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環境管理

病棟環境内の微生物の種類、レベル、分布:ICUと胃腸外科病棟の分析 The type, level, and distribution of microorganisms within the ward environment: a zonal analysis of an intensive care unit and a gastrointestinal surgical ward

著者
Moore G, Muzslay M, Wilson AP, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 34(5): 500-506, 2013

キーワード:環境微生物調査、ICU、胃腸外科

ICU内61箇所と胃腸外科病棟内62箇所の環境微生物調査を、166名の患者(ICU利用患者99名、胃腸外科病棟利用患者67名)のベッド周辺を対象に行っている。その結果、ICUと胃腸外科病棟ともに患者に最も近い箇所(ベッド柵等)が最も汚染されていた。具体的には、ICUでは医療従事者が頻繁に触れる電話やPCのキーボードから微生物が検出されることが多く、胃腸外科病棟では、患者が利用するトイレやシャワー設備から検出されることが多かった。同じ病院と言えど、病棟が異なれば環境も異なると捉え、清掃方法を検討する必要がある。

免責事項:本内容に関する文責はサラヤ株式会社にあります。

ICHE (Infection Control and Hospital Epidemiology)の文献を紹介することは、ICHEの編集者、the Society for Healthcare Epidemiology of America、the University of Chicago Pressがサラヤ株式会社の製品、サービス、業務内容を支持するということを意味するわけではありません。

クロストリジウム・ディフィシル芽胞に対する清掃と消毒方法の違いによる効果:物理的除去と殺芽胞製剤による不活化の重要性 Efficacy of different cleaning and disinfection methods against Clostridium difficile spores: importance of physical removal versus sporicidal inactivation

著者
Rutala WA, Gergen MF, et al
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(12): 1255-1258, 2012

キーワード:クロストリジウム・ディフィシル、清拭、物理的除去、消毒、スプレー

クロストリジウム・ディフィシル芽胞に対する製剤と清掃方法の組み合わせによる効果を試験している。
クロストリジウム・ディフィシル芽胞を104-105含んだトリプチケースソイ液体培地(ウシ胎仔血清10%含有)10µLを一般的な環境表面材質であるフォーマイカに接種し乾燥させた。これを6種類の製剤(殺芽胞効果のない製剤2種類と殺芽胞効果のある製剤4種類)を用い、6種類の方法(清拭のみ、スプレーのみ、およびそれらの組み合わせ)で評価した。
殺芽胞効果のない製剤を用いた清拭でも、>2.90log10のクロストリジウム・ディフィシル芽胞除去効果を示した。殺芽胞効果のない製剤は、1回と比べ2回清拭を行うほうが除去効果が改善された。殺芽胞効果のある製剤を用いた清拭は、3.90log10以上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞を殺滅した。殺芽胞効果のある製剤を用い清拭を行わずスプレーする方法は、3.44log10以上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞を殺滅することができた。清拭を行わずスプレーする方法は、乾燥時間が長くなり日常の病院での使用は受け入れにくく、さらに、汚れは除去できないため推奨できない。
殺芽胞効果のある製剤を用いて清拭する方法は、芽胞の除去と不活化に優れており、クロストリジウム・ディフィシルの制御方法になくてはならないと考える。

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隔離病室の高頻度接触表面の毎日の消毒は医療従事者の手指の汚染を減少させる Daily disinfection of high-touch surfaces in isolation rooms to reduce contamination of healthcare workers' hands

著者
Kundrapu S, Sunkesula V, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(10): 1039-1042, 2012

キーワード:環境消毒、高頻度接触表面、手指汚染、クロストリジウム・ディフィシル、CDI、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、MRSA

クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)患者とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された患者の病室の高頻度接触表面を毎日消毒すると医療従事者の手指がこれらの病原菌に汚染される頻度が減少するかどうか調査している。
本調査は長期療養施設と提携しているクリーブランド退役軍人医療センター(215床)で行われた。CDIとMRSA検出患者の病室において標準清掃(高頻度接触表面は目に見えて汚れたときだけ清掃する)と高頻度接触表面(ベッド柵、ベッドサイドテーブル、コールボタンなど)の毎日の消毒を前向き無作為試験で比較した。高頻度接触表面の消毒は、毎朝、過酢酸ベースの消毒剤を用いて研究スタッフが行った。消毒を行ってから6時間から8時間後に調査担当者が滅菌手袋を装着し、高頻度接触表面に触れ、選択培地に手袋を押し当て培養した。加えて、患者のケアを行っている主治医と看護師の手指からサンプルを取り培養した。
高頻度接触表面の毎日の消毒は、高頻度接触表面接触後のクロストリジウム・ディフィシルとMRSAの調査担当者の手指への獲得の頻度と獲得した生菌数の明らかな減少に関係していた。また、患者のケアを行っている医療従事者の手指汚染頻度は、MRSAと両病原菌の合計において有意に減少していた。

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Microbial biogeography of public restroom surfaces

著者
Flores GE, Bates ST, Knights D, et al.
出典
PLoS One, 6(11): e28132, 2011

キーワード:環境表面、トイレ、細菌汚染、伝播

我々が1日の大半を過ごす屋内の環境表面に関連した微生物群は多様であり、その多くは未知である。本研究では、公衆トイレ内の10箇所(ドア、水道の蛇口、便座、床など)の環境表面を16S rRNA遺伝子で調べ、微生物の検出パターンを調査している。その結果、トイレの環境表面はヒトに関連した微生物群を比較的多く有しており、環境表面に触れることで伝播が容易に起こることが示された。

Three swipes and you're out: how many swipes are needed to decontaminate plastic with disposable wipes?

著者
Berendt AE, Turnbull LA, Spady D, Rennie R, Forgie SE
出典
Am J Infect Control, 39(5): 442-443, 2011

キーワード:プラスチック、清掃、清拭、汚染モデル、残存菌数

本研究では、プラスチック製品の清掃方法について、使用溶液や清拭回数の違いによる残存菌数の評価を行っている。試験には生理食塩水、5%エタノール、第四級アンモニウム化合物、0.5%過酸化水素、0.5%クロルヘキシジン-70%イソプロパノールを含浸させた清拭クロスを使用した。その結果、溶液や汚染菌に関係なく、1回の清拭よりも3回または5回清拭の方が多くの菌を除去した。また、1回清拭の場合は生理食塩水よりも消毒剤含有のクロスを使用した方がよいことが示唆された。

医療施設におけるATP生物発光分析使用の可能性の評価 Evaluation of ATP bioluminescence assays for potential use in a hospital setteing

著者
Aiken ZA, Wilson M, Pratten J
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 32(5): 507-509, 2011

キーワード:ATP法、環境、微生物、汚染

ATP生物発光を使用した測定方法(以下、ATP法)が医療施設における環境表面の微生物汚染の評価に使用できるか否かを評価するために、5つの異なる方法を用いて細菌数を測定している。
ATP法(4つの方法で実施)と培養法で、黄色ブドウ球菌液を接種したスライド上の生菌数を求めた。ATP法ではスワブで掻き取って得た菌液から発光量を測定しスライド上の菌数を算出するか、直接スライド上の菌液の発光量を測定してその菌数を算出した。培養法ではスワブで掻き取って得た菌液を希釈後、プレートで培養し菌数を求めた。
その結果、ATP法と培養法のいずれの方法も低い菌濃度でばらつきが大きかった。
現時点では医療施設における環境表面の理想的な細菌の定量方法がなく、環境表面の病原菌の検出が重要であること(特にアウトブレイク時)から、微生物汚染の評価における新技術の開発の必要性が提起される。

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