がある。

ユニバーサルマスクと医療従事者のSARS-CoV-2感染率
Association between universal masking in a health care system and SARS-CoV-2 positivity among health care workers.
著者
Wang X, Ferro EG, Zhou G, Hashimoto D, Bhatt DL.
出典
JAMA. 2020 Jul 14;324(7):703-704. doi: 10.1001/jama.2020.12897. Online ahead of print.

【要約】
マサチューセッツ州、最大の医療システムで、ユニバーサルマスク(すべての医療従事者と患者がサージカルマスクを装着する)と医療従事者のSARS-CoV-2感染率との関連が評価された。介入前の期間、SARS-CoV-2陽性率は0%から21.32%に指数関数的に増加し、加重平均は1日あたり1.16%増加した。介入期間、陽性率は14.65%から11.46%まで直線的に減少し、加重平均は1日あたり0.49%減少した。正味勾配は1.65%(P<0.001)変化し、介入前の期間と比較して1日あたりの減少が大きかった。この結果は医療現場における感染対策の一環として、ユニバーサルマスクを支持している。

SARS-CoV-2の空気感染に関する文献的考察
Airborne transmission of SARS-CoV-2: Theoretical considerations and available evidence.
著者
Klompas M, Baker MA, Rhee C.
出典
JAMA. 2020 Jul 13. doi: 10.1001/jama.2020.12458. Online ahead of print.

【要約】
SARS-CoV-2の空気感染に関する文献的考察では、実験データはSARS-CoV-2がエアロゾル(空気感染)によって伝播する可能性を支持するが、感染症につながるこれらの特性の程度は明確ではない。COVID-19の再生産数は約2.5と推定され(拡散対策前)、エアロゾルによって広がるはしかの再生産数約18と異なる。換気の悪い場所での感染者への長時間曝露は、例外事象である。N95と医療用マスクの防護効果の比較において、医療従事者の呼吸器ウイルスの感染率に差は認められていない。現在優勢なエビデンスは、エアロゾルによる長距離の伝播がSARS-CoV-2の主な伝播様式ではないことを示唆している。

COVID-19流行期間中の手指衛生の遵守と影響因子
Compliance measurement and observed influencing factors of hand hygiene based on COVID-19 guidelines in China.
著者
Zhou Q, Lai X, Zhang X, Tan L.
出典
Am J Infect Control. 2020 Sep;48(9):1074-1079. doi: 10.1016/j.ajic.2020.05.043. Epub 2020 Jun 6.

【要約】
中国 同済病院のブランチ施設で、中国政府が発行した「COVID-19流行期間中の医療従事者の防護のための技術ガイドライン(トライアル)」に基づいて手指衛生の遵守と影響因子について調査が行われた。手指衛生の行動、手順、時間、手の乾燥方法を含む全体の遵守は79.44 %だった。全体および手の乾燥法の遵守は、汚染エリアよりも準汚染エリア、清潔エリアのほうが有意に高かった。手指衛生行動遵守の動機は、患者保護のほうが自己防衛よりも低かった(OR = 0.362 P< 0.001)。これらは、より多くの人的資源を割り当て、監督と教育を増やすことで対処できる。

物理的距離、フェイスマスク、目の防護具のベータコロナウイルス感染防止効果
Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
著者
Chu DK, Akl EA, Duda S, Solo K, Yaacoub S, Schünemann HJ, et al.
出典
Lancet. 2020 Jun 27;395(10242):1973-1987. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31142-9. Epub 2020 Jun 1.

【要約】
COVID-19、SARSおよびMERSのデータを用いて、物理的距離、フェイスマスク(N95および同様レスピレータ、サージカルマスクおよび同様マスクを含む)および目の防護具の感染防止効果がそれぞれメタアナリシス(比較研究44件、医療現場および非医療現場含む)で評価された。ウイルス伝播リスクは、物理的距離1m以上のほうが1m未満より低く、距離が長くなるにつれてリスクは減少した。フェイスマスクの使用は感染リスクを大幅に減少させ、N95のほうがサージカルマスクより感染リスクを低減させることが示唆された。眼の防護は、感染リスク減少と関連していた。

エアロゾル中および異なる表面での安定性
Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1.
著者
van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, Holbrook MG, Gamble A, Williamson BN, et al.
出典
N Engl J Med. 2020 Apr 16;382(16):1564-1567. doi: 10.1056/NEJMc2004973. Epub 2020 Mar 17.

【要約】
SARS-CoV-2とSARS-CoV-1のエアロゾル中および異なる表面での安定性が比較された。SARS-CoV-2は、エアロゾル中では3時間生存可能であり、感染力価は空気1Lあたり103.5から102.7 TCID50に減少した。異なる表面(21~23℃、相対湿度40%)でのSARS-CoV-2の安定性は、プラスチックとステンレス鋼は共に96時間後、段ボールは48時間後、銅は8時間後に検出限界になった。SARS-CoV-2の安定性は、SARS-CoV-1と類似していた。これらの伝播形態は、パンデミック対策の情報を提供する。

COVID-19発症前の伝播の可能性
Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19.
著者
He X, Lau EHY, Wu P, Deng X, Wang J, Hao X, et al.
出典
1)Nat Med. 2020 May;26(5):672-675. doi: 10.1038/s41591-020-0869-5. Epub 2020 Apr 15.
2) Published Erratum: Nat Med. 2020 Aug 7;1-3. doi: 10.1038/s41591-020-1016-z. Online ahead of print.

【要約】
中国広東省の広州第八人民病院において、検査で確認されたCOVID-19中等症入院患者94名の咽頭スワブ414検体からウイルス排出量がRT–PCRを用いて確認された。ウイルス排出量は症状の発症直後に高く、21日頃には検出限界付近まで減少していた。また、中国本土内外の公的に入手可能な情報源から得られた感染者-被感染者伝播ペア77件からCOVID-19の感染力が分析された。初期のCOVID-19症例の研究から5.2日間の潜伏期間分布を仮定すると、感染力は発症12.3日前から始まり、発症でピークに達し、二次症例の44%が初発症例の発症前に感染したと推定された。

SARS-CoV-2ゲノムの系統発生学的ネットワーク分析
Phylogenetic network analysis of SARS-CoV-2 genomes.
著者
Forster P, Forster L, Renfrew C, Forster M.
出典
Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Apr 28;117(17):9241-9243. doi: 10.1073/pnas.2004999117. Epub 2020 Apr 8.

【要約】
2019年12月から2020年3月4日の期間、世界中から提供された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)160株(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Dat;ドイツ連邦食糧・農業・消費者保護省)の全ゲノムの系統発生学的ネットワーク解析が行われた。アミノ酸変異によって区別される3つの中心的な突然変異株(A型、B型、C型)が認められた。A型は、雲南省のコウモリのコロナウイルス分離株からの祖先型(ancestral type)であり、B型はA型から派生し、C型はB型から派生している。A型とC型は欧州と米国で多く見られ、B型は東アジアで最も一般的である。

呼気中のウイルス排出とフェイスマスクの有効性
Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks.
著者
Leung NHL, Chu DKW, Shiu EYC, Chan KH, McDevitt JJ, Hau BJP, et al.
出典
Nat Med. 2020 Apr 3. doi: 10.1038/s41591-020-0843-2. [Epub ahead of print]

【要約】
季節性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルスに感染している被験者計111名の呼気を採取し、直径5μm以上の飛沫中および、それ未満のエアロゾル中のウイルス量をRT-PCRを用いて測定した。不織布マスク着用の有無で比較したところ、マスク着用群は飛沫/飛沫核中のコロナウイルスと、飛沫中のインフルエンザウイルスが非着用群より少なかった。ライノウイルスにはマスク着用有無で差が認められなかった。季節性コロナウイルスはSARS-CoV-2とほぼ同じ大きさのため、SARS-CoV-2も同様の機序である可能性が高いと考えられる。不織布マスクの着用がSARS-CoV-2の飛沫感染や飛沫核感染拡大予防に一定の役割を果たす可能性が示唆された。

COVID-19 空気感染の可能性
COVID-19 outbreak associated with air conditioning in restaurant, Guangzhou, China, 2020.
著者
Lu J, Gu J, Li K, Xu C, Su W, Lai Z, et al.
出典
Emerg Infect Dis. 2020 Jul;26(7):1628-1631. doi: 10.3201/eid2607.200764. Epub 2020 Apr 2.

【要約】
中国広州のレストランで、3家族(A~C)10名を含むCOVD-19のアウトブレイクが発生した。初発症例患者A1(家族Aは武漢から広州への旅行に来た)は家族とレストランXに昼食に訪れ、家族Bと家族Cと隣のテーブルに座っていた。その日の遅く患者A1は発症し、結果、家族A 4名、家族B 3名、家族C 2名がCOVID-19に罹患した。レストランのエアコンの排気口と吸気口はテーブルCの上にあり、エアコンからの強い気流は、飛沫をテーブルCからテーブルA、次にテーブルB、次にテーブルCに戻るように伝播させた可能性がある。

さまざまな環境条件での安定性
Stability of SARS-CoV-2 in different environmental conditions.
著者
Chin AWH, Chu JTS, Perera MRA, Hui KPY, Yen HL, Chan MCW, et al.
出典
Lancet Microbe. 2020 May;1(1):e10. doi: 10.1016/S2666-5247(20)30003-3. Epub 2020 Apr 2.

【要約】
異なる環境条件でSARS-Cov-2の安定性が調査された。SARS-CoV-2は、輸送培地中70℃で5分後に不活化した。異なる表面上(相対湿度約65%、22℃)では、印刷用紙とティッシュペーパーは3時間後、木材と布は2日目、ガラスと紙幣は4日目、ステンレス、プラスチックおよびサージカルマスク内層は7日目に不活化した(サージカルマスク外層は7日目でも検出)。ブリーチ(1:49、1:99)、70%エタノール、7.5%ポビドンヨード、0.05%クロルヘキシジン、0.1% ベンザルコニウム塩化物は、22℃、5分間放置で不活化した。pH3~10、室温、60分間放置で極めて安定していた。

生SARS-CoV-2のウイルス学的分析
Virological assessment of hospitalized patients with COVID-2019.
著者
Wölfel R, Corman VM, Guggemos W, Seilmaier M, Zange S, Müller MA, et al.
出典
Nature. 2020 May;581(7809):465-469. doi: 10.1038/s41586-020-2196-x. Epub 2020 Apr 1.

【要約】
ドイツ ミュンヘンの病院1施設で治療された9症例(重症例を含まない)の臨床検体から生きたSARS-CoV-2が分離されウイルス学的分析が行われた。SARS-CoV-2は、発症後1週間の間に咽頭スワブ16.66%および唾液83.33%から分離された。咽頭におけるSARS-CoV-2の活発な複製がサブゲノムmRNAの存在によって確認され、発症後5日目まで検出された。患者1名の咽頭スワブと唾液の検体でシーケンスが異なるSARS-CoV-2を検出し、独立した複製が証明された。今回の研究結果に基づくと、早期退院後自宅隔離は、発症後10日を超え、および唾液のSARS-CoV-2 RNA量が100,000 viral RNA copies/ml未満の患者に対して選択されるとされた。

SARS-CoV-2発症前伝播および接触者への即時通知の効果
Quantifying SARS-CoV-2 transmission suggests epidemic control with digital contact tracing.
著者
Ferretti L, Wymant C, Kendall M, Zhao L, Nurtay A, Abeler-Dörner L, et al.
出典
Science. 2020 May 8;368(6491):eabb6936. doi: 10.1126/science.abb6936. Epub 2020 Mar 31.

【要約】
数学モデルと中国初期の流行データからSARS-CoV-2の基本再生産数R0=2の伝播経路の寄与が導きだされた。その結果、発症前伝播46%、症候性伝播38%、無症候性伝播10%、および環境媒介伝播6%であり、発症前伝播だけで流行の拡大を維持するには十分であった。また、COVID-19症候性症例の隔離および、症候性症例との接触者の追跡と隔離の効果をモデル化した結果、診断後、接触者への通知が3日後になる手動の通知では流行を制御することはできないが、携帯電話アプリによる接触者への即時通知は人口の高い割合で使用された場合、流行を防ぐのに十分な可能性があった。

SARS-CoV-2感染症患者における嗅覚および味覚障害
Self-reported olfactory and taste disorders in patients with severe acute respiratory coronavirus 2 infection: A cross-sectional study
著者
Giacomelli A, Pezzati L, Conti F, Bernacchia D, Siano M, Oreni L, et al.
出典
Clin Infect Dis. 2020 Mar 26:ciaa330. doi: 10.1093/cid/ciaa330. Online ahead of print.

【要約】
SARS-Cov2感染症患者は、本格的な臨床症状が出る前にOTDを発症する可能性が示された。イタリア ミラノのL. Sacco病院にて、SARS-CoV-2陽性入院患者59人を対象に嗅覚および味覚障害(OTD)のインタビュー調査が行われた。その結果、33.9 %が味覚または嗅覚障害を1つ以上、18.6 %が両方を報告した。20.3 %は入院前にOTDを示し、13.5 %は入院中にOTDを経験した。女性は、男性よりもOTDの報告が多かった(10/19 vs 10/40;P = 0.036)。さらに、1つ以上のOTDを伴う患者は症状を伴わない患者より若かった(中央値 56歳vs 66歳;P = 0.035)。すべての患者は、インタビュー時にOTDが持続していた。SARS-Cov2感染症患者は、本格的な臨床症状が出る前にOTDを発症する可能性が示された。

WHO COVID-19が疑われる場合の医療における感染予防と
管理の暫定手引き(2020年3月19日)
Infection prevention and control during health care when COVID-19 is suspected. Interim guidance March 19, 2020.
出典
WHO.

【要約】
WHOは「COVID-19が疑われる場合の医療における感染予防と管理」の暫定手引きを発表した。この手引きには、COVID-19疑い患者をトリアージ、早期発見、隔離すること、すべての患者に標準予防策を適用すること、COVID-19の疑いがある症例には飛沫予防策と接触予防策を実施し、これらの患者にエアロゾルを発生させる処置(例:気管挿管、非侵襲的換気、気管切開、心肺機能蘇生、挿管前の手動換気、気管支鏡検査など)を行う場合は空気予防策を実施すること、環境および器具の消毒には次亜塩素酸ナトリウムおよび70 %エタノールを用いることなどが推奨されている。

COVID-19医療従事者のリスク因子
Risk factors of healthcare workers with corona virus disease 2019: A retrospective cohort study in a designated hospital of Wuhan in China.
著者
Ran L, Chen X, Wang Y, Wu W, Zhang L, Tan X.
出典
Clin Infect Dis. 2020 Mar 17;ciaa287. doi: 10.1093/cid/ciaa287. Online ahead of print.

【要約】
中国 武漢大学の指定病院で、急性呼吸器疾患を伴う医療従事者72名のCOVID-19発症に関するリスク因子がオンラインアンケートを用いて分析された。医療従事者は、曝露リスクに基づいてハイリスク部門39名と一般グループ33名に分けられた。正規でない手洗い、患者接触前と後の最適でない手指衛生および不適切な個人防護具の相対リスクが有意に高かった。ハイリスク部門は一般グループと比べて、COVID-19発症リスクが2.13倍高かった。COVID-19感染は日々の勤務時間とともに増加した。COVID-19患者接触前後の手指衛生が重要であり、医療従事者の勤務時間の制限を考慮する必要がある。

眼からSARS-CoV-2の検出
Evaluation of coronavirus in tears and conjunctival secretions of patients with SARS-CoV-2 infection
著者
Xia J, Tong J, Liu M, Shen Y, Guo D.
出典
J Med Virol. 2020 Feb 26. doi: 10.1002/jmv.25725. [Epub ahead of print]

【要約】
SARS-CoV-2感染患者の涙および結膜分泌物中にSARS-CoV-2が存在するかどうか評価された。新型コロナウイルス肺炎(NCP)患者(確定例)30名(重症例9名、非重症例21名)は、2020年1月26日から2020年2月9日の期間、浙江大学第一連携病院から選択された。検体は、2~3日間隔で2回採取され、RT-PCRを用いてウイルスRNAを検出した。結膜炎を伴う患者1名(非重症例)のみが陽性を示し(2回とも)、他の結膜炎を伴わない患者はすべて陰性だった。この結果から、結膜炎のない患者の涙と結膜分泌物は、SARS-CoV-2の感染経路ではないことが示唆された。

鼻腔と咽頭のSARS-CoV-2量比較
SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients
著者
Zou L, Ruan F, Huang M, Liang L, Huang H, Hong Z, et al.
出典
N Engl J Med. 2020 Mar 19;382(12):1177-1179. doi: 10.1056/NEJMc2001737. Epub 2020 Feb 19.

【要約】
中国広東省珠海のCOVID-19患者18名(男性9名、女性9名、年齢中央値59歳[範囲26〜76歳]、うち1名は無症状)の鼻腔と咽頭のSARS-CoV-2のウイルス量がRT-PCRを用いて監視された。検体は発症から連続して1~9回各患者から採取され、鼻腔スワブ72検体、咽頭スワブ72検体のSARS-CoV-2のウイルス量が測定された。発症後すぐに高いウイルス量が検出された。鼻腔のほうが咽頭よりもウイルス量が多かった。無症状患者のウイルス量は、症状がある患者のウイルス量と類似していた。これは、無症状患者でもSARS-CoV-2を感染させる可能性があることを示唆している。

中国のInfectious Disease Information Systemに報告された
(2020年2月11日まで)COVID-19全症例72,314名の症例分析
The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 Novel Coronavirus Diseases (COVID-19) — China, 2020
著者
The Novel Coronavirus Pneumonia Emergency Response Epidemiology Team.
出典
China CDC Weekly 2020; 2(8): 113-122.

【要約】
2020年2月11日までに中国のInfectious Disease Information Systemに報告されたCOVID-19全症例72,314名のうち、確定例61.8 %、疑い例22.4 %、臨床診断例(湖北省のみ)14.6 %、無症候性例1.2 %だった。確定例のうち、ほとんどが30〜79歳(86.6 %)で、湖北省で診断され(74.7 %)、男性は51.4 %だった。症状の程度は、軽症80.9 %、重症13.8 %、重篤4.7 %であり、死亡はすべて重篤例で致死率2.3 %だった。COVID-19は、2019年12月以降に湖北省から31州、全1,386郡に広がった。発症の流行曲線は1月23日から26日頃にピークに達し、その後2月11日まで減少し始めた。医療従事者は1,716名が感染し、5名が死亡した。

肛門および血液から2019-nCoVの検出
Molecular and serological investigation of 2019-nCoV infected patients: implication of multiple shedding routes
著者
Zhang W, Du RH, Li B, Zheng XS, Yang XL, Hu B, et al.
出典
Emerg Microbes Infect. 2020 Feb 17;9(1):386-389. doi: 10.1080/22221751.2020.1729071. eCollection 2020.

【要約】
武漢肺疾患病院の2019-nCoV陽性患者15名を対象に口腔スワブ、肛門スワブ、全血からRT-PCRを用いて2019-nCoVを検出したところ、それぞれ53.3 %、26.7 %、40 %が陽性だった。患者2名が口腔スワブと肛門スワブの両方が陽性だったが、血液陽性患者では口腔および肛門スワブが陽性になった患者はいなかった。別の2019-nCoV 陽性患者16名で、入院後初回検体採取日のRT-PCR陽性患者は口腔スワブ50 %のほうが肛門スワブ25 %より多かったが、5日目の陽性患者は口腔スワブ25 %より肛門スワブ37.5 %のほうが多かった。口腔スワブのウイルス検出は不完全であることが示唆された。

2019-nCoV感染肺炎の重症例と非重症例比較
Clinical Characteristics of 138 Hospitalized Patients With 2019 Novel Coronavirus-Infected Pneumonia in Wuhan, China
著者
Wang D, Hu B, Hu C, Zhu F, Liu X, Zhang J, et al.
出典
JAMA. 2020 Feb 7. doi: 10.1001/jama.2020.1585. [Epub ahead of print]

【要約】
中国の武漢大学の中南病院(三次医療機関 教育病院)で、2020年1月1日から1月28日の期間、2019-nCoV感染肺炎(NCIP)が確定された入院患者138名のICUで治療を受けた患者(重症患者)と受けなかった患者(非重症患者)の比較が行われた(後ろ向き症例集積研究)。重症患者36名は非重症患者102名と比較して、高齢(年齢中央値66歳と51歳)であり、基礎的な併存疾患の保有(72.2 %と37.3 %)、呼吸困難(63.9 %と19.6 %)、食欲不振(66.7 %と30.4 %)の傾向が高かった。2月3日現在、NCIPの入院患者138名のうち34.1 %が退院し(入院期間中央値10日)、4.3 %が死亡した。

コロナウイルスの環境生存性と消毒効果(文献レビュー)
Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and their inactivation with biocidal agents
著者
Kampf G, Todt D, Pfaender S, Steinmann E.
出典
J Hosp Infect. 2020 Mar;104(3):246-251. doi: 10.1016/j.jhin.2020.01.022. Epub 2020 Feb 6.

【要約】
コロナウイルスの無生物表面上での生存性、および殺菌剤の効果について文献レビューが行われた。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルスまたはエンデミックヒトコロナウイルスは、最大9日間まで金属、ガラスまたはプラスチックのような無生物表面上に生残できる。62~71 %エタノール、0.5 %過酸化水素または0.1 %次亜塩素酸ナトリウムを用いた表面消毒処理は、1分間以内に効果的に不活化できる。0.05~0.2 %ベンザルコニウム塩化物または0.02 %クロルヘキシジングルコン酸塩は、効果が低い。

眼から2019-nCoVの感染
2019-nCoV transmission through the ocular surface must not be ignored
著者
Lu CW, Liu XF, Jia ZF.
出典
Lancet. 2020 Feb 22;395(10224):e39. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30313-5. Epub 2020 Feb 6.

【要約】
Lu(吉林大学第一病院 眼科)らは、中国の肺炎に関する国家専門委員会のメンバーであるWangが武漢発熱外来診療所で、N95マスクを装着していたが、眼の保護具を装着していなかったため、2019-nCoVに感染した可能性があることを示した。そして、Wangは肺炎の発症の数日前、眼の充血があった。Luらは、眼科医に向けて2019-nCoV感染が疑われる症例の検査時の眼の防護具の必要性を訴えた。

2019-nCoVヒト-ヒト感染と基本再生産
Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus-Infected Pneumonia
著者
Li Q, Guan X, Wu P, Wang X, Zhou L, Tong Y, et al.
出典
N Engl J Med. 2020 Mar 26;382(13):1199-1207. doi: 10.1056/NEJMoa2001316. Epub 2020 Jan 29.

【要約】
湖北省武漢で発生した2019-nCoV感染肺炎(NCIP)の最初(2020年1月22日まで)の確定例425名の疫学的特性が確認された。華南海鮮卸売市場に関連していた症例は、2020年1月1日より前の症例で55 %、それ以降の症例で8.6 %であった。潜伏期間は平均5.2日(95 %信頼区間[CI]4.1~7.0)、95パーセンタイル値12.5日であった。基本再生産は2.2(95 % CI 1.4-3.9)であり、患者数が倍増する時間は7.4日だった(2020年1月4日までのデータ)。これらの結果から、2019年12月中旬から密接な接触者の間でヒトからヒトへの感染が発生していたことが示唆された。