製品情報

製品導入事例

地域における感染対策のモデル病院を目指して〜手指衛生の周知徹底〜

医療法人伯鳳会 赤穂中央病院
住所 〒678-0241
兵庫県赤穂市惣門町52-6
病床数 265床
全職員数 595人(平成24年8月1日現在)
手術件数 約2000件(平成23年度)
病院のホームページ http://www.hakuho.or.jp/

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兵庫県の西南端部(西播磨地区)に位置する医療法人伯鳳会赤穂中央病院は、昭和37年の発足以来長きに渡り「平等医療」を理念とし、地域の基幹病院としてDPC対象病院、臨床研修病院などの認定を受けられています。
また病院内には患者様の憩いの場(パイプオルガンホール、図書館など)が設置され地域の方々に愛されながら、より良い急性期、回復期、慢性期医療を提供されています。

導入製品

ホイップウォッシュピーチ導入までの道のり

- ホイップウォッシュピーチの導入を検討された背景は?

当院はDPC対象病院、病院機能評価Ver.6の認定を受けています。そして今年、感染防止対策加算1を取得した事でより一層、感染対策に力を入れるようになりました。ホイップウォッシュピーチを導入する前は、一部詰め替えタイプの石けん液と一般向けのディスポーザブルの泡ハンドソープを使用していました。詰め替えタイプの石けん液は細菌汚染など感染対策上の問題があるため、以前から段階的に切り替えを進めていました。しかし患者様用トイレなどでは依然詰め替えタイプの石けん液を使用しているなど院内で統一されていませんでした。しかし、他施設では石けん液の詰め替え容器から細菌が検出された事例などを参考に、この度、全面的に詰め替えタイプの石けん液を廃止し、一般向けではなく医療施設向けのハンドソープの導入を検討しました。そこで、ホイップウォッシュピーチのほか他社2製品を各病棟でサンプリングして、現場の声を聞きながら比較検討しました。

勝平看護課長・CNIC
専従の院内感染対策担当者として現場の意見を大切に積極的に活動されておられます。
                   
- 導入の決め手は何でしたか?

サンプリングの結果、一番評価が高かったのがホイップウォッシュピーチでした。使用感や匂いが良く、現場からホイップウォッシュピーチを使用したいという声が最も多く、導入を決定しました。

                   
- 詰め替えタイプの石けん液から切り替えるとなると、コストが割高になることが懸念されると思いますが、経営層の反対などはありませんでしたか?

詰め替え容器の洗浄・乾燥や詰め替えの手間・人件費を踏まえてコスト試算を行い、経営層に説明しました。また、2012年4月の診療報酬改定後、感染防止対策加算1を取得しており、感染対策に経済的なバックアップが得られるようになった事も今回の導入の追い風となりました。また、感染防止対策加算1取得病院だからこそ感染対策をより徹底しなければならないという認識が強くなったことも理由の1つです。このタイミングで感染対策に関する環境を良い方向に変化させていきたいと考えています。実際、ホイップウォッシュピーチの導入のほかにも、手洗い場の蛇口は従来ノブ式でしたが、交差感染を防ぐために自動洗浄式を導入しはじめています。

ホイップウォッシュピーチの導入後

- ホイップウォッシュピーチの導入後、スタッフの評判はいかがですか?

導入後、ホイップウォッシュピーチは院内全体で使用しています。ラウンドの際などに使用状況を聞いていますが、看護師は特に気に入って使用してくれています。ホイップウォッシュピーチは、ピーチをメインにしたフルーティでほのかな香りがしますが「あの匂いに癒される」という声も聞いています。導入後2ヶ月経ちましたが、手荒れなどの問題はありません。ホイップウォッシュピーチは濃密な泡が手肌に密着してバリアを張るような感じで、手洗い時の摩擦による刺激が抑えられて、手肌に優しいと好評です。また、ラウンド時には、使用状況を確認するだけではなく、実際に手洗い手技のチェックや指導もしています。

ナースステーションでも手指衛生が徹底されており、手洗い場が列をなすこともあるそうです。実際に、看護師の方に手洗い手技を見せていただきました。(自動水栓は導入中)
- 手洗いの指導などのラウンドはどの位されているのですか?

ICTラウンドは毎週木曜日14時から1時間、 ICDの矢部先生、ICTメンバー、病棟のリンクナースと共に実施しています。また、専従の院内感染対策担当者として、個人的にラウンドも行っており、なるべく毎日各病棟(急性期5病棟、回復期1病棟、慢性期1病棟)に足を運んで、現場で困っている事など話を聞きながら、アドバイスをしています。ラウンドが半日〜1日に及ぶこともありますが、継続的にラウンドしていると、現場から積極的に声をかけてもらえるようになり、リンクナースや病棟課長からも感染対策に関する質問が増え、各病棟の状況がより把握できるようになってきました。ラウンドでは、手洗いの指導もしていますが、環境ラウンド・感染ラウンドも行っており、標準予防策や感染経路別予防策が徹底出来ているかをしっかり確認しています。ラウンドの際、iPadで出来ている箇所、出来ていなかった箇所などを撮影しておき、その画面を見せながら印象づけるための工夫をしてポジティブにフィードバックしています。

- 手指衛生の教育はどのようにされていますか?

手指衛生の教育では、手指衛生の回数とタイミングの両方を重要視しています。

手指衛生の回数について

手指衛生はまず習慣づけが大切だと考えています。手洗い回数を意識してもらうために、各病棟で一日ごとに担当者を決め、担当者自身のその日一日の手洗い回数をラウンド表に記録してもらっています。各看護師がその記録を見て、病棟内で他の看護師と自身の手洗い回数を比較していくなかで、手洗いの意識が高まり、手洗い回数が増えてきています。7月からはホイップウォッシュピーチの使用量調査も始めたので、今後はデータ化し、手洗い回数のさらなる向上に役立てるつもりです。
一方、速乾性アルコール手指消毒剤は全病棟で毎月リンクナースに使用量を測定してもらい、集まった記録を棒グラフ化してリンクナース会議で発表しています。そのデータを見て、リンクナースは各病棟の手指消毒の回数を客観的に振り返ることができ、現場にフィードバックすることで、翌月の速乾性アルコール手指消毒剤の使用量が飛躍的に増えることもあります。実際、4月に比べて8月の速乾性アルコール手指消毒剤の使用量は約3倍になっています。現時点の使用量からさらに4倍に増やすことを目指して、今後も使用量調査に注力していきます。

手指衛生のタイミングについて

手指衛生剤の使用量を増やす事だけに主眼を置くのではなく、手指衛生のタイミングについても重要視しています。そのため6月の院内講演では、手指衛生のタイミングを周知徹底するためにWHOの5つのタイミングに関するプレゼンテーションを行いました。それを受けて、リンクナースが5つのタイミングのポスターを掲示して、「5つのタイミングを行いましょう」と呼びかけてくれています。
7月からは手指衛生のタイミングのチェックリストを各病棟に配布し、リンクナースに現場でチェックを行ってもらっています。おむつ交換、吸痰の際などにチェックリストを用いて、リンクナースがタイミングのチェックを行い、項目ごとに点数をつけて、どの程度適切なタイミングで手指衛生ができているかを指導してもらいます。先日、全8項目でオール100点の報告があり、現場のモチベーションも上がりました。
手指衛生の教育に関しても、ICDの矢部先生からアドバイスをいただいています。様々なアイディアをいただいて、実施した後はリンクナース会議で報告し、矢部先生にさらに指導監督いただいています。

矢部先生・ICD
リンクナース会議に毎回ご出席され、感染対策のアドバイザー・監督として信頼されておられます。
- リンクナース会議はどのようにされていますか?

リンクナース会議は月1回、1時間程度行っています。以前の内容は、感染対策委員会の報告のみでしたが、現在はそれだけでなく、リンクナースが今取り組んでいることの報告や今後の目標などについて話し合っています。リンクナースが現場の意見を背負ってきて発表してくれるのが嬉しいですね。また、リンクナースは感染対策の啓発ポスターや患者説明用資料、ゾーニングカードなどを自ら考えてくれるので、とても頼りにしています。リンクナース会議で発表してもらった内容は必ず採用しリンクナースのモチベーションが上がるように配慮しています。

NEXT STEP

- 今後の課題や目標をお聞かせください。

日々の課題は、リンクナースのモチベーションをさらに向上させることです。4月以降、感染対策に関するリンクナースの業務を増やしています。限られた時間のなかで大変ではありますが、「皆で感染対策の取り組みをより良く変えていこう」と目標を共有して頑張っています。
大局的な目標は、3年後に西播磨地区、5年後に播磨地区における感染管理モデル病院にすることです。この目標はICTニュースで院内に周知しており、リンクナースをはじめ皆でビジョンを共有して日々感染対策に取り組んでいます。
今後も播磨ネットワークや感染防止対策加算算定の医療機関と積極的に地域連携を行い、他施設の感染対策の取り組みを把握しながら、ケアミックス型という当院の強みを生かした感染対策を行っていきたいと考えています。

今回インタビューさせていただいた方々
  • 勝平 真司様

    看護課長
    感染管理認定看護師

    勝平様の経歴

    2003年
    入職
    ICTとして活動開始
    2008年
    CNIC資格取得

  • 矢部 博樹様

    副院長
    内科部長(兼統括診療部長)

    矢部様の経歴

    2001年
    ICD資格取得
    2006年
    入職
    ICTとして活動開始

編集後記

今年4月の診療報酬改定後、地域連携の重要性がさらに認識されるようになってきています。赤穂中央病院でも精力的に地域連携を推進されており、西播磨地区・播磨地区における感染対策のモデル病院になるという高い目標を掲げて、ICDの矢部先生、CNICの勝平看護課長を筆頭に手指衛生の周知徹底など、日々邁進されていらっしゃることに大変感銘を受けました。

取材日:2012年8月29日
インタビュー:サラヤ学術部 吉田、小松、野津

               

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