学術情報

文献紹介

感染対策全般

Multistate point-prevalence survey of health care-associated infections

著者
Magill SS, Edwards JR, et al.
出典
N Engl J Med, 370(13); 1198-1208, 2014.

キーワード:医療関連感染、サーベイランス、米国

米国の10州183の急性期病院で医療関連感染症の有病率調査を行った結果、11,282名の患者のうち、452名が1件以上の医療関連感染に罹患し(4%)、その感染症の多くを占めていたのは、肺炎(21.8%)、手術部位感染(21.8%)、感染性胃腸炎(17.1%)であった。また、最も多く検出された病原体は、Clostridium difficile(医療関連感染の12%)であった。医療関連感染対策プログラムの主要項目であったデバイス関連感染症は25.6%を占めていた。これらの結果から、2011年、米国の急性期病院では、648,000名が721,800の医療関連感染に罹患したと推定された。

Competency in infection prevention: A conceptual approach to guide current and future practice

著者
Murphy DM, Hanchett M, et al.
出典
Am J Infect Control, 40(4): 296-303, 2012

キーワード:能力、能力モデル、専門的能力の開発、キャリア段階

感染予防者(IP)の専門知識に対する要求が急速に拡大し続けているため、米国感染管理疫学専門家協会(APIC)は、すべての実務環境で適用できるIPの能力の概念モデルを開発した。モデルは、既存の組織のトレーニングと評価ツールとを組み合わせて使うように設計された。この概念モデルは、今日の成功したIPの業務を述べるだけでなく、3~5年後に特に重要になると考えられる領域を強調することによって将来も考慮している。

医療関連血流感染における入院期間の影響
On the role of length of stay in healthcare-associated bloodstream infection

著者
Jeon CY, Neidell M, et al
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(12): 1213-1218, 2012

キーワード:BSI、長期入院、第3次医療

医療関連血流感染(BSI)において、入院期間がもたらす影響や、デモグラフィック(年齢、性別)および臨床でのリスク因子について調査・分析している。
ニューヨーク市の大規模第3次医療施設を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。調査に使用したのは2006年~2008年に対象施設を退院した患者データ合計113,893件分である。 1患者日あたりのデータを用いたロジスティック回帰を実施し、医療関連血流感染における補正なしリスク因子および補正リスク因子を評価した。完全に補正したモデルの共変数には、静的変数として年齢/性別/チャールソン併存疾患指数/腎不全/悪性腫瘍を含み、時的変数として中心静脈カテーテル/人工呼吸器/ICUでの入院を含んだ。
その結果、すべての変数(以下を含む:40歳以上、男性、腎不全、悪性腫瘍、チャールソン併存疾患指数、中心静脈カテーテル、人工呼吸器、ICUでの入院)は、入院の長期化ならびに医療関連血流感染リスク増加の両方に関係していた。また、入院期間が長いほど感染の危険が増加することが明らかとなり、さらに、そのような患者はより容態が悪く、侵襲的医療器具による処置を受けている傾向にあるが、こういった状況は入院期間と関係なく感染リスクが高い可能性がある。

免責事項:本内容に関する文責はサラヤ株式会社にあります。
ICHE (Infection Control and Hospital Epidemiology)の文献を紹介することは、ICHEの編集者、the Society for Healthcare Epidemiology of America、the University of Chicago Pressがサラヤ株式会社の製品、サービス、業務内容を支持するということを意味するわけではありません。

Effect of hospital-wide chlorhexidine patient bathing on healthcare-associated infections
病院全体で実施するクロルヘキシジン入浴の医療関連感染に対する効果

著者
Rupp ME, Cavalieri RJ, et al.
出典
Infect Control Hosp Epidemiol, 33(11): 1094-1100, 2012

キーワード:グルコン酸クロルヘキシジン、入浴、医療関連感染、ICU

米国の病院では毎年約170万の医療関連感染(HAIs)が起こり、約10万の方が亡くなり、コストは450億ドルにのぼっている。グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)は広域スペクトルの抗菌効果を有しており、外科処置および血管内カテーテル挿入の皮膚消毒に使用されています。本研究は、病院全体で実施するCHG入浴(清拭を含む)のHAIsに対する効果を調べることを目的としている。
新生児と乳幼児を除く全ての患者を対象とし、3つのグループ(コホート)に分け、準実験法、段階、用量漸増試験を大学病院で19ヶ月実施した。コホート1は成人・小児科のICU(93床)、コホート2は成人・小児科の一般病棟(110床)、コホート3は成人の内科および外科の下位専門領域(237床)で構成した。
実験は、CHG入浴を週3日(6ヶ月間)実施した後、毎日(7~13ヶ月間)実施し、最後に4ヶ月のウォッシュアウト期間を設けた。 成人のICUにおけるCHG入浴の遵守(90%)は他(57.7%、P<.001)よりも高かった。また、介入期間はすべてのコホートでクロストリジウムディフィシル(CD)関連の感染が有意に減少傾向を示し、ウォッシュアウト期間で有意に増加した。すべてのコホートに関して、ベースラインと比較したCD感染のリスク相関は、週3日のCHG入浴で0.71(95%信頼区間[CI]、0.57-0.89;P=.003)と毎日のCHG入浴で0.41(95%CI、0.29-0.59;P<.001)となった。ウォッシュアウト期間の感染リスク相関は毎日のCHG入浴と比較して1.85(95%CI、1.38-2.53;P<.001)だった。なお、他のHAIs(バンコマイシン耐性腸球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、中心ライン感染血流感染、尿路カテーテル関連感染、人工呼吸器関連肺炎)でのCHG入浴の一貫した効果は示されなかった。

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Effect of a text messaging intervention of influenza vaccination in an urban, low-income pediatric and adolescent population
A randomized controlled trial

著者
Stockwell MS, Kharbanda EO, Martinez RA, Vargas CY, Vawdrey DK, Camargo S
出典
JAMA, 307(16): 1702-1708, 2012

キーワード:インフルエンザワクチン接種率、携帯メール

インフルエンザワクチン接種は子供および若者にとって重要であるが、彼らの接種率は低いままである。2010年から2011年シーズンにアメリカで、都市に住む低所得の両親を対象にした携帯メールによるリマインダーのワクチン接種率に対する効果を、無作為化比較試験を行い検証している。その結果、携帯メールによる介入は都市に住む低所得層の子供および若者のワクチン接種率の増加と関連していたが、全体的なインフルエンザワクチン接種率は低いままであった。

Impact of non-rinse skin cleansing with chlorhexidine gluconate on prevention of healthcare-associated infections and colonization with multi-resistant organisms: a systematic review

著者
Karki S, Cheng AC
出典
J Hosp Infect, 82(2): 71-84, 2012

キーワード:クロルヘキシジングルコン酸塩、中心静脈カテーテル関連血流感染、手術部位感染、バンコマイシン耐性腸球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、システマティック・レビュー

クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)を含浸させた清拭タオルを用いた洗い流さない入浴や皮膚洗浄について、医療関連感染や保菌の防止における効果を評価することを目的とした。石けんなど、使用直後に洗い流しを伴うCHGによる介入は省き、システマティック・レビューを行った。CHGを塗布し洗い流さない方法は、中心静脈カテーテル関連血流感染、手術部位感染、バンコマイシン耐性腸球菌またはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の保菌(感染症ではない)のリスクを明らかに低減させることが確認された。

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