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学術情報

文献紹介

病原体別

Determination of the 50% human infectious dose for Norwalk virus

著者
Atmar RL, Opekun AR, et al.
出典
J Infect Dis, 209(7): 1016-1022, 2014

キーワード:ノロウイルス、ノーウォークウイルス、感染用量、HID50

ヒトノロウイルス(ノーウォークウイルス)の50%ヒト感染用量(HID50)について、無作為、二重盲検、プラセボ対照試験にて評価している。
健常成人57人を無作為に5グループに割り付け、各用量のウイルス(4800、48、4.8、0.48RT-PCRユニット)、もしくはプラセボ(滅菌水)を経口接種した。ウイルス投与群のうち8人は分泌型陰性であり、非感受性とみなされた。感染者は21人で、うち67%がウイルス性胃腸炎を呈した。分泌型陽性者のHID50は約2800gEq*、うち血液型がO型もしくはA型の人の場合は約1320gEqと算出された。これらは過去に実施された他研究の推定値(18-1015gEq)より高かった。
*gEq:ゲノム等価量,RT-PCRユニット=約400 gEq

Is hepatitis B-virucidal validation of biocides possible with the use of surrogates?

著者
Sauerbrei A
出典
World J Gastroenterol, 20(2): 436-444, 2014

キーワード:B型肝炎ウイルス、アヒルB型肝炎ウイルス、代替ウイルス、消毒剤、殺ウイルス効果

実行可能なB型肝炎ウイルス(HBV)の感染性試験は、まだ確立されていない。HBVに対する消毒剤の効果を調べるため、代替モデルが提案されている。現在、最も期待ができ、実行可能な試験は、分類学的に類似したアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)の使用である。
消毒剤のin vitro試験においてアヒル胚肝初代細胞で増殖が可能なDHBVの適用と、なぜこのモデルがHBVに対する消毒効果の評価方法として信頼できるのかを概説している。

Probable person to person transmission of novel avian influenza A(H7N9) virus in Eastern China, 2013: epidemiological investigation

著者
Qi X, Qian YH, et al.
出典
BMJ, 347 : f4752, 2013

キーワード:鳥インフルエンザA(H7N9)、薬剤耐性化、突然変異

中国の家族内で鳥インフルエンザA(H7N9)感染患者が2名確認された事例を対象に、同ウイルスがヒト-ヒト感染するか、またその伝播能力について調査している。
2名の患者は父娘関係で、父(1人目患者:A)は60歳で高血圧の既往歴があり、娘(2人目患者:B)は32歳で既往歴はなかった。Aは家禽への曝露歴があった。Bは家禽への曝露はなかったが、PPE未着用でAのケアをしていた。
検査の結果、両患者のウイルスは遺伝子学上ほぼ同一であることが示された。なお、両患者の濃厚接触者として43名が確認されたが、いずれも鳥インフルA(H7N9)ウイルスに対する血球凝集抑制抗体は陰性であった。
集団内において鳥インフルA(H7N9)ウイルスはヒト‐ヒト感染しうることが示唆されたが、その伝播能力は限定的であり連続しなと考えられる。

Association between adverse clinical outcome in human disease caused by novel influenza A H7N9 virus and sustained viral shedding and emergence of antiviral resistance

著者
Hu Yunwen, Lu Shuihua, et al.
出典
The Lancet, 381(9885): 2273-2279, 2013

キーワード:鳥インフルエンザA(H7N9)、抗ウイルス耐性、突然変異

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染患者の検体におけるウイルス量を調査し、また抗ウイルス耐性に関連する突然変異について分析している。
2013年4月4日~20日の間に上海公衆衛生臨床センターに収容された感染患者14名を対象に調査した。
抗ウイルス剤治療によるウイルス量の減少は、容態の改善と相関性があった。調査した患者のうちNA遺伝子Arg292Lys変異が発現した患者2名(同患者はいずれもコルチコステロイド治療を受けていた)は、治療がうまくいかず臨床転帰は良好ではなかった。
鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスにおいて抗ウイルス耐性の発現(特に、コルチコステロイド治療を受けている患者において)は懸念事項であり、しっかりと観察する必要がある。

Dipeptidyl peptidase 4 is a functional receptor for the emerging human coronavirus-EMC

著者
Raj VS, Mou H, Smits SL, et al.
出典
Nature, 495(7440):251-254, 2013

キーワード:新種、ヒトコロナウイルス、DPP4、機能的受容体

最近同定されたSARSコロナウイルスとは異なる新種のヒトコロナウイルス(hCoV-EMC)はコウモリのコロナウイルスと遺伝子的に近縁である。本研究ではhCoV-EMCの機能的受容体がDPP4(dipeptidyl peptidase 4:別名CD26)であることを明らかにした。DPP4に対する抗体でヒト気管支上皮細胞等へのhCoV-EMC感染は阻害され、反対に通常感染しない細胞にヒトとコウモリのDPP4を発現させると感染するようになった。異種間で進化的に保存されたDPP4を機能的受容体として用いることがhCoV-EMCの宿主域の潜在性を解く手がかりになると考えられる。

Hospital outbreak of Middle East respiratory syndrome coronavirus

著者
Assiri A, McGeer A, et al.
出典
N Engl J Med, 369(5):407-416, 2013

サウジアラビアにおける中東呼吸器症候群コロナウイルス(以下MERS-CoV)の医療施設内での集団感染に関する報告である。MERS-CoVについて、2013年4月1日~5月23日の間に4医療施設から11名の可能性例と23 名の確定例が報告され、そのうち15名(65%)が6月12日までに死亡した。確定例23名中21名は3 ヵ所の医療施設の血液透析室、集中治療室または入院病棟におけるヒト-ヒト感染例であった。MERS-CoVは医療施設においてヒト-ヒト間伝播および高い感染率を示す可能性がある。世界規模での公衆衛生にとって、サーベイランスと感染制御が不可欠である。

High humidity leads to loss of infectious influenza virus from simulated coughs

著者
Noti JD, Blachere FM, et al.
出典
PLoS One, 8(2): e57485, 2013

キーワード:インフルエンザ、相対湿度、エアロゾル、咳、人体模型

咳、呼吸を行うそれぞれの人体模型を設置した試験室において、インフルエンザのエアロゾル伝播による相対湿度の影響を試験した。20℃で60分間収集した全ウイルスは、相対湿度23%以下、43%以上でそれぞれ70.6 - 77.3%、14.6 - 22.2%の感染性を保持した。室内の相対湿度を40%より高く保つことは、明らかにエアロゾル化したインフルエンザウイルスの感染性を減少させる。

How to interpret the transmissibility of novel influenza A(H7N9): an analysis of initial epidemiological data of human cases from China

著者
 Nishiura H, Mizumoto K, Ejima K.
出典
Theoretical Biology and Medical Modelling,10:30 doi:10.
1186/1742-4682-10-30,2013

キーワード:鳥インフルエンザA(H7N9)、ヒト-ヒト感染、再生産数

新型鳥インフルエンザA(H7N9)の感染確定症例者(n=129)の鳥との接触歴より、ヒト-ヒト感染の可能性を分析している。
分析の結果、ヒト-ヒト感染の再生産数(推定値)は0.28(95%信頼区間0.11, 0.45)であった。即時にヒト-ヒト感染のパンデミックが起こることはほとんどないと考えられるが、感染確定症例と動物の継続的なモニタリングは、ウイルスの疫学的特性を解明する鍵となるだろう。

Cost effectiveness of vaccination against pandemic influenza in European countries: mathematical modelling analysis

著者
Lugnér AK, van Boven M, et al.
出典
BMJ, 345: e4445, 2012

キーワード:インフルエンザ、パンデミック、費用対効果、ワクチン接種、高齢者

様々なインフルエンザパンデミック状況で異なるワクチン接種戦略の費用対効果を比較している。ワクチン接種がパンデミック早期で既存免疫がない状況では、オランダ、イギリスは5-19歳へのワクチン接種が、ドイツは65歳以上へのワクチン接種が最も増分費用対効果が良かった。この違いは、オランダ、イギリスより明らかにドイツの高齢者人口が高いからである。同じ条件においても、最も費用対効果が期待できるワクチン接種戦略は国により異なることが示された。

Effectiveness of rotavirus vaccination in prevention of hospital admissions for rotavirus gastroenteritis among young children in Belgium: case-control study

著者
Breackman T, Van Herck K, et al.
出典
BMJ, 345: e4752, 2012

キーワード:ロタウイルス、胃腸炎、ワクチン予防、重感染、アデノウイルス、ノロウイルス、アストロウイルス

ベルギーの幼い子どもにおけるロタウイルス予防接種の効果について評価している。
適切な年齢でロタウイルスワクチンを接種している子供を対象にロタウイルス胃腸炎の入院患者(215人の子供)と胃腸炎以外の入院あるいは外来患者(276人の子供)を調査したところ、ワクチンの有効性は、G2P[4]対して85%(64%~94%)、G1P[8]に対して95%(78%~99%)を示した。アストロウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどによる重感染に対する有効性は86%(52%~96%)であった。ロタウイルス予防接種は幼い子供におけるロタウイルス胃腸炎による入院の予防に有効であることが示された。

クロルヘキシジングルコン酸塩は海兵隊新兵の間でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 USA300の伝播を減少させる
Chlorhexidine gluconate reduces transmission of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus USA300 among marine recruits

著者
Whitman TJ, Schlett CD, et al
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(8): 809-816, 2012

キーワード:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クロルヘキシジングルコン酸塩、ボディーシート、USA300、分子疫学

本研究の目的は、MRSAの保菌の分子疫学によって2%クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)を含浸させたボディーシートの効果を評価することである。
2007年夏と秋に、米国バージニア州クアンティコの海兵隊士官候補生学校の新兵を対象に行った。各小隊へ2%CHG含有ボディーシートグループ(Sage社)またはコントロールボディーシートグループ(Sage社のComfort Bath(CB))を無作為に割り当て、週3回全身をボディーシートでゴシゴシと清拭させた。MRSAの保菌評価のため、検体は、入校時(ベースライン)そして2週間ごとに最長10週まで、鼻腔と腋窩から検体を採取した。分離・同定後、パルスフィールドゲル電気泳動を行った。評価期間中、被験者77名(4.9%)はMRSAを獲得し、CHGグループ26名(3.3%)、CBグループ51名(6.5%)(P=.004)であった。PFT(パルスフィールド型)解析において、CBグループの被験者24名(3.1%)がUSA300を獲得したが、CHGグループでわずか6名(0.8%)であった(p<.001)(CB vs CHG USA800 23名[2.9%] vs 14名[1.8%] p=.13、その他PFT株合計 6名[0.8%] vs 6名[0.8%])。被験者77名から167検体を採取した。99検体はCBグループから採取され、USA300 (40.4%)、USA800 (38.4%)、USA1000 (12.1%)、USA100 (6.1%)を含んでいた。CHGグループから採取された68検体は、USA800 (51.5%)、USA100 (23.5%)、USA300 (13.2%)を含んでいた。
CHGは軍の新兵においてMRAS USA300の伝播を減少させた。また、USA300とUSA800は、他のパルスフィールド型より保菌を起こしやすかった。今後の研究で、医療施設おけるUSA300の伝播を減少させるためのCHGの広域的使用を評価されるべきである。

免責事項:本内容に関する文責はサラヤ株式会社にあります。

ICHE (Infection Control and Hospital Epidemiology)の文献を紹介することは、ICHEの編集者、the Society for Healthcare Epidemiology of America、the University of Chicago Pressがサラヤ株式会社の製品、サービス、業務内容を支持するということを意味するわけではありません。

1997~2006年のニューヨーク市での市中感染型MRSA(CA-MRSA)による入院の傾向: ニューヨーク州全体共同計画・研究システムのデータ
Trends in hospitalization for community-associated methicillin-resistant Staphylococcus aureus in New York City, 1997-2006: data from New York State's statewide planning and research cooperative system

著者
Farr AM, Aden B, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(7): 725-731, 2012

キーワード:市中感染型MRSA、CA-MRSA、入院、患者傾向

ニューヨーク州全体共同計画・研究システムより得られた1997~2006年の期間の退院患者データでレトロプロスペクティブ分析を行っている。 調査対象は、該当期間中にニューヨーク市の病院に入院していた患者のうち、MRSA感染を示す診断コードがつき、CA-MRSA基準を満たした1歳以上のすべての患者とした。
該当期間全体を通してMRSAと診断された入院患者は18,226名おり、そのうち3,579名(約20%)がCA-MRSAに分類された。
MRSAでない入院患者と比較して、CA-MRSA患者では以下の特性を持つ患者が高い割合にあった:(1)男性、(2)子供、(3)ブロンクス区やマンハッタン区居住者、(4)ホームレス、(5)HIV感染症患者、(6)糖尿病患者。また、CA-MRSAの入院割合は増加しており、1997年は100,000患者あたり1.5名であったが、2006年では100,000患者あたり10.7名であった。
今後、MRSA罹患率、ケアを受ける機会やその他要因がCA-MRSAの入院割合に与えたうる影響を調べるためにさらなる研究が必要である。

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Evaluation of stethoscopes as vectors of Clostridium difficile and methicillin-resistant Staphylococcus aureus

著者
Vajravelu RK, Guerrero DM, Jury LA, Donskey CJ
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(1): 96-98, 2012

キーワード:クロストリジウム・ディフィシル、MRSA、聴診器

本研究では、聴診器を介してクロストリジウム・ディフィシルとMRSAが伝播するリスクについて、実験室での試験ならびに実際に診療を模した行為を行い、評価している。
クロストリジウム・ディフィシルもしくはMRSAを含む汚染液を聴診器のダイアフラム面に接種し、寒天培地に押し当て、伝播したコロニー数を確認した。その結果、MRSAでは元のコロニー数(聴診器のダイアフラム面に接種させた数)よりも少なかった一方、クロストリジウム・ディフィシルではほぼ100%伝播していた。
また実際に患者の皮膚からの伝播を確認するため、クロストリジウム・ディフィシル患者35名ならびにMRSA保菌者57名に診療を模した行為を行い、使用した聴診器のダイアフラム面のコロニー数を確認した。対照として、聴診器のダイアフラム面で触れた所と同じ部分を滅菌水で湿らせた滅菌手袋で触診し、指部分のコロニー数を確認した。その結果、聴診器のダイアフラム面には手袋と同じくらい高頻度にクロストリジウム・ディフィシルならびにMRSAを伝播していた。
本研究の結果から、医療従事者は多剤耐性菌患者やクロストリジウム・ディフィシル患者のケアで聴診器を使用する際、病棟専用とするか、使用後に聴診器を清潔にするべきといえる。

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日本の医療従事者におけるパンデミックインフルエンザウイルスA(H1N1)2009:血清陽性率およびリスク因子
Pandemic 2009 Influenza A (H1N1) Virus among Japanese Healthcare Workers: Seroprevalence and Risk Factors

著者
Nukui Y, Hatakeyama S, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(1): 58-62, 2012

キーワード:インフルエンザ、2009年パンデミック、H1N1、リスク因子、血清反応陽性

2009年、インフルエンザH1N1(2009)がパンデミック状態となり、WHOはフェーズ6の警戒態勢を敷いた。医療従事者はインフルエンザH1N1感染者との濃厚接触の機会が多いため、インフルエンザに感染する可能性が一般の人よりも高い。また、患者から医療従事者への伝播は個人防護具(PPE)の不適切な使用が原因である可能性がある。この研究は、救急病院施設でインフルエンザウイルスH1N1(2009)感染のリスクが最も高かった職種を確認することを目的としている。
H1N1(2009)ワクチン接種前の救急病院の医療従事者461人を対象に調査した。H1N1(2009)ウイルスによる血清陽性反応、性別、年齢、職種、部署、個人防護具(サージカルマスクおよび手袋)の使用法、および季節性インフルエンザ予防接種歴の項目により、リスク因子を評価した。また、医療従事者461人を小児科スタッフ(147人)、救急処置室スタッフ(66人)、内科スタッフ(142人)、他の医療部門スタッフ(83人)、患者と直接接触しないコメディカルスタッフ(23人)に分類し、どのスタッフのリスク因子が高いか評価した。その結果、医者と看護師においてH1N1(2009)ウイルスによる血清反応陽性のリスク因子が最も高いことが分かった(オッズ比5.25 [95%信頼区間1.21-22.7])。血清反応陽性のリスク増加は、小児科、救急処置室、内科スタッフで確認された(調整オッズ比1.98 [95%信頼区間1.07-3.65])。また、リスクは季節性H1N1ウイルスに対する高力価抗体を持っている医療従事者でより高かった(オッズ比1.59 [95%信頼区間1.02-2.48])。H1N1(2009)ウイルスに対する血清陽性率は、医療従事者の職業リスク因子に関係していることがわかった。

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Prevalence of and risk factors for resistance to second-line drugs in people with multidrug-resistant tuberculosis in eight countries: a prospective cohort study

著者
Dalton T, Cegielski P, et al.
出典
The Lancet, 380(9851): 1406-1417, 2012

キーワード:多剤耐性結核菌、超多剤耐性結核菌、抗菌薬、耐性

多剤耐性結核菌に感染した患者に対する第二選択薬の使用が拡大することにより超多剤耐性結核菌の罹患率が増加している。そこで、8カ国で前向きコホート研究を行い、抗結核薬の第二選択薬に対する耐性を評価している。その結果、1,278人の患者のうち、43.7%が少なくとも1種類の第二選択薬に対して耐性を示し、20%は少なくとも1種類の第二選択注射剤に対して耐性を示し、12.9%は少なくとも1種類のフルオロキノロン系抗菌薬に対して耐性を示した。

Experimental adaptation of an influenza H5 HA confers respiratory droplet transmission to a reassortant H5 HA/H1N1 virus in ferrets

著者
Imai M, Watanabe T, Hatta M, Das SC, Ozawa M, Shinya K, Zhong G,Hanson A, Katsura H, Watanabe S, Li C, Kawakami E, Yamada S, Kiso M,Suzuki Y, Maher EA, Neumann G, Kawaoka Y
出典
nature, doi:10.1038/nature10831, 2012

キーワード:鳥インフルエンザ、H5N1、H1N1、遺伝子、ヒト―ヒト感染

高病原性鳥インフルエンザウィルス(H5N1)はヒトに感染することがあるが、現在ヒト―ヒト間では感染しない。そこで、高病原性鳥インフルエンザの哺乳類間における感染を可能にする宿主域決定要素HAの分子変異を評価している。その結果、H5N1ウイルスから4つの遺伝子を変異させ、2009年に流行したH1N1ウイルスの遺伝子を7つ残したH5 HA/H1N1再集合体ウイルスはフェレットにおいて飛沫感染することがわかった。

Airborne transmission of influenza A/H5N1 virus between ferret

著者
Herfst S, Schrauwen EJA, et al.
出典
Science, 336(6088): 1534-1541, 2012

キーワード:空気感染、フェレット、インフルエンザ、A/H5N1、遺伝子組み換え

高病原性鳥インフルエンザA/H5N1ウイルスは、現在のところヒト-ヒト間で空気感染を起こす能力はないが、その能力を獲得する可能性について検証している。遺伝子組み換えA/H5N1ウイルスは、フェレットでの継代間突然変異によって空気感染を起こした。A/H5N1インフルエンザウイルスは、中間宿主での遺伝子組み換えなしに、哺乳類の間で空気感染を起こす能力を得ることができた。したがって、ヒトにおけるインフルエンザパンデミックの危険性があると考えられる。

The potential for respiratory droplet-transmissible A/H5N1 influenza virus to evolve in a mammalian host

著者
Russell CA, Fonville JM, et al.
出典
Science, 336(6088) : 1541-1547, 2012

キーワード:鳥インフルエンザ、H5N1、遺伝子(アミノ酸)、変異、哺乳類間における飛沫感染

サーベイランスのデータから、鳥インフルエンザA/H5N1ウイルスではすでに2つのアミノ酸の変異が共通して存在しており、さらに3つの変異で哺乳類間における飛沫感染を可能にすることを分析している。そこで、宿主内におけるウイルス進化の数学的モデルを用い、鳥インフルエンザA/H5N1ウイルスが哺乳類の宿主に感染した後に哺乳類間における飛沫感染を可能にする変異が起こる可能性を増減させる要因を解析している。

Success of a suicidal defense strategy against infection in a structured habitat

著者
Fukuyo M, Sasaki A, Kobayashi I
出典
Scientific Reports, 2 : 238 doi: 10.1038/srep00238, 2012

キーワード:自殺型感染防御、強毒性、増殖、二次感染、感染実験

宿主と共生する方が病原体にとって良いと考えられる場合でも、病原体はしばしば強毒性を発揮し宿主を死に至らしめる。これについて従来は病原体に着目した説明がなされていた。本研究では、宿主個体が感染直後に死んで(自殺)病原体の繁殖を防ぐと、宿主集団は二次感染から守られるという宿主側の観点から「自殺型感染防御」仮説を立て検証を行った。その結果、空間構造がある場合にのみ、その仮説が立証された。

救急病院における高齢者の医療関連感染有病率
The prevalence of health care-associated infection in older people in acute care hospitals

著者
Cairns S, Reilly J, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 32(8): 763-767, 2011

キーワード:高齢者、医療関連感染、尿路感染、胃腸感染

救急病院における高齢者の医療関連感染について、年齢との相関関係や感染の種類などについて評価している。 2005年~2006年の1年間、スコットランドにある全救急病院45施設で入院していた11,090名の患者を対象に調査を行った。 対象となった患者の構成は女性が56.5%であり、年齢は65歳以上が66.4%、平均年齢は女性が75歳、男性が69歳であった。調査の結果、感染の種類は年齢によって傾向が異なり、尿路感染は65歳以上の患者では1/5を占めていたが、65歳未満では1/10にも満たなかった。65歳以上の患者では尿路感染と胃腸感染が多く、一方65歳未満では手術部位感染がもっとも多かった。 また、胃腸感染患者のうち、約半数はクロストリジウム・ディフィシル陽性と診断され、そのうち84.2%が65歳以上であった。特に85歳以上の患者が多く、陽性患者の42.1%を占めていた。 本研究では、医療関連感染有病率は年齢の上昇とともに直線的に増加することが確認された。尿路感染と胃腸感染の介入に重点的に取り組むことは、公衆衛生において最も有益となるであろう。

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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、クロストリジウム・ディフィシルの獲得の研究論文における保菌圧の測定と調整に関する系統的レビュー
Systematic review of measurement and adjustment for colonization pressure in studies of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus, vancomycin-resistant enterococci, and Clostridium difficile acquisition

著者
Ajao AO, Harris AD, Roghmann MC, Johnson JK, Zhan M, McGregor JC, Furuno JP
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 32(5): 481-489, 2011

キーワード:保菌圧、MRSA、VRE、クロストリジウム・ディフィシル、院内獲得、論文、耐性菌、交差感染

本研究は感染管理の重要な数値指標である保菌圧に関して、MRSA、VRE、クロストリジウム・ディフィシルの院内獲得のリスク要因の研究におけるその定義、測定、調整について説明することを目的としている。
2009年7月1日までにMEDLINEに公表されたMRSA、VRE、クロストリジウム・ディフィシルの院内獲得に関する研究論文を電子検索した。調査対象の研究論文は以下の3つの基準を満たしていることが要件である。(1)研究論文の結果がMRSA、VRE、クロストリジウム・ディフィシルの獲得である。(2)著者がMRSA、VRE、クロストリジウム・ディフィシルの獲得に関するリスク要因を明らかにしている。(3)保菌圧を測定している。
電子検索の結果、要件を満たした研究論文は18件であった。系統的に研究論文を調べたところ、保菌圧の定義と調整は研究論文によってかなり違いがあった。結論として、抗生物質耐性菌の交差感染に対する保菌圧の影響を正確に評価するために、研究と日常の臨床ケアにおけるシンプルで一貫性のある保菌圧の測定方法を決定することが今後の研究に求められる。

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Characterisation of the Escherichia coli strain associated with an outbreak of haemolytic uraemic syndrome in Germany, 2011: a microbiological study

著者
Bielaszewska M, Mellmann A, Zhang W, Kock R, Fruth A, Bauwens A, Peters G, Karch H
出典
Lancet Infect Dis, 11(9): 671-676, 2011

キーワード:ヨーロッパ、アウトブレイク、溶血性尿毒素症症候群、出血性下痢

2011年5月にドイツで発生した大腸菌O104:H4によるアウトブレイクに関連した大腸菌の微生物学的研究を行っている。病原性の特徴とアウトブレイクに関連した遺伝子型を解析した結果、分離株はすべて同じタイプで、典型的な志賀毒素産生大腸菌と腸管凝集性大腸菌の病原性の特徴を併せもち、志賀毒素産生大腸菌と凝集付着性大腸菌を特定する表現型が示された。腸内病原菌の病原性の特徴が混合されると、重大な結果をもたらす可能性が示された。

Norovirus vaccine against experimental human Norwalk virus illness

著者
Atmar RL, Bernstein DI, Harro CD, Al-Ibrahim MS, Chen WH, Ferreira J, Estes MK, Graham DY, Opekun AR, Richardson C, Mendelman PM
出典
N Engl J Med, 365: 2178-2187, 2011

キーワード:ノロウイルス、ワクチン、無作為二重盲検プラセボ多施設試験

ノーウォークウイルスGI.1に対するノロウイルス様粒子(VLP)ワクチンの有用性を、健康な成人98人を対象に無作為二重盲検プラセボ多施設試験を行い評価している。その結果、アジュバント含有ノロウイルスVLPワクチンの鼻腔内二回接種は、ノーウォークウイルス性胃腸炎およびノーウォークウイルス感染を大幅に低減した。以上の結果から、ワクチンによるノロウイルス性の疾患と感染の予防の可能性が示唆された。

Molecular epidemiological analysis of methicillin-resistant Staphylococci in a neonatal intensive care unit

著者
Takei Y, Yokoyama K, Katano H, Tsukiji M, Ezaki T
出典
Biocontrol Sci, 15(4): 129-138, 2010

キーワード:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、NICU

古いNICUおよび新移転したNICUにおける、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とMRCNS(メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)について、薬剤感受性や遺伝子型、検出率などを調査している。それぞれのNICUの以下4つ;(1)看護師の手のひら、(2)新生児の頭部に敷くタオル、(3)保育器、(4)室内空気からブドウ球菌を分離・評価した。MRSAおよびMRCNSの検出率は古いNICUでは52.6%、新移転したNICUでは53.4%であった。古いNICUで多くの菌を検出した(2)については、改善計画を実施した結果、新移転したNICUでの検出率は減少した。また4箇所から検出したMRSAおよびMRCNSの遺伝子型は類似していた。

Degradation and destabilization of abnormal prion protein using alkaline detergents and proteases

著者
Hirata Y, Ito H, Furuta T, Ikuta K, Sakudo A
出典
Int J Mol Med, 25(2): 267-270, 2010

キーワード:異常型プリオン蛋白質、分解、不安定化、アルカリ性洗浄剤、酵素

アルカリ性の洗浄剤およびプロテアーゼを用いて、ヒトにクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす異常型プリオン蛋白質(PrPSc)の分解や不安定化を調査している。アルカリ性の洗浄剤およびプロテアーゼのPrPSc不安定化効果が確認され、適切な条件下においてはPrPSc分解効果も示した。アルカリ性の洗浄剤およびプロテアーゼのプリオンに対する有効性が示唆された。

How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A systematic review

著者
Kramer A, Schwebke I, Kampf G.
出典
BMC Infect Dis, 6(130), 2006

キーワード:環境表面、微生物、生存性、感染、ウイルス、細菌

院内環境表面の病原微生物の生存性について、検索された文献データ、および標準的なテキストからの情報を含め検討している。インフルエンザなどの気道ウイルスの多くは環境表面で数日間、ロタウイルスなどの消化管のウイルスは約2ヶ月間生存するが、MRSAなどのグラム陽性菌のほとんど、緑膿菌やセラチアなどのグラム陰性菌のほとんどは数ヶ月間生存できる。したがって、定期的に環境消毒が行われなければ、環境表面は持続的な感染源となり得る。

鼻ほじりと黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌
Nose picking and nasal carriage of Staphylococcus aureus

著者
Wertheim HFL, van Kleef M, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 27(8): 863-867, 2006

キーワード:鼻をほじる、黄色ブドウ球菌、保菌、鼻腔

人間の約3分の1は鼻腔に黄色ブドウ球菌を保菌している。そこで、鼻をほじることが、黄色ブドウ球菌の鼻腔定着の決定因子になるかを調査している。
大学病院の耳鼻咽喉科(ENT)外来を訪れた患者と、健常なボランティア(医学生、研究者を含む病院職員)を対象として、鼻の症状(鼻水、鼻炎など)と鼻にまつわる行動(鼻をかむ、鼻をほじるなど)に関するアンケート、および鼻腔培養によるスクリーニングを行った。またENT患者については、ENTの医師が鼻腔検査を行い、鼻をほじったと思われる兆候(鼻前庭炎、反復性鼻出血、鼻中隔の角化亢進、鼻前庭の擦過傷、あらゆる鼻の損傷など)を調べた。
その結果、鼻をほじるENT患者の黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌率は54%と、鼻をほじらない患者における保菌率36%と比較して有意に高かった(相対リスク1.51〔95%CI,1.03-2.19〕)。また、健常ボランティアにおいては、自己申告による鼻ほじりの頻度が、培養陽性率(R=0.31; P=0.004)および鼻腔内の黄色ブドウ球菌量(R=0.33;P=0.002)のいずれとも統計学的に有意な正の相関関係を示した。これらの容量反応関係は、鼻ほじりと黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌における因果関係を示唆している。鼻ほじりは黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌と関連があり、また原因であろうと考えられる。

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