製品情報

製品導入事例

病院売店での針捨てBOX販売により患者と医療従事者双方の安全確保を実現

社会福祉法人 恩賜財団 済生会兵庫県病院
住所 〒651-1302
兵庫県神戸市北区藤原台中町5-1-1
病床数 268床
全職員数 472名(2017年12月1日現在)
手術件数 1650件(2016年実績)
病院のホームページ http://saiseikai.info/

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兵庫県神戸市に位置する済生会兵庫県病院は、大正8年の開設以降長きにわたり、"信頼と安心の医療の提供"を理念として掲げ、地域に根ざした医療を提供し続けている地域の中核病院です。
急性期医療を担う病院として、救急、消化器、がん治療、周産期、人工関節等様々な分野において高度かつ総合的な医療を実践されています。
また、超高齢化社会の急速な進展に対応するため、多職種によるチーム医療で医療、福祉・介護面から高齢者の方々を包括的に支援されています。

導入製品

病院売店でのサラヤ針捨てBOX販売開始までの道のり

- 病院売店でサラヤ針捨てBOXを販売することになった背景は?

患者さんが持参した注射針の廃棄容器(プラスチック空ボトル)から針が貫通しており、受け取った外来看護師が針刺し切創事故を起こしたことがきっかけでした。原因器材は整形外科領域で使用される注射針で、患者さんが廃棄時に押し込んだことが原因と考えられます。インスリン用注射針などを自宅で使用する患者さんが増加しており、廃棄容器・回収方法は以前より課題となっていました。病院経費で針捨てBOXを購入し患者さんに配布することも検討してきましたが、コストの問題もあり実現には至りませんでした。そこで、空き瓶や空き缶を廃棄容器用に患者さんにご用意いただいたり、消毒剤の空ボトルを提供しそれに廃棄いただくようお願いしていましたが、消毒剤の空ボトルは針捨てBOXのように強固ではないため貫通し、針刺し切創が発生してしまいました。また、今回は受け取り時に針刺し切創が発生しましたが、廃棄容器を病院に持参する途中に、周りの人に危害を加えてしまう可能性もあります。安全のためには患者さんにも耐貫通性で堅牢な容器である針捨てBOXをご使用いただくのが一番と考え、病院売店での販売を検討することになりました。

病院が提供した消毒剤の空ボトルから針が飛び出している様子
針刺し切創の原因となった注射針
- サラヤ針捨てBOXの決め手は何でしたか?
小川 麻由美
感染管理室 主任 感染管理認定看護師

患者さんが自宅で使用する注射針の多くはインスリン用のため、インスリン用注射針が外しやすく、また持ち運びやすい容器にしたいと考えていました。それまでにサラヤ針捨てBOXはペン型注入器用の専用スライダーにより簡単に注射針を取り外すことが出来るため、病棟で採用していました。持ち運びやすく使用後すぐの廃棄が徹底でき、年間約1,2件、多いときで5件程発生していたインスリン用注射針による針刺し切創も激減したことから、患者様にも安心して紹介できると思いこの容器に決定しました。また、耐貫通性で堅牢なことはもちろん、前述のような大きな針も廃棄できる投入口があります。さらに、価格面で患者さんの負担になりすぎないのもポイントになりました。

- 針捨てBOXの病院売店での販売開始までに障害となった事象はありましたか?

患者さんが持参された針捨てBOXの受け取り者・方法の決定に非常に苦労しました。一度は受付職員に受け取りをお願いしましたが、容器を受け取る行為が怖いという意見がありました。受け取り行為をなくすために、患者さんが直接針捨てBOXを廃棄できるように感染性廃棄物容器を外来の入口に設置し、その管理を外来看護師にお願いしました。現在導入している感染性廃棄物容器にはサラヤ針捨てBOX1Lが9個程廃棄できます。一度にたくさん廃棄できる大きな感染性廃棄物容器も検討しましたが、上から投げ入れた際に中で口が開き針が散乱する可能性があり、また外来に十分なスペースもなかったため現在のサイズのものを採用しました。

外来の入口に設置している針捨てBOX廃棄用の感染性廃棄物容器

病院売店でサラヤ針捨てBOX販売開始後

- 病院売店でサラヤ針捨てBOX販売開始後の運用状況はいかがですか?

自宅で注射針を使用する患者さんには、外来受診時に看護師や受付職員が、『使い捨て針廃棄ボックス使用のお願い』(下図)をお渡しし、針捨てBOXの購入・使用方法について説明しました。本資料は外来や病院入口にも掲示しています。運用当初は「なぜお金を払ってまで購入しなければならないのか。利益を得るためではないのか」と反発される方も少数ですがいらっしゃいました。医療従事者を職業感染から守るためにも、また患者さんの周りの方々を針刺し事故から守るためにも必要であるとお伝えし、今では皆様にご納得の上ご購入いただき、上手く運用できています。月間120~160箱売れており、中には一人で5~10箱購入される患者さんもいらっしゃいます。サラヤ針捨てBOXは元々医療従事者の使用を想定した仕様となっているため、患者さんが使い方を迷われる可能性を考慮し『使い捨て針廃棄ボックス使用のお願い』に使用方法も記載したので、針の外し方や蓋の閉め方が分からないといった声は出ていません。持参される際には開封できないよう完全ロックもしてくれています。患者さんに針捨てBOXを使用いただくようになって以降、患者さんが持参した注射針による針刺し切創は発生していません。また、患者さん自身が感染性廃棄物容器に針捨てBOXを廃棄してくれるため、受け取りの負担もなく、外来看護師は怖いと感じることもなくなったと話しています。

患者さんへの案内に使用している『使い捨て針廃棄ボックス使用のお願い』
病院内の売店で患者様向けに販売している針捨てBOX

NEXT STEP

-今後の課題や目標をお聞かせください。

針捨てBOXの購入により患者さんの経済的な負担は増えます。しかし針刺し切創は、負傷者に血液媒介ウイルスによる感染といった身体的・精神的に大きなダメージを与えることとなり、また病院側も長期間にわたるフォローが必要となるため、未然に防ぐことが重要です。今後、在宅医療の推進により家庭での注射針などの医療器材の廃棄物はさらに増えてくると思います。患者さん、医療従事者、ゴミ回収業者、清掃業者など、様々な人の身を守るために、安全な針廃棄容器の認知度が高まり、一般社会にもさらに普及していくことを願っています。

今回インタビューさせていただいた方
  • 小川 麻由美様

    感染管理室 主任 感染管理認定看護師

    小川様の経歴

    1997年 済生会兵庫県病院 入職
    2006年 感染管理認定看護師 取得

編集後記

使用済み注射針の安全な廃棄のために、針廃棄容器をより安全性が高く使い勝手のよいものに変更したり、受け取り方法を工夫したりと、改善を続ける姿勢に感銘を受けました。また、サラヤ針捨てBOXの仕様についても貴重なご意見を頂戴することができました。医療従事者の皆様や患者様にとってより便利で安全な製品となるよう、私達も精進してまいります。

取材日:2017年8月21日
インタビュー:サラヤ 櫻井、井澤

               

電話によるお問合せ:06-4706-3938(受付時間:平日9:00~18:00)