専門家に聞く!感染対策AtoZ
感染症を理解する上で重要な微生物や検査について、第一線でご活躍されている先生方に解説していただきます。
日ごろの学習や困ったときの手引きとして是非ご活用ください。
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最新の記事
- 第20回:アルコール手指消毒剤による皮膚刺激・手荒れとその対策
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手荒れとは、手の表面が荒れた状態を指します。健康な皮膚では、皮膚の表面はなめらかですが、手荒れでは、皮膚の表面が過角化をおこし粗造になります。皮膚の伸展性が失われるため、亀裂(ひび割れ)が入り、そこから細菌やウイルスなどが入ることで感染を起こしやすくなります。......
記事一覧
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- 第19回:透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(六訂版)改訂のポイント
- 2022年11月11日、透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(五訂版)改訂に向けたワーキンググループメンバーが招集された。そこで、ガイドライン改訂の範囲、期間、プロジェクトの目的の提示と説明がなされた。六訂版の作成にあたっては、2021年に改訂された「 Minds 診療ガイドライン作成マニュアル」に基づき、ガイドライン作成過程の明確化や適正なエビデンスの評価を行うが...続きを読む
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- 第18回:医療現場の環境整備におけるノータッチ技術の活用
- 病院環境中には多種多様な細菌が存在し、かつてはこれらの細菌が病院感染の原因菌として重要と考えられてきました。しかし1900年代には床や壁などに付着している細菌と病院感染の発生には関連がないとされ、また消毒薬を用いて環境の消毒をしてもすぐに元の状態に戻るとして、環境を消毒する意義はないとされてきた時代もあります。...続きを読む
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- 第17回:次亜塩素酸水と新型コロナウイルス
- 新型コロナウイルスの感染拡大は、様々な物資の供給不足を招きました。その代表的なものとしては、マスクと消毒薬が挙げられます。マスクは中国にその生産の大部分を依存していたこと、消毒薬については製品を入れるボトルが中国で製造されていたことなどにより、いずれも供給が極端に不足し、入手困難な状況となりました。...続きを読む
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- 第16回:日本におけるCOVID-19の現状と感染対策 ー 緊急事態宣言解除を迎えて ー
- 2019年12月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は数ヶ月の間に急激に世界に広がり、全世界の感染者数は本原稿執筆時において約370万名、死者は約26万名となっています。...続きを読む
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- 第15回:個人防護具(PPE)が少なくなった時にすべきこと-新型コロナウイルスの世界的拡大を鑑みて-
- 2020年3月14日現在、全国的に個人防護具(PPE)や手指消毒薬をはじめとして、感染対策に必要な物品が不足している状況が続いています。少なくとも、筆者の施設とその周囲では、深刻な状況に近づいており、近隣の介護保険施設でも同様の状況のようです。...続きを読む
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- 第14回:新型肺炎の概要と感染対策【2020年2月速報】
- これまでヒトに感染するコロナウイルスには「通常型ヒトコロナウイルス」が4種類(229E, NL63, OC43, HKU1)、「それ以外のヒトコロナウイルス」が2種類(SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルス)の6種類がありました。通常型ヒトコロナウイルスは感冒を引き起こし、症状として鼻汁、頭痛、咳、咽頭痛、発熱、全身の不快感などがみられます。...続きを読む
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- 第13回:経営的視点から見た感染対策の意義
- 当院は、沖縄県の国立大学病院/特定機能病院として感染症診療やがん治療などを中心に、地域に根ざした高度な医療の提供を担っています。病院長就任前より感染対策に従事してきた私は、現在も感染対策室の室長を務めています。感染対策室は、発足して22年になりますが、チームワークよく活動しています。感染対策室の活動を通じて、薬剤耐性菌検出率が低くなりました。...続きを読む
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- 第12回:ハンドケア 手荒れ外来の開設と今後の展望について
- 感染制御チーム(Infection Control Team:ICT)による病棟ラウンド時、手指衛生の直接観察と同時に職員の手荒れの有無についても確認したところ、多くの職員に手荒れ症状があることが分かりました。これら職員にはハンドクリームの塗布や皮膚科への受診などを勧めていましたが、後日ハンドクリームの塗布状況を尋ねたところ、手荒れは仕事だけではなく家事などさまざまな要因で生じるにも関わらず職場でしか塗布していない状況が明らかになりました。...続きを読む
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- 第11回:抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の取り組みについて
- 当院は、以前から感染対策実働チーム(Infection Control Team:ICT)で抗菌薬適正使用を推進していましたが、ICTの枠を超えてさらに踏み込んだ抗菌薬適正使用支援を行うため、2014年8月にASTを発足しました。ASTは感染対策委員会の下部組織としてICTと並列で位置しています(図1)。 当院のASTは医師2名(うち、ICD1名)、薬剤師23名(うち、抗菌化学療法認定薬剤師2名、病棟薬剤師15名)、臨床検査技師(認定臨床微生物検査技師、感染制御認定臨床微生...続きを読む
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- 第10回:手術時手指消毒 国内の手術時手指消毒の現状と今後の展望について
- 2005年、大久保憲先生等が全国の300床以上の1,616病院に対し、院内感染対策関連の省令改正に伴う各医療施設の対応についての調査を実施し、その調査内容の1つに、手術時手指消毒がありました。これは、2002年に米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)より発表された『医療現場における手指衛生のためのガイドライン』でブラシの使用により皮膚を傷つけ、手からさらに多くの細菌が剥落する可能性があると指摘...続きを読む
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- 第9回:薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン
- 薬剤耐性菌が世界中に拡大しており、治療に現在使用可能な抗微生物剤が効かなくなってしまう可能性があり、医療の質や安全面で大きな問題となっています。薬剤耐性が拡大した原因は、抗微生物剤の使い過ぎや不適切な使用等が指摘されています。このような状況で薬剤耐性菌が増加する一方、新規の抗微生物剤の開発が減少し、薬剤耐性は今や世界の医療における脅威となっています。
これらに対処すべく、先進国、特にアメリカやイギリスを中心に「薬剤耐性は医療を揺るがす大きな問題であり、薬剤耐性菌...続きを読む
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- 第8回:劇症型溶血性レンサ球菌感染症について
- まず、STSSについてお話しする前に、レンサ球菌の分類と関連疾患について解説します。レンサ球菌のうち、ヒトへの病原性に関係するものの多くは、β溶血する菌群です。また、β溶血するレンサ球菌の多くはランスフィールド(Lancefield)による血清分類でA群、B群、C群、G群に含まれます。A群抗原を保有するβ溶血レンサ球菌(A群溶血性レンサ球菌)の多くはStreptococcus pyogenesで、咽頭炎や猩紅熱の他、皮膚および軟部組織感染(伝染性膿痂疹、蜂窩...続きを読む
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- 第7回:新規遺伝子型ノロウイルスGⅡ.17の概要と発生動向
- ウイルスの科(Family)、属(Genus)は、形態学的特徴、ゲノム構造などにより国際ウイルス命名委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses; ICTV)により決められています。ノロウイルスはカリシウイルス科(Caliciviridae)に属するウイルスの1つです。カリシウイルス科(Caliciviridae)には、ノロウイルス属(Norovirus)、サポウイル...続きを読む
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- 第6回:平成23年6月17日 厚生労働省通知「医療機関等における院内感染対策について」:改正内容とその背景
- 平成17年に厚生労働省医政局指導課長から出された通知「医療施設における院内感染の防止について」が改正されました。今回の通知は、院内感染対策を実施する上で参考資料として有益な資料ですので、この通知をいかに有効に活用するか、医療機関が主体的に判断することが求められます。...続きを読む
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- 第5回:感染対策で臨床検査技師に求められること
- 検査部は感染症などの疾患の情報、検査の結果が一番最初にわかる場所です。それはつまり、そこが遅延すればすべてのチーム医療が遅れる...続きを読む
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- 第4回:インフルエンザ
- 2008年以前の、いわゆる通常の季節性インフルエンザは、11月頃から報告数が増え始め、1月、2月にピークを迎えて3月頃終息し、その後B型の...続きを読む
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- 第3回:多剤耐性緑膿菌(MDRP)
- 緑膿菌は、自然界、特にトイレや流し場といった湿った環境に高率に存在する細菌です。例えばコンタクトレンズの保存液を培養すると検出されることが...続きを読む
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- 第2回:NDM-1産生菌の今後の動向
- NDM-1とは、ニューデリー・メタロ-β-ラクタマーゼ1(New Delhi metallo-β-lactamase 1)と呼ばれる酵素のこと。この酵素の働きによりカルバペネムを含むほとんどの抗菌薬は分解され、結果として抗菌薬が効かなくなる...続きを読む
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- 第1回:アシネトバクター感染症について
- 多剤耐性アシネトバクターの具体的な定義ですが、実はまだ決まっていません。現時点では、多剤耐性緑膿菌(以下、MDRP)と同様に...続きを読む