学術情報

各種ガイドライン

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プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)(2020年)

プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班・日本神経学会. プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版).

本ガイドラインは、厚生労働科学研究「プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班」(研究代表者:水澤英洋)と日本神経学会により、「プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)」の改訂版としてとりまとめられ2020年3月に発行されました。
今回の改訂では、従来記載されていた脳神経外科手術、歯科治療、眼科治療、整形外科治療などの診療領域、剖検時の留意点や滅菌法に加え、アルツハイマー病、パーキンソン病、多系統萎縮症、他の神経変性疾患などの章が新たに追加されています。医療・看護・介護における注意点も取り上げられています。

医療機関での麻疹対応ガイドライン(第七版)(2018年)

国立感染症研究所 感染症疫学センター.平成30年5月.

医療機関の職員・実習生、および外来、入院患者、付き添い者、面会者の麻疹の感染・発症を予防することを目的としたガイドラインです。第7版では、平常時の対応、麻疹患者発生時の対応・医療関連感染予防対策、麻疹患者発生状況の継続的な把握と終息宣言について、項目の整理やチャート・表の追加により詳細がより分かりやすく記載されています。また、麻疹発生に備えた院内マニュアルや、麻疹患者発生時の臨時緊急感染対策委員会、院内および行政関連機関との情報共有の方法等が新たに勧告されています。さらに、抗体価測定方法と医療従事者のワクチン接種の判断基準や接触者の定義が改められ、同居家族に対する緊急予防接種の検討等、具体的な接触者対応方法が加えられました。参考資料の接触者調査リスト、平常時・発生時の対策チェックリスト、予防接種記録カードは国立感染症研究所のホームページからダウンロードして使用できます。

アデノウイルス結膜炎院内感染対策ガイドライン(2009年)

日本眼科学会.アデノウイルス結膜炎院内感染対策委員会.アデノウイルス結膜炎院内感染対策ガイドライン.日眼会誌113巻1号.2009年.

アデノウイルス結膜炎の院内感染に焦点を合わせた実践的なガイドラインです。下記の内容を含んでおり、「感染防止と発症時の対策」の章では、入院患者、外来患者、病棟それぞれの感染防止や対策、さらに報道機関への対応法などについて記されています。また、「消毒法」の章ではアデノウイルスの性質と対象別消毒法が詳しく記されています。

  • 感染防止と発症時の対策
  • 臨床所見
  • 診断法・検査法
  • 治療法
  • 消毒法
  • 事例報告

疥癬診療ガイドライン(第3版)(2015年)

日本皮膚科学会疥癬診療ガイドライン策定委員会.疥癬診療ガイドライン(第3版)

疥癬診療ガイドライン(第3版)は、新たに外用薬(フェノトリン)が保険適用になったことを機会に作成されました。本ガイドラインは疥癬の定義、病型分類、感染経路、臨床症状、治療、感染予防対策などから構成されており、特に治療と感染予防対策は内容が充実しています。治療の項では、治療薬の一覧表や治療薬についてのClinical Question(CQ)が記載されており、幅広い情報を得ることができます。また、感染予防対策の項では、疥癬感染予防のポイントとして、身体介護や環境整備、リネン類の管理などに関する対応方法が疥癬の種類ごとに記載されており、即座に臨床現場で活用できる内容となっております。

MRSA感染症の治療ガイドライン改訂版(2019年)

公益社団法人日本化学療法学会・一般社団法人日本感染症学会 MRSA感染症の治療ガイドライン作成委員会

日本化学療法学会と日本感染症学会から共同で発表された、MRSA感染症の治療ガイドラインの改訂版です。MRSAの院内感染対策や疾患別抗MRSA薬の選択、抗MRSA薬のTDMなどについて取り上げており、推奨度とエビデンスレベルが記載されています。2018年に新しく抗MRSA薬 テジゾリドが発売され、国内で使用可能な抗MRSA薬が6薬剤となったことを受け、個々の症例に適した薬剤選択を行う必要性が増したことから今回(2019年)の改訂がなされました。

医療機関における風しん対策ガイドライン(2014年)

国立感染症研究所.医療機関における風しん対策ガイドライン. 2014年

国立感染症研究所より発表された、医療機関における風しん対策に係るガイドラインです。医療機関の職員や実習生、外来、入院患者、付き添い者の風しん感染・発症を予防することを目的に作成されており、職員や実習生の平常時および患者発生時の対応策や、ワクチン接種の概要、院内感染防止対策、医療機関における疫学調査の概略等が紹介されています。本ガイドラインは国立感染症研究所のホームページから無料でダウンロード可能です。

米国

SHEA Guideline for Preventing Nosocomial Transmission of Multidrug-Resistant Strains of Staphylococcus aureus and Enterococcus (2003) 黄色ブドウ球菌と腸球菌属の多剤耐性株の院内伝播防止のためのSHEAガイドライン

【訳本】
大久保憲 訳, 小林寬伊 監訳. MRSAとVREの院内伝播防止のためのSHEAガイドライン. メディカ出版, 2004.

米国病院疫学学会(The Society for Halthcare Epidemiology of America: SHEA)がMRSAとVREに焦点をあて、エビデンスに基づき作成した病院感染防止に関するガイドラインです。
伝播させる保菌者を確認するための積極的な監視培養、手指衛生、保菌または感染が明らかな患者または疑わしい患者のためのバリアプリコーション、抗菌薬管理、保菌患者の除菌または抑制などに関する勧告が示されています。

Guidelines for Preventing the Transmission of Mycobacterium tuberculosis in Health-Care Settings, 2005(2005年)医療環境における結核菌の伝播予防のためのガイドライン 2005

【訳本】
満田年宏 訳・著. 医療環境における結核菌の伝播予防のためのCDCガイドライン. メディカ出版, 2006.

1983年に米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)より発表された、「医療従事者の感染対策のためのガイドライン」を改訂したものです。
患者から医療従事者と、医療従事者から患者への感染の伝播を減少させる方法を提供しています。感染患者からの職員と患者の防御、医療従事者のワクチン投与、曝露後の予防法とフォローアップ、感染症の職員の業務制限、感染症の院内伝播予防についての勧告とそれらのエビデンスが示されています。

Management of Multidrug-Resistant Organisms in Healthcare Settings, 2006(2006年)医療環境における多剤耐性菌管理のためのガイドライン 2006

【訳本】
満田年宏 訳・著. 医療環境における多剤耐性菌管理のためのCDCガイドライン.2006 ヴァンメディカル, 2007.

2006年に米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)より発表された医療環境における多剤耐性菌管理のためのガイドラインです。
MRSAやVRE、その他の多剤耐性菌の伝播予防の戦略と実践が示されており、勧告は2段階に分かれています。第1段階は医療環境における多剤耐性菌の日常的な伝播予防と制御のための一般的な勧告、第2段階は日常の制御法の実施にも関わらず、多剤耐性菌の発生率や罹患率が減少しない場合、または、医療施設や病棟内で疫学的に重要な多剤耐性菌(例えば、VRE、MRSA、VISA、VRSA、MDR-GNR)の最初の症例または集団感染が確認された場合の勧告となっています。

Guide to the Elimination of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus (MRSA) Transmission in Hospital Settings, 2nd Edition 医療現場におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)伝播阻止のためのガイド、第2版

2007年3月に発行されたAPICガイド(初版)を改訂・増補して作成されたものが、2009-2010改訂「医療現場におけるMRSA伝播阻止のためのガイド」です。
追加した文献と情報、最新の研究結果のレビュー、更新された「エビデンスレベル」の指針は、MRSAサーベイランス、リスク評価、そして効果的な病院MRSA管理プログラムのためのベストプラクティスの勧告と統合されました。
耐性化記録や、実験室的試験方法に関する情報を含む、抗菌薬管理と実験項目が改訂されました。さらに、MRSAの除菌についても書かれ、施設文化の項目が拡大され、スタッフや他の専門的医療従事者、患者や訪問者の教育計画の作成についても追加されています。

Guide to the Elimination of Multidrug-resistant Acinetobacter baumannii Transmission in Healthcare Settings医療施設における多剤耐性アシネトバクター・バウマニ伝播阻止のためのガイド

アシネトバクター・バウマニは医療現場に関連する日和見感染の多剤耐性の病原体として次第に認識されてきています。医療現場におけるアシネトバクター・バウマニ感染リスクの公衆の認知度は、おもに中東地域に配属された軍隊での感染症を、メディアが「Iraqbacter(イラクバクター)」と呼び注目した結果、広まりました。
このガイドには、最新研究の要点とアウトブレイク事例、指針、そして医療現場における多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(multidrug-resistant Acinetobacter baumannii 、MDR Ab)伝播の管理および阻止のための適切なガイドラインおよびツールについて書かれています。

【訳本】
日本語訳をダウンロードできます。アシネトバクター・バウマニ感染症阻止のためのAPICガイドの翻訳は、株式会社モレーンコーポレーションから交付金支援を受け行われています。

Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults and Children: 2017 Update by the Infectious Diseases Society of America (IDSA) and Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA) (2018年)成人と小児のクロストリジウム・ディフィシル感染症の臨床診療におけるガイドライン:米国感染症学会(IDSA)と米国医療疫学学会(SHEA)による2017年改訂

米国医療疫学学会(SHEA)と米国感染症学会(IDSA)が2010年に発行した「Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults:2010 Update by the Society for Healthcare Epidemiology of America(SHEA) and the Infectious Diseases Society of America(IDSA)/成人クロストリジウム・ディフィシル感染症の臨床診療におけるガイドライン」の2017年改訂版です。クロストリジウム・ディフィシル感染症の疫学、診断、感染制御と管理、治療についての勧告とそのエビデンスがまとめられています。新たに小児の為の勧告が加えられ、診断検査の組み合わせと再検査実施の判断基準、抗菌薬の選択肢について勧告内容が変更されました。また、2回以上の発症を繰り返し、抗菌薬治療が有効でない症例に対して糞便微生物移植(Fecal Microbiota Transplantation: FMT)の実施を勧告しています。院内での感染拡大に関する勧告に変更はなく、患者は隔離し、医療従事者や訪問者は手袋、ガウンを装着しなくてはなりません。クロストリジウム・ディフィシル感染症患者のケア時には手袋を着用していることを前提とし、接触前後と手袋を外した後の手指衛生は石鹸と流水による手洗いまたは手指消毒の実施を強く勧め、アウトブレイクや大流行時にはアルコール手指消毒よりも手洗いを勧めています。また、患者の糞便や肛門周囲への直接接触があった場合は、手袋を外した後に手洗いを勧めています。

Guide to the Elimination of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus (MRSA) in the Long-Term Care Facility長期療養施設におけるメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)阻止のためのガイド

長期療養者に感染症を引き起こす可能性のある多剤耐性微生物は多数ありますが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(通称MRSA)は、最も広く蔓延し、なかなか阻止できない病原体のひとつです。このガイドには、長期療養施設の全領域にわたるMRSAを阻止するための総合的でエビデンスに基づいた戦略について書かれています。

Guideline for the Prevention and Control of Norovirus Gastroenteritis Outbreaks in Healthcare Settings (2011年)医療施設におけるノロウイルスによる感染性胃腸炎のアウトブレイク予防と制御のためのガイドライン

医療機関における感染防止と制御に関する対策実行の勧告と、実践の評価、サーベイランスについてまとめたCDCのガイドラインです。勧告内容は、患者コホーティングと隔離予防策、手指衛生、患者移送と病棟閉鎖、間接的患者ケアスタッフ(食品を取り扱う職員)、診断、個人防護具、環境清掃、職員の休暇取得と規則、訪問者、教育、積極的な患者調査、連絡と報告の12項目に分けられ、エビデンスを基にした解説も掲載されています。それぞれの勧告には、エビデンスの質に基づいた推奨レベルが付けられており、更なる研究が必要な未解決事項も明記されています。また、介護療養施設など病院以外の施設では、ガイドラインに従った実行が困難な施設環境もあるため、特に重要な内容を第Ⅲ章に「勧告の優先順位」として別途記載しています。尚、サーベイランスについては米国内向けのNational Outbreak Reporting System(全国アウトブレイク報告システム)とCalici Net(カリシ・ネット)の紹介にとどまっています。

Guideline for Disinfection and Sterilization of Prion-Contaminated Medical Instruments (2010年)プリオン汚染医療器具の消毒と滅菌のガイドライン

米国病院疫学学会(The Society for Healthcare Epidemiology of America:SHEA)より発表されたプリオン汚染医療器具の消毒と滅菌のガイドラインです。クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)はヒトの神経障害を徐々に悪化させ、米国で年間約100万人に1人の割合で発生しています。CJDは蛋白質性の感染物質もしくはプリオンによって引き起こされ、また、医療器具を介して感染することもあります。本ガイドラインでは、プリオンを不活化するための滅菌工程や化学的効果、環境管理、標準予防策の実施についてまとめられています。

Guide to Preventing Clostridium difficile Infections(2013年)クロストリジウム・ディフィシル感染症予防のためのガイド

APIC(Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology:米国感染管理疫学専門家協会)より発表されたクロストリジウム・ディフィシル感染症予防のためのガイドです。
クロストリジウム・ディフィシルの伝播および感染は感染管理および患者安全にとって非常に深刻な問題です。クロストリジウム・ディフィシル感染症の予防には、手指衛生や個人防護具(PPE)の着用などを実施する接触/隔離予防策、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を実施する環境管理が重要となります。
このガイドでは、クロストリジウム・ディフィシル感染症の疫学・診断、伝播様式、サーベイランスおよび感染対策として手指衛生、接触/隔離予防策、環境管理について詳しく記されています。
手指衛生の項目では手指衛生のチェックシートや啓発ポスターが、接触/隔離予防策の項目では、隔離予防策実施のチェックシートや接触感染予防策啓発ポスターが、環境管理の項目では、退院時清掃のチェックシートなど、現場で活用できるツールが紹介されています。

Prevention of Perinatal Group B Streptococcal Disease: Revised Guidelines from CDC, 2010(2010年)周産期B群レンサ球菌感染症の予防 CDC改訂ガイドライン 2010

このガイドラインは、2002年に改訂された同ガイドライン(1996年初版)の再改訂版です。主な変更点は、「B群レンサ球菌(GBS)同定のための検査方法の勧告の拡大」、「妊婦の尿中に検出されたGBSの報告のために必要な基準菌数の明確化」、「GBSスクリーニングおよび早期陣痛または早産領域の前期破水の妊婦への分娩時の予防的抗菌薬投与の手順改訂」、「予防的抗菌薬投与におけるペニシリンGの推奨投与量の変更」、「ペニシリンアレルギーの妊婦に対する予防的抗菌薬投与方法の改訂」、「早発型GBS感染症のリスクに配慮した新生児の管理手順の改訂」です。認可されたGBSワクチンがない状況において、妊婦の妊娠35-37週の膣と腸のGBS保菌確認のための普遍的スクリーニングおよび分娩時の予防的抗菌薬は、早発型GBS感染症予防の基本であり続けるとされています。

Recommendations for Use of Antiretroviral Drugs in Pregnant HIV-1-Infected Women for Maternal Health and Interventions to Reduce Perinatal HIV Transmission in the United States (2011年)HIV-1-感染妊婦への抗レトロウイルス薬使用のための勧告-米国における周産期HIV感染の削減に向けた母性保健と介入-

本勧告は、2010年5月に出された勧告の改訂版であり、HIVに感染した妊婦に対するARV(抗HIV薬)の使用および周産期におけるHIV感染を削減するための計画的な帝王切開分娩に関して、医療従事者が適切な情報を得たうえで正しい決定ができるよう作成されたものです。また、ガイドラインにおける勧告は、臨床診療において頻発する様々な状況や、治療方針の検討に影響を与える要因に関する議論に基づいています。
一方、周産期におけるHIV感染は世界中で起きていますが、本勧告は米国における実態を基に作成されているため、ARVの使用に関する方針や実践は国によって異なる可能性があり、また、ARVの有無や費用、分娩時における安全な静脈内注射設備の有無、HIV感染の女性による母乳哺育に関する各国の提言等によっても異なるとされています。

英国

Guidelines for the control and prevention of meticillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) in healthcare facilities(2006年)医療施設におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の制御および予防のためのガイドライン

1998年に英国抗菌薬化学療法学会(British Society for Antimicrobial Chemotherapy; BSAC)、病院感染学会(Hospital Infection Society; HIS)、感染管理看護師協会(Infection Control Nurses Association; ICNA)により発表された「病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染制御ガイドライン」の改訂版です。
MRSAは、英国の多くの病院でも蔓延しており、重篤な疾患を引き起こし、その結果医療費の大幅な増加を招くことから、特にその制御と予防に関する特定のガイドラインが必要とされ作成されました。調査、抗菌薬管理業務、スクリーニング、除菌、患者管理、バンコマイシン中等度耐性および耐性黄色ブドウ球菌(VISAおよびVRSA)の管理に関する勧告が示されています。

Clostridioides difficile infection:How to deal with the problem(2008年)クロストリディオイデス・ディフィシル感染症:この問題に対処する方法

英国の保健福祉省(Department of  Health and Social Care、旧保健省DH:Department of Health)および英国公衆衛生庁(PHE: Public Health England、旧健康保護局HPA:Health Protection Agency)より2008年に発表されたクロストリディオイデス・ディフィシル感染症の効果的な予防と管理のガイダンスです。
患者に下痢症状が見られた場合にクロストリディオイデス・ディフィシル感染症の可能性があることを考慮し、下記11項目について勧告しています。このガイダンスはコアガイダンスと拡大ガイダンスの2部構成になっています。コアガイダンスでは11の勧告のほかに医療従事者と医療機関に対する重要な10の勧奨事項が簡潔に述べられ、拡大ガイダンスではコアガイダンスで述べられている内容のエビデンスや根拠が記されています。

  • 臨床定義と検査室診断
  • サーベイランス
  • クロストリディオイデス・ディフィシル感染症の管理と治療
  • クロストリディオイデス・ディフィシル感染症予防のための抗菌薬処方
  • 隔離予防
  • 予防のための環境の洗浄と消毒
  • クロストリディオイデス・ディフィシル感染症予防のための手指衛生
  • 罹患率上昇時の対処
  • 市中のクロストリディオイデス・ディフィシル感染症
  • 死亡確認
  • 管理、監査、成果の指標

  • 更新については、2012年、診断と報告に関する部分を抜粋したガイダンスを別途発表し(次項に記載)、2019年には病原体名についてのみ、Clostridioides difficileと変更がなされました。

    Updated guidance on the diagnosis and reporting of Clostridium Difficile(2012年)クロストリジウム・ディフィシルの診断と報告に関する更新版ガイダンス


    「Clostridioides difficile infection: How to deal with the problem(2008年)」の診断と報告に関する更新版です。
    クロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル感染の最も正確な結果を得るために、エビデンスを基に二つの検査の実施方法を定め、また英国内での結果に応じた報告の要否についてまとめています。検査対象者は感染の可能性がある下痢を呈した2歳以上の入院患者と65歳以上の全ての地域患者、そして臨床的に必要性がある65歳未満の地域患者とし、早期の便検査実施を勧めています。
    診断には、最初にGDH EIA(またはNAATかPCR)を行い、陽性(+)の場合にtoxin EIAを実施し、陰性(-)の場合toxin EIAは不要としています。それ以上に排出の可能性を確認する時に、NAATかPCRを追加すると付記されています。