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医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版(2020年)

2014年に発表された「医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版」が2020年6月に第3版に改訂されました。これは、医療機関において院内感染対策の一環として行うべき医療関係者への予防接種についてのガイドラインです。各ワクチンについて接種対象者、接種時期、接種方法、効果、副反応などが示されています。第3版では、既存のB型肝炎・麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘・インフルエンザワクチンについて修正された他、髄膜炎菌・破傷風トキソイドワクチンは2017年に公表された第2版追補版が本文に取り込まれ、百日咳・帯状疱疹ワクチンが新規に項目立てされました。
また第3版追補版として、2022年1月に「追補版 新型コロナワクチン」も公開されています。こちらは、新型コロナワクチンの情報およびデータがアップデートされ次第、必要に応じて改訂していく予定とのことです。 http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_03-tsuiho.pdf

米国

Influenza ACIP Vaccine Recommendationsインフルエンザに関するACIPのワクチン勧告

このサイトには、予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)が主体となってまとめた、季節性インフルエンザのワクチンや製剤使用に関する勧告がまとめられています。年1回の季節性インフルエンザワクチン接種を生後6か月以上の禁忌事項のない全ての人々に勧めており、特に、高齢者や幼児、基礎疾患を有するなどリスクの高い人や、そのような人と接触する可能性のある同居者や医療従事者への接種が強調されています。
ACIPは2006年の「Influenza Vaccination of Health-Care Personnel(医療従事者のインフルエンザワクチンに関する勧告)」発行以降、毎年、米国内でのインフルエンザ流行期前にワクチンによる季節性インフルエンザの予防と管理に関する勧告を発表しており、この内容は、CDCと保健福祉省(Department of Health and Human Services: HHS)の正式勧告として疾病週報(Morbidity and Mortality Weekly Report: MMWR)にも掲載されています。尚、同サイトには過去の勧告などの出版物が保存されています。

Immunization of Health-Care Personnel:Recommendations of Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)(2011年)医療関係者の免疫付与:予防接種諮問委員会(ACIP)の勧告

米国の予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)と医療感染管理諮問委員会(Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee: HICPAC)による1997年発行のImmunization of Health-Care Workers(医療従事者の免疫付与)の改訂版です。勧告の対象は、医療従事者の他、実習生、患者に直接接触しなくとも双方向に感染伝播の可能性がある医療施設で働く全ての人々(清掃、洗濯、守衛、会計事務やボランティアなど)で、病院だけでなく、長期療養施設やリハビリ施設、在宅介護に関わる方も含まれます。本勧告において医療関係者にワクチン接種を推奨する疾患は、B型肝炎、インフルエンザ、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、百日咳で、特定の状況において接種が必要なものは、髄膜炎菌性髄膜炎、腸チフス、ポリオです。A型肝炎は、下水汚物を含め職業的な曝露によって感染の危険性が増すことは示されていない為、医療関係者に限定せず、慢性肝疾患や海外旅行、A型肝炎に曝露する危険性の高い一般成人に対しての推奨項目となりました。その他、成人に必要なワクチンには、破傷風とジフテリアの追加接種があり、更に年齢に応じて肺炎球菌、HPVの追加接種、帯状疱疹があげられています。

通常免疫付与は推奨されませんが、ある特定の状況では免疫学的予防が必要なものとして、ハイリスク施設での結核、A型肝炎、髄膜炎菌性疾患、百日咳、腸チフス、牛痘が示されています。
また、一般成人として予防が必要なものとしてはジフテリア、肺炎球菌による疾患、破傷風があげられています。

Updated U.S. Public Health Service guidelines for the management of occupational exposures to HIV and recommendations for postexposure prophylaxis(2013年)HIVの職業上曝露の対応のための米国公衆衛生局ガイドラインと曝露後予防勧告の更新(2013年:2018年一部修正)

米国公衆衛生局(U.S. Public Health Service)による、HIVを含んでいる可能性のある血液や体液へ曝露した医療従事者への対応に関するガイドラインの更新版です。新たな勧告として、HIV曝露後予防薬(Postexposure prophylaxis: PEP)の投与計画と、曝露者の経過観察の検査期間が加えられました。
速やかな曝露後の対応とPEPの投与開始を確実にすることの重要性が示されており、職業上曝露の報告と管理、PEPの投薬遵守、曝露後管理における専門医の受診、PEP遵守向上のための曝露者の経過観察、副作用と感染徴候のモニタリングに重点が置かれています。2018年の修正は、付録の表Bと制作部員の所属名についてで、基本的な対策の変更はありませんでした。

SHEA Guideline for Management of Healthcare Workers Who Are Infected with Hepatitis B Virus, Hepatitis C Virus, and/or Human Immunodeficiency Virus(2010年)HBV、HCV、HIVに感染している医療従事者の管理に関するSHEAガイドライン

米国病院疫学学会(The Society for Healthcare Epidemiology of America: SHEA)より発表された、HBV、HCV、HIVに感染している医療従事者の管理に関するガイドラインです。
HBV、HCV、HIVの疫学、病因、感染リスク、倫理問題について詳しく説明されています。HIV、HBV、HCVに感染している医療従事者の患者ケア業務を完全に制限する必要はないとしています。患者ケア業務を3段階に分類し、それぞれの感染状況により制限すべき業務分類や二重手袋が必要な手技を示しています。その他に、感染の公開や曝露管理などについても触れられています。