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国内

手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)(2019)

手術医学 手術医療の実践ガイドライン改訂第三版準備委員会.


2008年に日本手術医学会から初版された手術医療全般にわたる実践的なガイドラインです。2013年の改訂を経て「手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)」が2019年に出版されました。
前改訂版の第7章「手術と感染防止」①手術部位感染 ②洗浄・消毒・滅菌、⑤手術室環境整備は、第三版では章単独で掲載され、手術野皮膚消毒で使用可能な薬剤として、1.5%オラネキシジンが追加されています。医療安全に加え、チーム医療が重視されてきたことから、第2章「医療安全」、第3章「手術室におけるチーム医療」の内容がより充実しています。

消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン 2018(2018年)

日本外科感染症学会消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン作成委員会.



本ガイドラインは、一般臨床医や消化器外科治療に従事する医師だけでなく、感染対策チームのスタッフやSSI予防にあたるすべての医療スタッフを対象として作成されています。 日本では、SSI発症後も外科医がその治療にあたるといった医療事情や人種、体格、手術手技などの特殊性が考慮されており、日本独自の消化器外科領域でのSSI予防を含めた周術期管理の実践的なガイドラインです。

米国

Guideline for Prevention of Surgical Site Infection, 1999 (1999年) 手術部位感染防止のためのガイドライン 1999

【訳本】
大久保憲, 他 訳. 第3章手術部位感染防止ガイドライン1999. 手術時手洗いのすべて(小林寬伊 編). へるす出版, 2000: 25-57.

米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)より発表された手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)防止に関するガイドラインです。SSIの概要(疫学、定義、微生物、病因論、リスクと予防およびサーベイラインス)および勧告が示されています。
特に概要の中では、SSI発生に関する術前、術中、術後の問題が詳細に議論されています。

Centers for Disease Control and Prevention Guideline for the Prevention of Surgical Site Infection, 2017(2017年)手術部位感染防止のためのCDCガイドライン2017

1998年~2014年に発表された5000件以上の研究論文の中から170件を選び、システマティック・レビューにより作成した手術部位感染(SSI)予防のガイドラインです。1999年発表の「手術部位感染症のためのガイドライン」を充足させる内容で、最新のエビデンスに基づいて42項目を検討し、17の勧告が推奨レベルと共に示されています。勧告のレベルは、ⅠA:エビデンスレベルの高い~中等度の強い勧告、ⅠB:エビデンスが低い、または低い~極めて低いが常識とみなされている強い勧告、ⅠC:アメリカ連邦または州の規則で求められている強い勧告 Ⅱ:有益性と有害性の妥協を示唆するエビデンスに基づいた弱い勧告、さらに、勧告なし/未解決課題に分類されています。カテゴリーⅠA 8件、ⅠB 4件、Ⅱ 5件、勧告なし/未解決 25件となっています。
本ガイドラインは一般的な手術に関するコアセクションと米国で実施件数の多い人工関節置換術セクションに分けられ、コアセクションでは非経口と経口の予防的抗菌薬投与、血糖値管理、正常体温の維持、酸素投与、消毒剤による予防について、人工関節置換セクションでは輸血、全身的な免疫抑制療法、術後のドレーン使用時の予防的抗菌薬投与期間について勧告がまとめられています。

国際機関

Global guidelines for the prevention of surgical site infection, 2nd ed.(2018) 手術部位感染予防のためのグローバルガイドライン第2版(2018年)

世界保健機関(World Health Organization : WHO)から発行された手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)予防に関する国際的ガイドラインの2018年改訂版です。28のシステマティック・レビューをもとに、科学的エビデンスを集約した、あらゆる国と地域に適応可能なガイドラインです。
第2版では、新たに8名の麻酔学専門家を招き、世界をリードする28人の専門家による26の課題に対する具体的な29の勧告(手術前11項目、手術前・中14項目、手術後4項目)がまとめられています。大きな改訂は、全身麻酔下における挿管患者への手術中の酸素投与についての勧告レベルが、「強い」から「条件付き」に変更されました。その他、術前の黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌患者への2%ムピロシン軟膏塗布や除毛、機械的腸管処置、手術スタッフの手術時手洗い、術野に使用する消毒液、予防的抗菌薬投与等、幅広い分野に関する勧告が含まれています。各々の勧告は、その根拠と関連情報が簡潔にまとめられ、さらに、検討項目となった背景と既存のガイドラインによる勧告内容の一覧表、エビデンスの要約、研究間の差異(ギャップ)、費用と資源の影響、そして患者の価値観と意向なども考慮して解説されています。
また、SSI予防の取り組みに関する重要な課題として、SSIの危険因子と現状(疫学と世界規模の損失)、SSIサーベイランス(定義、方法、効果)、手術室の環境管理と機器・器具の汚染除去の3つが挙げられています。特に環境管理に関しては、日々の清掃に加えて、手術と手術の間に高頻度接触表面、および血液などの湿性生体物質に汚染された可能性のある環境表面は清拭後に除菌すべきであると述べられています。