あなたの手指衛生が患者の命を救う

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文献・エビデンス

エビデンスに基づく手指衛生で、効果的な病院感染対策を

Effectiveness of a hospital-wide programme to improve compliance with hand hygiene
著者
Pittet D, Hugonnet S, Harbarth S, Mourouga P, Sauvan V, Touveneau S, Perneger TV.
出典
Lancet, 356(9238): 1307-1312, 2000

【要約】
スイスのジュネーブ大学病院で1994年12月から1997年12月まで、手指衛生プロモーションプログラムの実施前と実施中における手指衛生のコンプライアンスおよび、MRSA発生率、院内感染率、消毒薬の使用量の調査を行っている。
手指衛生コンプライアンスは、47.6%から66.2%へ改善した(p<0.001)。病院全体の院内感染有病率は1994年16.9%から1998年9.9%へ減少(p=0.04)、MRSA感染率は、10,000患者日あたり2.16症例から0.93症例へ減少(p<0.001)、アルコールベース手指消毒薬の使用量は1,000患者日あたり1993年3.5Lから1998年15.4Lへ増加した(p<0.001)。

Use of alcohol hand sanitizer as an infection control strategy in an acute care facility
著者
Hilburn J, Hammond BS, Fendler EJ, Groziak PA
出典
Am J Infect Control, 31(2): 109-116, 2003

【要約】
急性期病院の整形外科病棟において、アルコールジェル手指消毒剤による感染の種類と感染率への影響に関し、16ヶ月間の研究を行っている。
手指消毒剤へのアクセスの改善のほか、患者および患者家族への手指衛生啓発も実施した。
主な感染の種類(>80%)は尿路感染(UTI)と手術部位感染(SSI)であった。感染率は、アルコールジェル手指消毒剤の非使用期間(6ヵ月間)と使用期間(10ヶ月間)では8.2%から5.3%へ減少した。また、院内感染(UTIs)に関連したコスト分析では、介入期間の間、平均$91,257.57の節約と見積もられた。

Hand hygiene practices in a neonatal intensive care unit: A multimodal intervention and impact on nosocomial infection
著者
Lam BC, Lee J, Lau YL.
出典
Pediatrics, 114(5): e565-571, 2004

【要約】
香港大学、クイーン・メアリー病院の新生児集中治療室(NICU)における多角的介入プログラム実施前後の医療従事者の手指衛生技術とコンプライアンスについて評価を行っている。
看護師、医師を対象にした教育を行い、手洗い手順のポスターを各シンクに貼り、アルコール手指消毒薬を全ての保育器に設置した。
手指衛生コンプライアンスは患者接触前で40%から53%、患者接触後で39%から59%、ハイリスク手技で35%から60%と向上した。また、患者への平均接触回数は1患者1時間あたり2.8から1.8と減少した。介入後の手洗い技術は向上し、医療関連感染率は1,000 患者日あたり11.3から6.2に減少した。

Handwashing program for the prevention of nosocomial infections in a neonatal intensive care unit
著者
Won SP, Chou HC, Hsieh WS, Chen CY, Huang SM, Tsou KI, Tsao PN.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 25(9): 742-746, 2004

【要約】
国立台湾大学病院の新生児集中治療室(NICU)で手指衛生プログラムの効果を評価するために手指衛生コンプライアンスと院内感染率の調査を行っている。
研究期間中、手洗いには抗菌性石けんを使用し、擦式アルコール手指消毒薬はキャンペーンの前と期間中に使用した。教育プログラムは、手指衛生剤の適正使用、正しい手洗い手順、手洗いの重要性についての講義をキャンペーンの開始時と期間中にも定期的にすべての医療従事者に行った。そして、医療従事者に対して手指衛生が必要な場面の定義を明確にし書面の説明書を用意した。また、正しい手洗い手順を示したイラストをシンクに掲示した。手指衛生コンプライアンスを観察し、結果のフィードバック、褒賞金または罰金などの介入が行われた。
その結果、全体の手指衛生コンプライアンスは、ベースライン43%から80%へ向上し、院内感染率は1,000患者日あたり15.13から10.69へ減少した(p=0.003)。しかし、手指衛生コンプライアンスと院内感染率の間に統計学的に明らかな関係は認められなかった。気道感染における院内感染率は、1,000患者日あたり3.35から1.06に減少し、手指衛生コンプライアンス向上と統計学的に明らかに関連していた(p=0.002)。手洗いはNICUの院内感染予防において、シンプルで、効率的、効果的な方法であると考えられる。

免責事項:本内容に関する文責はサラヤ株式会社にあります。
ICHE (Infection Control and Hospital Epidemiology)の文献を紹介することは、ICHEの編集者、the Society for Healthcare Epidemiology of America、the University of Chicago Pressがサラヤ株式会社の製品、サービス、業務内容を支持するということを意味するわけではありません。

Reduction in nosocomial infection with improved hand hygiene in intensive care units of a tertiary care hospital in Argentina
著者
Rosenthal VD, Guzman S, Safdar N.
出典
Am J Infect Control, 33(7): 392-7, 2005

【要約】
アルゼンチンの三次医療教育病院の集中治療室(ICU)において、教育、トレーニング、結果のフィードバックを行うことによって手指衛生のコンプライアンス向上を試み、同時に院内感染について評価を行っている。
プログラム期間中、ICUで4,347回の手指衛生の機会を確認した。手指衛生遵守率は 23.1%(ベースライン)から64.5%(介入期)(p<0.0001)へ向上した。同時期のICUの院内感染は、1,000患者日あたり47.55から27.93に減少した(p<0.0001)。教育と頻回の結果のフィードバックから成るプログラムにより、手指衛生の継続的な改善とICUの院内感染率の減少が同時に確認された。

Efficacy of an alcohol/chlorhexidine hand hygiene program in a hospital with high rates of nosocomial methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) infection
著者
Johnson PD, Martin R, Burrell LJ, Grabsch EA, Kirsa SW, O'Keeffe J, Mayall BC, Edmonds D, Barr W, Bolger C, Naidoo H, Grayson ML.
出典
Med J Aust, 183(10): 509-514, 2005
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【要約】
多角的プログラムによる医療従事者の行動を評価し、院内MRSA感染を減少させるための研究を行っている。
医療従事者の手指衛生コンプライアンスは、介入前21%から介入12ヵ月後42%へ向上した(p<0.001)。アルコール/クロルヘキシジン手指消毒剤(ACHRS)使用量は1,000ベッド日あたり5.7Lから28.6Lへ増加した。介入36ヵ月後、病院全体における全臨床MRSA分離率(40%減少;p<0.001)、MRSA菌血症の患者症例(57%減少;p=0.01)、ESBL産生の大腸菌およびクレブシエラ属の臨床分離率(90%減少;p<0.001)が明らかに減少していた。

Reduction of health care associated infection risk in neonates by successful hand hygiene promotion
著者
Pessoa-Silva CL, Hugonnet S, Pfister R, Touveneau S, Dharan S, Posfay-Barbe K, Pittet D.
出典
Pediatrics, 120(2): e382-390, 2007

【要約】
ジュネーブ大学病院の新生児病棟において、手指衛生コンプライアンスと医療関連感染率を調査することにより、手指衛生プロモーションの効果を評価している。
手指衛生コンプライアンスは、ベースライン期(I期、9ヶ月間)42%から介入期(II期、18ヶ月)45%、フォローアップ期(III期、9ヶ月間)55%と徐々に向上した。アルコール使用量も1,000患者日あたりI期66.6LからII期77.9L、III期89.2Lと増加した。新生児医療関連感染率は1,000患者日あたりI期11.1、II期7.9、III期8.2であり、極低出生体重児の場合の医療関連感染率はI期15.5、II期10.7、III期8.8と減少した。

Role of hand hygiene in healthcare-associated infection prevention
著者
B. Allegranzei, D. Pittet
出典
J Hosp Infect, 73(4): 305-315, 2009

【要約】
最適な手指衛生は医療関連感染を防ぐ基本と考えられ、標準予防策だけでなくカテーテル関連の感染症や手術部位感染、人工呼吸器関連肺炎のような特定部位の感染を予防するための最新のバンドルの中でもその重要性が強調されている。
この論文では、1977年から2008年の間に報告された手指衛生遵守率に影響を及ぼす因子、医療関連病原体の交差伝播と感染率に対する手指衛生プロモーションの効果、ならびに手指衛生プロモーション成功のためのアルコールベースの擦式消毒薬のあらゆる場面での適用に関する問題を再調査し、医療関連感染予防における手指衛生の役割について述べている。

Association between use of hand hygiene products and rates of health care‐associated infections in a large university hospital in Norway
著者
T Herud, RM Nilsen, K svendheim, S Harthug
出典
Am J Infect Control, 37(4): 311-317, 2009

【要約】
ノルウェーの大学病院における1998年から2005年の間の手指消毒剤および石けんの購入データならびに患者の入院日数データを収集し、手指衛生用製品の使用と医療関連感染症有病率との関連の調査を行っている。
全体の有病率に有意な低下は認められなかった(p=0.19)。しかし手指衛生用製品の1,000患者日あたり使用量は1998年28.5 Lから2005年43.3 Lと有意に増加した(p<0.001)。手指衛生用製品の使用量と有病率との間の線形性を評価したところ、使用量の増加に伴って有病率は8%から6%に低下し、低下の有意性は境界域であった(p=0.05)。

Significant reductions in methicillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia and clinical isolates associated with a multisite, hand hygiene culture-change program and subsequent successful statewide roll-out
著者
Grayson ML, Jarvie LJ, Martin R, Johnson PD, Jodoin ME, McMullan C, Gregory RH, Bellis K, Cunnington K, Wilson FL, Quin D, Kelly AM.
出典
Med J Aust, 188(11): 633-640, 2008

【要約】
オーストラリア・ビクトリア州の病院でMRSAの菌血症と感染症を減少させるために、一括化された多角的な多施設手指衛生文化変革プログラム(HHCCP)を実施し、その効果について評価を行っている。
試験的HHCCP(24ヵ月)の後、州の公立病院にHHCCPを導入して12ヶ月後、平均手指衛生コンプライアンスはベースライン20%から53%へ増加し(P<0.001)、MRSA菌血症患者数は1ヶ月の100患者退院数あたりベースライン0.03から0.01に減少(P=0.09)、臨床MRSA分離数は1ヶ月の100患者退院数あたりベースライン0.54から0.30へ明らかに減少した(P=0.043)。

A comprehensive hand hygiene approach to reducing MRSA health care-associated infections
著者
Lederer JW Jr, Best D, Hendrix V.
出典
Jt Comm J Qual Patient Saf, 35(4): 180-185, 2009

【要約】
アメリカ合衆国南東部の大小16施設から成る非営利の大規模健康管理組織のNovant Healthは、MRSAによる医療関連感染減少のために組織全体で手指衛生コンプライアンス向上に取り組むプログラムを実施した。
手指衛生コンプライアンスはベースライン49%から2008年12月98%へ増加した。その間、2006年11月以降は常に90%以上を維持した。更に、MRSAの院内感染率が1,000患者日あたり2005年0.52から2008年末0.24へ減少した。手指衛生コンプライアンスの向上は、病院関連MRSA感染の院内感染数の減少につながった。

Evaluating the impact of a hand hygiene campaign on improving adherence
著者
Dierssen-Sotos T, Brugos-Llamazares V, Robles-García M, Rebollo-Rodrigo H, Fariñas-Alvarez C, Antolín-Juarez FM, Fernandez-Núñez ML, López Marta de LC, Llorca J.
出典
Am J Infect Control, 38(3): 240-243, 2010

【要約】
スペイン カンタブリア州の3つの病院で、手指衛生キャンペーンを行う前後における遵守率を直接観察法によるモニタリングおよびトレーニングプログラムの効果の分析を行っている。
手指衛生キャンペーンは、ポスター、ガイドライン、リーフレットの作成・配布およびトレーニングプログラムの展開を含む教育的な戦略、アルコール手指消毒剤の供給、結果のフィードバックから成る。
手指衛生に関する情報とアルコース手指消毒剤を与えるだけのキャンペーンでは手指衛生遵守は向上せず、教育プログラムおよびフィードバックなどを伴う多角的なキャンペーンは、手指衛生向上に良い効果を示した。

Impact of a standardized hand hygiene program on the incidence of nosocomial infection in very low birth weight infants
著者
Capretti MG, Sandri F, Tridapalli E, Galletti S, Petracci E, Faldella G
出典
Am J Infect Control, 36(6): 430-435, 2008

【要約】
新生児集中治療室(NICU)に入院する極低出生体重児の院内感染発生率において標準化された手指衛生プログラムの効果を調べている。
普通液体洗剤(0.5%トリクロサン)を用いて手洗いを行うことを奨励する期間(第一期)と抗菌石鹸(4%クロルヘキシジングルコン酸塩)とアルコール手指消毒剤を用いる標準化された手指衛生プログラムを行う期間(第二期)で、極低出生体重児の院内感染発生率を比較した。生後72時間の院内感染は、第一期では低出生体重児85人中16人、第二期では80人中5人で見られた。極低出生体重児での院内感染は、標準化された手洗いプログラム導入により著しく減少した。

Three successful interventions in health care workers that improve compliance with hand hygiene: is sustained replication possible?
著者
Whitby M, McLaws ML, Slater K, Tong E, Johnson B
出典
Am J Infect Control, 36(5): 349-355, 2008

【要約】
ワシントンプログラム、ジュネーブプログラム、教育を伴ったアルコール手指消毒剤の導入の3つの介入それぞれの効果の持続性を手指衛生遵守の改善で評価を行っている。
ワシントンプログラムでは、手指衛生遵守が48%改善し2年間継続した。ジュネーブプログラムでは、3つの病棟では手指衛生遵守の明らかな向上は見られなかったが、感染症部門の病棟においてすでに高かった手指衛生遵守がさらに56%改善した。
ワシントンプログラムは、手指衛生遵守の持続的な改善に有効であった。ジュネーブプログラムの効果は、強力な医師のリーダーシップがない病棟では限定的であった。行動改善プログラムを伴わないアルコール手指消毒剤の導入は効果的でなかった。