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感染対策コミュニケーションの場

導入事例

第10回  正しい手指消毒の実践を目指して

公立学校共済組合 中国中央病院

公立学校共済組合 中国中央病院

■住所
〒720-0001
広島県福山市御幸町大字上岩成148番13
■病床数
277床(一般271床 結核6床)
■全職員数
469名
■手術件数
1800件(平成22年度)
■病院のホームページ
http://www.kouritu-cch.jp/

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広島県福山市に位置する公立学校共済組合中国中央病院は、昭和36年に結核患者様の療養所として開院し、その後昭和54年に総合病院となり地域の中核病院として発展、チーム医療を推進し、平成22年には広島県指定がん診療連携拠点病院の指定を受け、地域基幹病院に進化しています。医学会の認定医・専門医の資格を有する医師らを擁し、患者様中心の「人に優しい良質の医療」を提供するという理念の基に地域社会に貢献されています。

サニサーラW

導入製品

速乾性手指消毒剤
サニサーラW

サニサーラW導入までの道のり

- サニサーラWの導入を検討された背景は?

サニサーラWを導入する以前は主に他社品の液体タイプの手指消毒剤を使用していました。
液体タイプの手指消毒剤では、正しい手指消毒の実施に必要な薬液量が3mLと規定されていましたが、手に取るとこぼれて十分量の薬液を使用することが困難でした。看護師が手指衛生を実施している状況を観察すると薬液量が明らかに不十分で、この現状を打破しなければならないと感じ、手からこぼれないジェルタイプの手指消毒剤の導入を検討しました。

- サニサーラW導入の決定打は何でしたか?

「薬液が手からこぼれないことと使用感が優れていること」です。こぼれないという意味においては他のジェルタイプのものも同じですが、手袋着脱時に障害となるベタつき感がなく、複数回使用した時に発生するカスが出にくくサラッとした使用感であるため受け入れられやすかったです。また、手指消毒剤の回転や設置スペースを考慮すると250mLという容量がちょうど良かったです。
加えてリンクナース会や手あれのひどい人の意見を総合的に反映させた結果、サニサーラWの採用に至りました。

高橋 みどり 看護師

医療安全管理の専従看護師のほか感染管理コースという講座を開き知識レベルの底上げに尽力されている

サニサーラWの導入後

- 職員へのジェルタイプ手指消毒剤の使用方法の周知はどのようにされましたか?
    また、評判はいかがですか?

ジェルタイプでは指先の消毒が不十分になる可能性を考慮し、手に薬液を取ったら最初に十分に手のひらに薬液を延ばし、両手の指先を十分に消毒してから手首を含む手指全体にまんべんなく擦り込むように周知しています。
ジェルタイプの導入に伴い懸念された手袋の装着時の不都合や使用カスの発生、手あれについての声は上がっておらず、良好な使用感のもとに手指衛生に取り組んでいます。

- サニサーラWをどこに設置されていますか?

個室、大部屋、パソコン用ワゴン、作業用ワゴンに設置しています(図1、2)。病室内への設置は標準的となっていますが、パソコンに代表される共用機器については汚染されやすく交差汚染の原因となるためパソコン用ワゴンにも手指消毒剤を配置しました。また作業用ワゴンにも処置前後に、直ぐ手指衛生が実施できるように手指消毒剤を配置しました。

図1 各病室内に設置された手指消毒剤病室内に手指消毒剤を設置したことで扉を介した交差汚染リスクを回避

図2 作業用ワゴンの脇に配置された手指消毒剤

図3 作業用ワゴンに貼付されたポスター

- 手指衛生教育として取り組んでおられることを教えてください。

リンクナース会が中心になって看護師対象に手指衛生や手袋着脱のタイミングについての技術確認を行っています。手指消毒実施のタイミングのなかでも手袋着用前後と薬剤調製時など無菌/清潔操作前の手指消毒については特に強調して指導しています。そのため作業用ワゴン上には手指消毒実施を促すポスターを掲示するなど、様々な工夫をしています(図3)。
当院ではリンクナースの教育担当者による年10回の感染管理に関する講義を6年前から実施しており、受講したナースが現在約120人在籍しています。当院看護師の約1/3が受講していることになり、そのメンバーで組織されるリンクナース会の知識レベルは非常に高いといえます。
他のコメディカルや医師に対する手指衛生の周知は今後の課題です。まずは臨床検査技師を対象に感染対策の基本である手指衛生、個人防護具使用・着脱方法や患者環境整備などを講義し、デモンストレーションを行う予定です。医師に対しては、ラウンドの際に手指衛生の手順確認を行っています。

NEXT STEP

- 現在の手指衛生の状況を見て、改善が必要と思われる点などはありますか?

当院で実施されている手指衛生の方法は速乾性アルコール手指消毒剤による手指消毒よりも普通石けんと流水を用いた手洗いを多く行っていると感じています。CDCの手指衛生ガイドラインでは目に見える汚れがない場合は「速乾性アルコール手指消毒剤の使用」を勧めており、手荒れ発生率や除菌率の点を考慮すると、今よりも手指消毒剤の使用があって然るべきであると思います。そのため、正しい情報を共有し周知徹底を図っていきたいと考えています。また併せてWHO推奨の5つのタイミングもPRしていきたいと思います。

- 今後の課題や目標をお聞かせください。

当院の職員のほとんどは医療従事者が病原微生物の伝播経路になることの知識はきちんと得ていますが、行動が伴っているとは言えない状況のため、今後は積極的に手指衛生を実施してもらうための動機付けが大切だと考えています。そのため、感染対策に関する教育に力を入れて手指衛生はもちろん、当院の医療従事者全員が標準予防策の意味を理解して完全に実践できることを、まずは大きな目標にしていきたいと思っています。

今回インタビューさせていただいた方

高橋 みどり様

高橋 みどり様
医療安全管理室 副看護師長
感染管理認定看護師 高橋様の経歴

1985年
中国中央病院 入職
2006年
感染管理認定看護師認定

編集後記

安全・安心な医療提供という目的のため、感染対策を含む安全性の底上げに尽力されているリンクナース会を中心とした現場での活動に感銘を受けました。感染対策、なかでも手指衛生や個人防護具の着脱方法などの周知徹底は地道な活動であるかとは思いますが、医療関連感染防止のためには必須であり、医療安全の大前提でもあります。医療安全を支えるための教育を特に重要視されているご施設でありました。

取材日
:2012年4月24日
インタビュー
:サラヤ学術部 吉田、野津、鯉沼

電話によるお問合せ: 06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)

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