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皮膚・排泄ケア

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褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版(2022年)

一般社団法人 日本褥瘡学会

日本褥瘡学会より2005年に発表された「科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン」が、2009年に予防・発生後のケアを追加して「褥瘡予防・管理ガイドライン」として改訂され、その改訂第5版です。褥瘡管理に関わるすべての医療者が、それぞれの医療状況において褥瘡の予防・管理に関する臨床判断を行えるよう、現時点での最良のエビデンスに基づく推奨項目が提示されています。第5版では14のクリニカルクエスチョン(CQ)が設けられました。
褥瘡予防・管理のアルゴリズムも示されており、どのようなプロセスで対象者の褥瘡予防・管理計画を立案するかを示しています。スキンケアに関しては、総論で、褥瘡周囲の皮膚は汚れ等があるため洗浄する必要があり、弱酸性洗浄剤を使用した場合に生理食塩水と比較して治癒期間が短縮していた報告が記載されています。また、石けんよりも弱酸性の皮膚保護成分配合の洗浄剤の使用が推奨されており、皮膚保護剤の有用性についても記載されています。

便失禁診療ガイドライン2024年版(改訂第2版)

編集:日本大腸肛門病学会

2017年に日本大腸肛門病学会より初版が発行され、2024年に改訂されたガイドラインです。本ガイドラインでは、便失禁の定義・疫学・病態・原因・発症リスク因子や診断・評価、検査法、初期治療から専門的治療に至るまでが包括的にまとめられています。重要かつ基本的な留意事項は「ステートメント」としてまとめられ、各ステートメントには推奨の強さやエビデンスレベルが明示されています。また、臨床において判断に迷うことが予想されるようなテーマについては、5つのCQが設けられました。
スキンケアについては、便失禁の保存的療法内で便失禁ケアのステートメントとして「便失禁関連皮膚炎の予防と治療には、石鹸(アルカリ性)以外の製品で皮膚を愛護的に清拭もしくは洗浄し、保湿剤により皮膚を保湿することを推奨する」という内容が、推奨の強さ:強、エビデンスレベル:Aとしてまとめられています。

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1 創傷一般(第 3 版) (2023)

日本皮膚科学会

2011年に「創傷・熱傷ガイドライン」として公開されたガイドラインが、2017年に「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」と名称に褥瘡が追加されました。2023年に第3版として改訂されています。本ガイドラインは6部構成となっており、「1創傷一般」では、ある疾患に限定されない「傷を治す」ために必要な知識について解説されています。創傷の取り扱いに対する治療の基本方針を整理することを目標として、7つの質問に対し、それぞれその回答と解説がまとめられています。
慢性皮膚創傷では、創傷治癒促進のため洗浄した方がよいとされています。洗浄によって異物や汚染物、微生物などを物理的に除去することが,wound bed preparation(創面環境調整)につながるとされています。

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2 褥瘡診療ガイドライン(第 3 版) (2023)

日本皮膚科学会

2011年に「創傷・熱傷ガイドライン」として公開されたガイドラインが、2017年に「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」と名称に褥瘡が追加されました。2023年に第3版として改訂されています。本ガイドラインは6部構成となっており、「2褥瘡診療ガイドライン」では、現時点における日本での標準的な褥瘡診療が示されています。第3版では4つのCQ(デブリードマン、外用薬、ドレッシング材、陰圧閉鎖療法)に関する推奨や解説の他、褥瘡診療概要として7つの項目について解説がなされています。
尚、日本褥瘡学会から2022年に公開された「褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版」が褥瘡管理に携わるすべての医療者を対象として褥瘡の予防やケアを重視した内容なのに対し、本ガイドラインは創治療に直接かかわる医師や看護師が主な対象で、より治療に重点が置かれた内容になっています。