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学術情報

文献紹介

PPE(個人防護具)

The effect of glove material upon the transfer of methicillin-resistant Staphylococcus aureus to and from a gloved hand

著者
Ginny Moore, Charles W. Dunnill et al
出典
AJIC, 41(1) : 19-23, 2013

キーワード:ラテックス手袋、ニトリル手袋、ビニル手袋、MRSA伝播、表面加工

さまざまな種類の手袋について、MRSA伝播(汚染環境から手袋/汚染手袋から環境)への影響について試験している。
試験手袋はラテックス手袋3つ(A~C)、ニトリル手袋3つ(D~F)、ビニル手袋1つ(G)の合計7つで、汚染環境から手袋への伝播は、親水性が最も高かった手袋(ラテックス手袋C)で最大であった。一方、汚染手袋から環境への伝播は、疎水性が最も高かった手袋(ラテックス手袋B)で最大であった。ニトリル手袋は疎水性であるにも関わらず微生物伝播が少なかった。
しかしながら、手袋使用に際し最も重要なことは、手袋を適切に使用し、手指衛生を正しく実施することである。

Behind the mask: Determinants of nurse's adherence to facial protective equipment

著者
Nichol K, McGeer A, et al.
出典
Am J Infect Control,41(1):8-13,2013

キーワード:顔の個人防護具、看護師、N95マスク

看護師が顔の個人防護具(FPE)着用の遵守を決定する要因について、1,074人の看護師を対象に調査している(回答率82%)。その結果、所属部署、FPEの使用頻度、FPEの設置場所、トレーニングの有無、組織的な支援、コミュニケーションの6つがFPE着用を遵守するかの予測因子として考えられた。
また、14のICUで直接観察法を行ったところ、44%がN95マスクを正しく着用できており、正しい着用の予測因子は知識であった。
知識の向上はFPEの正しい着用につながるが、遵守向上のためには既存FPEの必要な場所への設置、トレーニングおよびフィットテストの実施、組織的因子などに重点を置くべきである。

Comparison of blood transmission through latex and nitrile glove materials

著者
Mansouri M, Tidley M, et al.
出典
Occup Med, 60(3): 205-210, 2010

キーワード:ニトリル手袋、ラテックス手袋、針刺し、血液媒介感染、血液透過率

ニトリル手袋およびラテックス手袋の血液透過について、針刺し切創を想定した条件で試験を行い、比較している。装着時を再現するため、一定に引き伸ばしたそれぞれの手袋素材に、馬の血液で汚染した縫合針を貫通させ、透過した赤血球数を測定した。試験は各50回ずつ実施した。その結果、測定された赤血球数はニトリル素材の方がラテックス素材に比べて有意に少なかった。針刺し切創での血液伝播防御には、ニトリル手袋がラテックス手袋よりも優れていることが示唆される。

Double gloving to reduce surgical cross-infection

著者
Tanner J, Parkinson H
出典
Cochrane Database Syst Rev,2006.

キーワード:手術用手袋、手袋破損、ピンホール、二重装着、インディケーター手袋

エビデンスに基づく医療 (Evidence Based Medicine: EBM) 実践のため、複数の臨床試験の結果を総括的に評価するコクラン共同計画 (Cochrane Collaboration) による本レビューでは、手術用手袋を二重装着した場合の内側手袋のピンホール発生率は、一重装着の場合と比較して有意に少なかったこと、また、通常の手術用手袋の二重装着と比較し、内側にインディケーター手袋を用いた二重装着では、手術中のピンホール気付き率が有意に高かったことを明らかにしました。一方、手術に携わるスタッフが手術用手袋を追加(二重装着、三重装着など)することにより、患者の手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)発生率が減少することを示す直接的なエビデンスはないとの結論に至っています。

Removal of nosocomial pathogens from the contaminated glove. Implications for glove reuse and handwashing.

著者
Doebbeling BN, Pfaller MA, Houston AK, Wenzel RP.
出典
Annals of Internal Medicine, 109(5): 394-398, 1988

キーワード:手袋、手指衛生、手洗い、消毒、着用後

本研究では、装着した手袋の上から病原菌を植菌し、3つの異なる手指衛生剤を用いてそれぞれの汚染除去効果を評価している。用いた手指衛生剤は薬用石けん、60%イソプロパノール、4%クロルヘキシジングルコン酸塩であり、手指衛生剤の組み合わせでばらつきはあるものの手袋に付着した微生物は完全に除去できず、手袋を外した後の手指からも菌が検出された。手袋を脱いだ後も手指衛生することが推奨される。

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