製品情報

製品導入事例

サラヤ シールドマスク 導入までの道のり

興生総合病院
住所 〒723-8686
広島県三原市円一町2丁目5番1号
病床数 323床
全職員数 613名(うち医師33名)
病院のホームページ http://kohsei-hp.jp/

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興生総合病院は、地域医療の中核病院として救急医療や在宅介護をはじめ、24時間体制の医療・福祉の実施に貢献しています。
『地域の皆様に安心できる充実した医療・福祉環境を提供し、地域社会に貢献する』という理念をもとに、患者様の立場に立った医療の実践とサービスの向上を図りながら、地域のための医療を推進されています。

導入製品

サラヤ シールドマスク 導入までの道のり

- サラヤ シールドマスクの導入を検討することになったきっかけは何ですか?
新谷 友季子
感染管理認定看護師

医療従事者が喀痰吸引を行う際は飛沫による曝露を防ぐため、ゴーグル、マスク、手袋、エプロンの装着が必要です。しかし、当院の吸引物品セットの個人防護具(PPE)には、ゴーグルが含まれていませんでした。そこで、喀痰吸引を行う医療従事者の眼の粘膜を守るためシールドマスクまたはゴーグルの採用を検討することになりました。また、当法人内において、喀痰吸引に使用する物品や吸引方法・管理などの運用が統一されていませんでした。そこで関連施設も含めた法人全体で喀痰吸引に使用する物品と運用を統一し、マニュアルを作成することになりました。

- 導入に至るまでの経緯を教えてください。

約1年前、喀痰吸引の運用方法を里仁会全体で統一するよう、院長から指示を受けました。そして、吸引チューブを100%ディスポ化にすることになりました。
まず現状を把握するために、里仁会5施設の各感染担当者と連絡をとり、患者さん1名当たりの吸引機会数と患者数から、1日あたりの吸引機会総数を報告してもらいました。各施設から集まった情報をもとに、全施設分を合計したところ、1日当たりの吸引機会数は約1,000回もあることが判明しました。全ての物品を1日1,000個消費する計算になり、大幅なコストアップは免れませんでした。そのため、物品1つ1つにかかるコストを最低限に抑えることが課題になりました。

吸引物品を見直すにあたって、眼を守るPPEを追加することは必須条件と考えていました。最初は使い捨てのゴーグルを追加することや、再使用できるゴーグルを個人持ちにすることを検討しました。しかし実際には、マスクすら装着しないまま吸引操作に従事しているスタッフもいたため、さらにゴーグルを追加しても装着を遵守できるとは考えにくく、廃案になりました。
そこで、シールドマスクを使用する案があがりました。シールドマスクは、マスクとシールドが一体となっているため、1手順で目と鼻と口が防御可能になり、装着する際の手間を減らすことができます。その結果、PPE装着を遵守するハードルが下がるのではないかと考え、シールドマスクを採用することになりました。数社のシールドマスクが候補にあがる中、サラヤシールドマスクは両サイドからの飛散を十分に防げる形状であり、マスク部はASTM規格に適合しているため安心であること、さらにコストパフォーマンスも良かったことが大きなアドバンテージになりました。

喀痰吸引操作マニュアルの見直しは、各部署から1名ずつ選出されたメンバーで構成されている看護業務改善委員会が中心になり、月1回の定例会議で検討と改善が進められました。また、感染担当のリンクスタッフと看護協会が実施している吸引研修会に参加したことのあるスタッフにも意見を出してもらいました。最終的に院長の承認を受け、2017年4月から新しい喀痰吸引操作マニュアルの運用を開始することができました。

サラヤ シールドマスクの導入後

- サラヤ シールドマスクの導入後、設置状況やスタッフの評判はいかがですか?

4月から新しい喀痰吸引操作マニュアルを導入し、運用を始めています。同時期に新規入職スタッフが多くなる時期なので、新マニュアルに基づいた喀痰吸引手順を教育研修に盛り込み指導を行っています。

吸引物品セットの設置方法は、吸引操作を必要とする患者さんのベッドサイドに1セットずつ常設するという形態をとっています。患者さんのベッドサイドに必要な物品がそろっているので、PPE遵守率が上がることを期待し、この場所に設置しました。

ベッドサイドの吸引物品セット
吸引操作の様子

吸引物品セットを設置してから、実際に物品を使用し始めたスタッフは、シールドマスクはもちろん、他のPPEも忘れず着用するようになってきました。シールドマスクは着脱が簡単な上、口と鼻の粘膜だけでなく目の粘膜も防御でき、曇らないのもよい、という声があがっています。スペースが狭いため箱を縦向きに置いて使用したい場合があり、箱の側面にも取り出し口があれば今よりもっと使いやすくなると思っています。

また、導入したシールドマスクは、喀痰吸引操作時以外に廃棄物処理時、血液や体液曝露の可能性のある処置等にも使用しています。 関連施設においても統一された物品で新しい喀痰吸引操作マニュアルに基づいた運用を開始しています。今後は、各施設の吸引物品使用状況や問題点、現場の声などを確認し、問題点があれば改善していきたいと思っています。

NEXT STEP

-今後の課題や目標をお聞かせください。

今回導入したシールドマスクを含めPPEは、適切に使用して初めて有効な防護が得られ、医療従事者と患者さん双方の感染予防につながります。現時点ではPPE着用率はまだ十分とは言えません。感染対策に関する基本的な知識として、すべてのスタッフがPPEに関する正しい知識を持ち、適切な取り扱い、適切なタイミングで着脱ができるように指導していきたいと思っています。

今回インタビューさせていただいた方々
  • 新谷 友季子様

    新谷様の経歴

    2013年
    感染管理認定看護師資格取得
    感染管理専従

編集後記

『PPEに関する正しい知識を持ち、その知識を行動に移せるように』という考え方が印象的で、感染リスクを低減するために、どうすればPPE着用率が上がるかを第一に考えていらっしゃることが強く伝わってきました。吸引物品のみならずマニュアルから見直すといった、大がかりな業務で大変だったと思います。現状問題なくシールドマスクを使用していただいているとのことでしたが、今後運用していく中で現場から製品に対するご意見ご要望などがあがってきた際には改善の参考にさせていただきたく思います。
取材に応じてくださいました新谷様はじめ、吸引物品の設置状況や吸引操作の写真撮影時にご協力いただいたスタッフの皆様にも、心から感謝申し上げます。

取材日:2017年7月19日
インタビュー:サラヤ 櫻井、向山、中野

               

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