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文献紹介

デバイス関連

NICU患者におけるデバイス関連感染: 2006年~2008年にNHSNに報告された感染率および関連病原体
Device-associated infections among neonatal intensive care unit patients: incidence and associated pathogens reported to the National Healthcare Safety Network, 2006-2008

著者
Hocevar SN, Edwards JR, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(12): 1200-1206, 2012

キーワード:NICU、CLABSI、UCAB、VAP、新生児

NICUにおけるデバイス関連感染の発生率や病原体分布、病院タイプ(小児専門病院/総合病院)による感染率の違いなどについて分析・評価している。
2006年~2008年に全米医療安全ネットワーク(NHSN)のサーベイランスシステムに報告された、304のNICUにおける中心静脈カテーテル血流感染(CLABSI)・臍帯カテーテル関連血流感染(UCAB)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)について分析を行った。患児は出生体重別に5つのカテゴリーに分類した:(1)750g以下、(2)751g~1,000g、(3)1,001g~1,500g、(4)1,501g~2,500g、(5)2,501g以上。
分析の結果、デバイス関連感染発生率は出生体重750g以下のカテゴリーにおいて最も高かった。また、小児専門病院と総合病院の感染発生率を比較すると、VAPでは出生体重1,000g以下において小児専門病院のほうが総合病院と比べて有意に低かったが、その他では差はみられなかった。頻繁に関連していた病原体は、血流感染ではコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(28%)、黄色ブドウ球菌(19%)、カンジダ種(13%)が多く、VAPにおいてはシュードモナス菌種(16%)、黄色ブドウ球菌(15%)、クレブシエラ菌種(14%)であった。

免責事項:本内容に関する文責はサラヤ株式会社にあります。

ICHE (Infection Control and Hospital Epidemiology)の文献を紹介することは、ICHEの編集者、the Society for Healthcare Epidemiology of America、the University of Chicago Pressがサラヤ株式会社の製品、サービス、業務内容を支持するということを意味するわけではありません。

2010年にNHSNに報告された長期救急病院のデバイス関連感染率、デバイス使用、抗菌薬耐性
Device-Associated Infection Rates, Device Utilization, and Antimicrobial Resistance in Long-Term Acute Care Hospitals Reporting to the National Healthcare Safety Network, 2010

著者
Chitnis AS, Edwards JR, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(10): 993-1000, 2012

キーワード:デバイス、サーベイランス、中心ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人口呼吸器関連感染(VAP)、耐性菌

長期救急病院(LTACH)は、CMS(Centers for Medicare and Medicaid Services)*によって救急病院として認可されており、かつメディケア(高齢者医療保険制度)患者の平均年間入院日数が25日以上ある医療施設として定義されている。LTACHに受け入れられる患者は、長期にわたる人工呼吸器の使用や、傷のケアおよび静脈内投薬のような複雑な医療が必要なために救急処置後の入院を必要としている。この文献では、2010年にLTACHから全国医療安全ネットワーク(NHSN)に報告された、デバイスに関連した医療関連感染(HAI)の割合、デバイス利用のパターン、HAI中の抗菌薬耐性の病原体について、短期救急病院ICUと比較している。

デバイスの利用率と同様に、中心ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連感染(VAP)の割合が計算され、各HAIについての病原体の概要や抗菌薬耐性獲得率について評価された。分析にはHAIにポワソン回帰と中央値検定、デバイス利用率に中央値検定、抗菌薬耐性獲得にχ2検定を使用した。

2010年に、104のLTACHがCLABSIを、57のLTACHがCAUTIとVAPをNHSNに報告した。LTACHのCLABSI割合(1,000デバイス日当たり1.25件; 範囲、0.0-5.96)は、主な大学病院のICUと同等で、その他のICUより高かった。また、CAUTI割合(中央値、2.61;範囲、0.0-9.92)は他施設のICUより高かった。VAP割合(中央値、0.0;範囲、0.0-3.29)は、他施設のICUより一般に低かった。LTACHの中心ライン利用率は、他施設のICUより高かったが、導尿カテーテルと人工呼吸器の利用率は低かった。黄色ブドウ球菌CLABSI中(83%)のメチシリン耐性および腸球菌CAUTI中(44%)のバンコマイシン耐性率は、他施設のICUより高かった。緑膿菌CAUTI中の多剤耐性率(25%)はほとんどのICUより高かった。多剤耐性微生物に関連したCLABSIとCAUTIがLTACHにとって課題であり、病原体レベルのデータによる継続的なHAIサーベイランスの実施は、LTACHでのHAI予防の取り組みの手引きとなると考えられる。

*CMS:アメリカ厚生省に属する、メディケア(高齢者医療保険制度)とメディケイド(低所得者医療保険制度)の運営主体

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アルコールの5秒間擦式によるニードルレスコネクタ式血管内留置カテーテルのスプリットセプタムの適正な消毒
Adequate disinfection of a split-septum needleless intravascular connector with a 5-second alcohol scrub

著者
Rupp ME, Yu S, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(7): 661-665, 2012

キーワード:スプリットセプタム、血管内留置カテーテル、ニードルレスコネクタ、中心静脈カテーテル、消毒、アルコール

この研究の目的は、臨床とin vitroの条件で、血管内留置カテーテルのコネクタバルブの最適な消毒方法を確立することである。
臨床でのニードルレスコネクタの汚染調査は、6週間行った。現場の中心静脈カテーテル(CVC)のコネクタバルブのダイヤフラムを、70%イソプロピルアルコール綿球で0、5、10、15、30秒間擦り消毒後、寒天培地に押し当て検体を採取した。in vitroでは、未使用の滅菌コネクタバルブ150個のダイヤフラムに表皮ブドウ球菌を103、105、108CFU接種し、乾燥させた。これらのダイヤフラムを、70%イソプロピルアルコール綿球で0、5、10、15、30秒間擦り消毒後、寒天培地に押し当て検体を採取した。103、105接種において5秒以上擦ったとき、すべてのコネクタバルブは菌の発育が認められなかった(P < .001)。108接種では、2/10(20%)のコネクタバルブに表皮ブドウ球菌のわずかな発育が認められた。臨床では、CVCが挿入されている患者の363個のコネクタバルブから検体を採取したところ、消毒を行わなかったバルブの66.7%が細菌汚染していた。アルコール綿球で5秒間消毒を行った後は、わずか1/71(1.4%)で細菌の発育が認められた(P < .005)。
臨床とin vitroの条件でのスプリットセプタム型血管内留置カテーテルのコネクタバルブの消毒において、70%イソプロピルアルコール綿球による5秒間の消毒は十分な効果が得られる。

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National Healthcare Safety Network (NHSN) report, data summary for 2009, device-associated module

著者
Dudeck MA, Horan TC, Peterson KD, Bridson KA, Morrell GC, Pollock DA, Edwards JR
出典
2009 Data, NHSN Annual Reports, Data & Statistics, CDC

キーワード:デバイス、中心ライン、人工呼吸器、尿路カテーテル

この報告書は、全米医療安全ネットワークに参加している病院から集約されたデバイス関連感染モジュール・データを報告している。これはCDCに報告された事象を集めたものであり、参加施設の多くは一般的な急性期病院である。部署別(NICUを除く)によるデバイス関連感染率とデバイス使用比が示され、NICUは出生体重別によるデバイス関連感染率とデバイス使用比が示されている。

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